不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Falsita' di San Giovannino

2010-02-09 13:01:16 | アート・文化

CARAVAGGIO(カラヴァッジョ)の不遇の死の後、
彼の生前を盛大に語り継いだのは
ライバルの画家たちだったこともあり
彼の悪い部分だけが取り沙汰され、
またヴァチカンも常々
カラヴァッジョが宗教画を描くときにも
聖人のモデルとして一般庶民、
ともすれば貧しい人々を取り上げたことから
彼の作品を俗物として好まなかったこともあり
実は本当に長い間、彼の評価は低いままでした。

1900年代後半になって
カラヴァッジョの再評価を試みたのは
イタリアの著名な美術史研究家である
Roberto Longhi(ロベルト・ロンギ)で、
彼が熱心に著作の中で評価を続け、
ミラノの王宮での記念すべき展覧会で
成功を収めたことにより
カラヴァッジョの評価はぐんぐんと上がり、
今日に至っています。

この再評価の過程で、
カラヴァッジョと名がつけば
展覧会の人の入りもよかったせいもあり
実際には彼の作品ではないかもしれない
疑惑の作品もあたかも彼の作品かのように
数多くの展覧会に出展されてきました。
むしろカラヴァッジョの作品であると
確定されているものは門外不出に近くなり、
不確定要素の強い作品のほうが
よく目に付くようになったりもしました。

2010年はカラヴァッジョ没後400年に当たり
各地でさまざまな作品を集めた展覧会が開催されますが、
カラヴァッジョ派であったり、
多分カラヴァッジョ作といった作品も
展覧会会場に多く出回ることになります。
そんななかで
ローマのQuirinale(クイリナーレ)で開催される特別展では
これまで一堂に会する機会がなかった
正真正銘のカラヴァッジョの作品を
全世界から25点集めることになっています。
それに加えてローマ市内には教会や宮殿などに
約40点近いカラヴァッジョおよび周辺の作品があるので
特別展とあわせて
じっくりローマのカラヴァッジョ巡礼をすることで
かなりの数のオリジナル作品を目にすることができます。

このローマにある作品の中に
実はぱっと見はまったく同じ作品が存在します。
SAN GIOVANNINO(若き洗礼者ヨハネ)ですが、
一枚はカピトリーノ絵画館(Pinacoteca Capitolina)に
もう一枚はドリア・パンフィリ(Villa Doria Pamphiilj)に
所蔵されています。

Caravaggio_san_giovannino

経済的に苦しかったカラヴァッジョが作品を売り稼ぐために
まったく同じものを製作したといわれたこともありましたが
現在ではこのうちの一枚がオリジナルで
もう一枚は完璧なコピーであることが
専門家の研究の結果明らかになっています。

しかし、素人の目からすれば
その違いなどほとんどわからないので
コピーのほうが展覧会に出ていたとしても
感心して見入ってしまいます。(罠)
もちろん複製であったとしても
完成度は非常に高いので
もしコピーであることを知っていれば、
違う意味で感心することもできます。

今回のQuirinaleの特別展に出展されるのは
もちろんオリジナルの
カピトリーノ絵画館所蔵のSan Giovanninoです。

Caravaggio
会場:Squderie del Quirinale
    Via XXIV Maggio 16
    Roma
会期: 2010年2月20日から2010年6月13日まで
開館時間:日-木 10:00-20:00
       金・土 10:00-22:30
入場料:10,00ユーロ
詳細インフォメーション:http://bit.ly/5ea53u


Cenci

2010-02-08 19:52:01 | Squisito!

ヴェネツィアやヴィアレッジョなどのように
盛り上がらないフィレンツェですが
同じようにカーニヴァルの季節になりました(笑)。

子供の仮装した姿を見かけたり
朝オフィスの前に紙ふぶきが舞っていたりすると
あぁ、カーニヴァルなのねぇと思います。

街のお菓子屋さんやパン屋さんには
それぞれ手作りのカーニヴァル用お菓子が並んでいます。

代表的なカーニヴァルのお菓子。
Cenci。チェンチはトスカーナ地方での呼び名。
全国区ではChiacchere(キアッケレ)。
ローマ周辺ではFrappe(フラッペ)。

揚げ菓子に粉砂糖やお砂糖振り掛けたもの。

Foto_003
これは先日友人にいただいたチェンチ。
めちゃくちゃさくっと揚がっていて
油っぽくなくて
粉砂糖じゃなくて普通に粗目の砂糖がかかっていて
甘さ控えめ。
大人なチェンチでした。

Foto_004
これならおかわりしたいくらい。
自分で買いに行きたいのだけど
どこのお店かちゃんと聞くの忘れた。
町外れだったような気が…。

あと一回くらい食べたいなぁ、カーニヴァルが終わる前に。


Il romanesco di Totti e Vodafone

2010-02-06 17:15:58 | 日記・エッセイ・コラム

Francesco Tottiが
Vodafoneのキャラクターになって随分経ちます。
最初はGattusoと組んでいたけど
最近は嫁のIlary Brasiと組んでます。

