不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Cabianca e i Macchiaioli in Villa Bardini

2007-08-07 07:35:38 | アート・文化

Cabianca_03

フィレンツェを中心に
1800年代後半に始まった美術運動がマッキアイオーリ派。
点描(マッキア:macchia)を多用して描くことから
1862年に名づけられたもの。
無名の評論家がちょっと侮辱してつけた名前といわれています。

それまでのアカデミックな絵画の流れに波紋を投じた活動で
当初はなかなか認められなかったヴェリズモ。
ロマン主義、新古典主義、アカデミック純粋主義に対抗し
現実をそのまま表現しようと試みた結果、
目に見えるものは色彩の点描の重なりであり
濃淡の反映であるという結論に至ります。
そのため非常にコントラストの強い光の遊びを絵画上で実現。

マッキアイオーリ派の主軸をなす作家としては
ジョヴァンニ・ファットーリ(Giovanni Fattori)、
テレマコ・シニョリーニ(Telemaco Signorini)、
シルベストロ・レガ(Silvestro Lega)、
オドアルド・ボッラーニ(Odoardo Borrani)などが有名。
彼らはリヴォルノを拠点に
トスカーナのマレンマ地方で精力的な製作活動を行います。

強烈な色のコントラストの自然を背景に
日常生活を送る人々や
日常の農耕生活の1シーンを切り取って作品を作ることで
よりいっそうマッキアイオーリ派の特徴を
強く打ち出すことに成功しています。

Vincenzo Cabianca(ヴィンチェンツォ・カビアンカ)は
ヴェローナ生まれで
若い頃からヴェローナを中心に絵画制作を開始。
ヴェネツィアの美術学校に通っている頃には
不真面目な学生であったものの、
一回受けたコンクールで
見事入賞するほどの才能を持ち合わせており
その後はテレマコ・シニョリーニや
オドアルド・ボッラーニとの交流を深め
1853年にフィレンツェに移住。
1855年まではもっぱら室内の様子を描き
マッキアイオーリ派の活動に参加するのは1858年から。
特に1860年前後は
モンテムルロ(Montemurlo)周辺で絵画制作に従事。
1870年にローマに移住したあとは
マッキアイオーリ派から少し離れ、より宗教的なテーマに傾倒。
晩年は修道院の回廊や修道女を多く描くようになります。

このカビアンカのマッキアイオーリ派時代の
作品を中心に集めた展覧会が
Villa Bardini(ヴィッラ・バルディーニ)で開催中。
特に有名な「Vendemmia in Toscana(トスカーナのぶどう収穫)」や
「Ritorno dai campi(畑からの帰り道)」など
色彩の美しい写実的な作品が約100点集められています。
彼の作品以外にマッキアイオーリ派の
代表作家たちの作品も25点展示されています。

Vendemmia_toscana Vendemmia in Toscana
プライベートコレクションで初公開の作品。
あまりできのよくなかったぶどうの品評中。

Ritorno_campi Ritorno dai campi
展覧会チケットにも使われている作品。
ここ10数年公開されていなかったので
久々の一般公開となった代表作品。

Cabianca_06
半世紀もの長い期間放置された後、
庭園に続いてようやく修復が終わったVilla Bardiniは
Stefano Bardiniの所有していた美しい邸宅。
Costa San Girgioの邸宅の入り口からアクセスする場合は
展覧会自体は入場無料。
一方ボボリ庭園&バルディーニ庭園経由の場合は
庭園入場料がかかります。

Cabianca e la civilta dei Macchiaioli
Villa Bardini
Costa San Girgio, 4 Firenze
会期:2007年7月12日から2007年10月14日まで
開館時間:7月・8月 8:15-19:30/9月・10月 8:15-18:30
休館日:毎月第一月曜日・最終月曜日
展覧会のインフォメーション

フランスを中心に起こった印象派の絵画は好きではないけれど
このマッキアイオーリの作品は非常にしっくりきて私は大好き。
Cabianca_05
修復されたばかりのVilla Bardiniと
そこからのフィレンツェを見下ろす眺めも最高に美しいので
散歩がてらコスタ・サン・ジョルジョを歩いて
この展覧会を観に行くことをお奨めします。
Cabianca_01
因みにこの道見覚えがある方も多いのでは?
一台ブームを巻き起こした「冷静と情熱のあいだ」で
順正が自転車で通った道ですね。
(あれ、バイクだったかな?)

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