不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

L'Atleta di Lisippo

2010-02-16 14:46:12 | アート・文化

1964年8月14日マルケ州の
海沿いの街Fano(ファーノ)の沖合いで
漁師が偶然引き揚げたブロンズ像は
Gubbio(グッビオ)の古物商に
5,000,000リラで買い取られたあと
一時的に消息を絶ちました。

1972年頃から一部修復されたこのブロンズ像は
ニューヨークのメトロポリタン美術館や
カリフォルニアのゲッティ美術館に照会され
販売を試みた形跡がありますが、
そのブロンズ像の出自が明らかでなかったために
当時の責任者は
いずれもオファーをつき返しています。

しかしゲッティ美術館の創設者である
ポール・ゲッティー氏が他界しトップが替わると、
1977年十分な検証もしないままに、
390万ドル(1977年当時)でこのブロンズ像の売買が成立。
それ以降は同美術館の所蔵となっています。

このブロンズ像を偶然引き揚げた漁師は
Romeo Pirani(ロメオ・ピラーニ)で
不法に芸術作品を売買したことを後悔し
8000の署名を集め、
ブロンズ像の返還運動を続けていましたが、
2004年に願いかなわず亡くなっています。

2007年に当時のイタリアの文化省長官だった
Francesco Rutelli(フランチェスコ・ルテッリ)の尽力で
アメリカからイタリアに戻ってきた
考古学的価値の高い作品の大半は
このゲッティ美術館に所蔵されていたものでしたが、
このときもブロンズ像は対象外となっていました。

ブロンズ像はアスリートをモデルにしたもので
古代ギリシャの彫刻家
Lisippo(リュシッポス)の手による
4世紀頃の作品だといわれています。

Atleta_lisippo

先日このブロンズ像の返還を
正式に求める文書がやり取りされたようですが
イタリア側は
きちんとした出自が明らかになる文書を欠く作品であり、
最も古い記録はGubbioの古物商からの売買記録であり
不法な手段で購入した作品であることを理由に
返還を求めていますが、
アメリカ側(ゲッティー美術館)は
そもそもブロンズ像は
ギリシャのものであってイタリアのものではないこと、
また見つかった場所は
国際海域に当たる沖合いであることなどを理由に
返還要請に応じないという立場を貫いています。
最終的にはアメリカ側がこのブロンズ像の所有に関して
法的手続きに出ると宣言したところです。

これまでアメリカとイタリアの間では
何度もこうした芸術作品の返還交渉がもたれていますが、
法的に取り沙汰されるのはこれが初めてということで
イタリアの美術界は微妙に揺れているところです。


Le urtime prove di Tram di Firenze

2010-02-12 20:12:26 | 日記・エッセイ・コラム

朝っぱらから郵便局に出かけてきました。

オープンしたばっかりの時間でしたが、
まだコンピューター立ち上げてなくてね、
郵便局のおばさん。
叫んでました。

「いつも使っているコンピューターじゃないから
わからないわよぉ。」
とパスワード入力画面で悪戦苦闘。
いや、その画面はどのPCでも同じなんじゃないの?
と思いながらどうするのかなぁとぼんやり眺めていたら
何回もトライして
「パスワードを変更しますか」と聞かれたらしい。
もちろん
「今変更なんかしないわよぉ。
普通に使わせろぉ」と叫びました(爆)。

そしてようやく何とか正しいパスワードを入力して
PC起動に成功すると
いきなりカウンターに箱を積み上げて
バリアを構築し始めました。
そして
「私は今から仕事するんだから受付しないわよ」
と高らかに宣言。
あなたの仕事はお客様の郵便物を受け取って送ったり
入金処理とかするのではないのですか?
それ以外の事務処理の仕事なら
カウンターじゃなくて裏のオフィスのPCで仕事すれば?
と私だけでなく
その場にいた全員が思ったはず。
でもおばさんはお構いなしにバリアを高く積み上げ
自分の仕事に専念することに決めたようです。

駅前の郵便局は規模も小さくて
もともとカウンターの数が少ないのに
おばさんのせいでひとつは不能の状態になりました。
朝から郵便局にいる人って
私みたいに出勤前に済ませようって人がほとんどなのに
他のカウンターの対応を待つ長い列ができちゃって。
で、こういうときに限って自分の前の客は
やたらに長いのですよ。
何やっているのか本当に気になるくらい
長いことカウンターで
あぁでもないこうでもないと揉めてました。

で、その間もずっとぼんやり待っていた私。
朝なので脳みそもまだぼんやりだったしね。
そしたら郵便局の前を2台も続けてトラムが通過。

2月14日からの本格開通に向けての最終調整でしょう。
朝のラッシュアワーのタイムテーブルでも試していたのかな。
まだシートはビニールのカバーかかって新品そのものでした。

