女性的で受動的な原理を表現するとされる月は
二つの矛盾する要素を抱有しています。
その表面の異様な様相から
Medusa(メデゥーサ)と重ねあわされることもありますし
黄泉の国への入り口だと考えられることもあります。
一方メソポタミア文明の時代から擬人化されて
各文明・宗教のなかで神としても祭られてきました。
メソポタミアのIshtarは満月を表し
肯定的な意味合いが強く、
ローマ神話のDiana(ギリシャ神話のArtemide)
は三日月を表し
天空の規律の守り神とされこれも肯定的な意味合い。
逆に新月を表すEcateは地獄の女王とされ
否定的な意味合いが強く、
二つの顔を持つJanaは天空と地獄の扉の守り神とされています。
ギリシャ神話ではSelene、
ローマ神話ではLunaと呼ばれる女神は
満月を擬人化したものです。
ギリシャ神話ではSelene(満月)、Artemide(三日月)、
Ecate(新月)が同一化されることもおおく
時に3つの顔を持つ魔力の持ち主とされることもあります。
Seleneはたいてい青白い顔の美女として描かれ
長く柔らかな白か銀色の衣服を纏い、
額に三日月の飾りをつけ、手には松明を持っています。
ギリシャ神話にありがちですが、
SeleneもZeusと関係を持ち子供を二人もうけ、
また羊の毛皮に姿を変えたPanとも関係を持ち
子供を一人残しています。
そして、Elide(エリス)の王Endimioneに恋をして
彼が眠っている間に夜這いを繰り返していましたが、
毎晩会いに行くためにZeusに懇願して
彼に不老不死の永遠の眠りを与え、
50人もの子供を残したという話も言い伝えられています。
ギリシャ神話は複雑です。