AS Romaの主将トッティ王子
最近は日本ではあまり騒がれなくなったのかね。
昔からその天然ボケさ具合と
きっついローマ方言で
イタリアでもいい感じに突っ込まれている彼ですが、
このCMではアホさ加減を前面に出していて
それはそれで戦略的に面白いし好感ももてます。

アホくさいと思いながらも
ついつい見入ってしまうので、
CMとしては成功しているのかねぇ。
(だからといってVodafoneのサービスに
申し込むわけじゃないけど、
印象には残るという意味で。)

ソファに座って読んでいる雑誌のタイトルが
AHO' 20であることにも
個人的にはすごく感心しているのです。

YouTube: Spot Vodafone All Inclusive (Totti, Blasi)


彼はサッカー辞めたら本格的にタレントするのかなぁ。
ローマとの契約更新したばかりなので
まだ先の話だけど。

Ciccino e Matatabi Poisson

2010-02-04 20:39:19 | Billy,Layla e Ciccino

日本から友人が送ってくれた荷物の中には
ビリーと私のためにお香、
チッチーノのためにひとり遊びおもちゃ。

チッチーノは猫らしいところがあまりない猫ですが
またたびは好き。
今回いただいたのは「まただびポワソン」。
またたびの実が入っている魚の形のクッション。

みているだけでもかわいい魚のクッション。
Dscf8599

こんな格好で遊んでます。

Dscf8610

重そうなお腹ですが、本猫は大満足そうに遊んでます。
チッチーノは夢中になると前後不覚になり
おもちゃをベッドの下やソファーの下に入れてしまうので
私がいないときには
おもちゃは手の届かないところにしまってあります。

出してくると小さい声でムニュムニュ言いながら
おもちゃをよこせと訴えてきます。

既に魚のクッションはよだれでいっぱい…。
ま、チッチーノしか使わないので、いいですけど。


Natura e Simbolo dal Seicento a Van Gogh

2010-02-02 13:08:43 | アート・文化

Forli'(フォルリ)という、
日本からのツアーには絶対に含まれない、
そしてイタリアに暮らしていても
なかなか訪れる機会のない
エミリア・ロマーニャ州の小さな街にある
サンドメニコ美術館(Musei del San Domenico)は
時々非常にすばらしい展示をしています。
今回は美術館所蔵の
Fiasca fiorita(フィアスカ・フィオリータ)を中心に
1600年代からゴッホまでの絵画に描かれた
草花をテーマにした展覧会。

Fiasca fioritaはすべての時代を超えて
最も美しい静物画のひとつとして、評価も高い作品ですが、
その作品の詳細は謎に包まれたまま。
作者さえいまだに確定していないのですが
これまでの研究で非常に高い確率で残っている名前は
Caravaggio(カラヴァッジョ)とCagnacci(カニャッチ)。

依然はっきりしたことは確定していないものの
美術史研究家によって明らかにされたのは
この作品が静物画の専門画家によって
描かれたものではないということ。
フィオリスティと呼ばれる花ばかりを題材とする
専門画家が多くいたのですが
そういう人の手によるものではなく
つまり普段は肖像画や宗教画などを描いていた
偉大な画家の手によるものであろうということ。

そしてこの絵を中心に、
現代イタリアの
偉大なる美術史研究家&キュレーターが集まり
カラヴァッジョ派の自然主義から
ゴッホの現代性と象徴主義を経て、
1900年代初期にいたるまでの
静物画(特に草花を描いた作品)に焦点を当てた
新しい観点の展覧会をということで
企画されたのが今回の特別展。

展示作品にはカラヴァッジョ、カニャッチはもちろん、
ジェンティレスキ(Gentileschi)、
ドルチ(Dolci)などが描いた草花から
レンブラント(Rembrandt)の
奥さんをフローラ(Flora)に見立てた肖像画なども。

Fiasca fiorita(フィアスカ・フィオリータ)

Image_gallery

キアンティワインが入っていたような
藁が巻かれたフィアスコの折れた首に
雑然と活けられたカラフルなゆり、アイリス、フリージア。
光と影のコントラストが
なんともカラヴァッジョ派的な作品です。
藁がほどけていたり、
ガラスが割れていたりするリアルさも
その時代の画風を思い起こさせます。

FIORI.
Natura e Simbolo dal Seicento a Van Gogh
会場:Musei San Domenico di Forlì
    Piazza Guido da Montefeltro,
    1247100 Forlì
会期: 2010年1月24日から2010年6月20日まで
開館時間:火-金 9:00-13:00、15:00-17:30
       土・日 10:00-18:00
休館日:月曜日、イタリアの祝日
入場料:無料
詳細インフォメーション:http://bit.ly/aIDurM