Img_0099
今日はローマで26年ぶりの雪が降ったりして
フィレンツェも朝は冷え込んでました。
iPhoneのフラッシュモードで撮影したら
必要以上に冬の寒い朝っていう感じが
強調された写真になっちゃった。

2月14日から1週間は無料で乗れるトラム。
中央駅前から市外西部に抜ける路線なので
実際使うこともあまりないけど
せっかくだし14日試乗してみようと思ったのでした。


Litigano nella macchina

2010-02-11 19:54:05 | 日記・エッセイ・コラム

私の周辺でもよく喧嘩している声が聞こえてきます。
隣のお姉ちゃんとパートナーだったり
下の母ちゃんと娘だったり。
同僚同士のバトルだったり
通りすがりの人同士だったり。
色々です。

私は一人で暮らすようになって
自分に腹が立って自分自身と喧嘩したり
時々遭遇する押し売り電話の相手と
喧嘩することはあっても
めっきり喧嘩しなくなりました。
別に気が長くなったわけではなくて
単にそういう機会が減っただけですね。

イタリアにいるとなんてことはないことでも
みんな通りすがりに文句言っていたり。
そうすることで
ストレスもためずに暮らしているんだろうなぁと
感心したりもします。
溜め込むよりも吐き出したほうがいいこともあるわけです。

私は日本にいるときから吐き出すタイプだったので
今はイタリアに来てなんかとても気が楽。
日本だと吐き出すのも
なんか遠慮がちだったりするわけですよ。
いまだに日本に帰国しても
2週間以上は暮らせないなと思ったりします。
息苦しくて。

唐突もないんですが、興味深い数字を発見したので。

車に乗ると人が変わるというのは
洋の東西を問わず同じで
車に乗って大声を出すイタリア人も多いです。

車の中で喧嘩をするのが「好き」な国民。
フランス、ドイツ、イギリス、スペイン、イタリア。
へぇ、ドイツ人も平常心失うんだ、車の中で。
イタリア人の70%が
車での旅行中に一度は喧嘩したことがあるそうです。
あ、私もあるよ、その昔。

喧嘩の理由はもっぱら「ルート選択」。
わかる気がする…。
私は典型的なA型なので
最初から決められたコースにきちんと従いたい。
じゃないと不安になるので。
でも道間違えたりすることもあるし
イタリアなので、標識がうそつきだったりするわけです。
そうすると不安が募ってきて
それがなぜか怒りになり、八つ当たりになるのです。
一人で運転しているときには
私は一人で文句ばっかりいってます。

車内の温度でも喧嘩になるそうですよ。
それは私は経験ないけど。
まぁ、個人差があるからねぇ、体感温度には。

他には走行速度、
ラジオ局選択、CD選択などなど。
まぁ、なんでも喧嘩の理由にはなるわけですよね。
狭い空間で長時間一緒にいれば
お互いわがままも言いたくなるでしょう。

喧嘩の相手がパートナーというケースは
イギリス人39%に対してイタリア人23%。
吐き出すのも適度に・・・。

自分にも戒め。


Cena al ristorante giapponese

2010-02-10 23:02:01 | Squisito!

友人に誘われて、日本食。
ここ数年で雨後の筍みたいに増殖している
フィレンツェの日本食レストランは
どこも中国人経営。
なので、まともなものなど期待していません。
でもイタリア人は安くて日本食が食べられるというので
結構好きな人も多く
私の友人もそういうタイプなので
頻繁に拉致されて連れて行かれます。

納豆巻発見。
本当に納豆しか入ってないけど・・・。
Cena al ristorante giapponese
ねぎとかゴマとかさ、
なんか工夫しておくれよ。
ま、納豆食べられただけで嬉しいですけど。


Cena al ristorante giapponese
稲荷寿司も似てるけど違う。
甘み足りないし、ご飯も一味足りない。
これって本当に油揚げだったよ。
肉厚すぎて…どうかと思う。

Cena al ristorante giapponese
結構気に入ったのはキウイ巻。
キューリの間違いじゃなくてキウイ。
この仲間にはマンゴーとかもありました。
これの驚きはフルーツ巻いているということじゃなくて、
かかっているソースがジャムだってこと。
でもかなり良いハーモニー。
デザートと思えば、美味しいよ。
あ、このフルーツ巻きはイタリア人には不評でしたが
ナマモノ食べない私にとっては
こういうものの方がよかったりね。
日本では絶対食べないでしょうけど…。