不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

La mente di Leonardo

2006-05-06 23:28:00 | アート・文化

ダ・ヴィンチ・コード」の全世界同時公開を控え
今まさに旬なレオナルド・ダ・ヴィンチ。

この世にもまれな奇人、いや天才の脳みその中を覗くという
レオナルドの精神世界」という特別展覧会が
ウフィツィ美術館で開催中。

特別展用に入り口が別になっていると思って
気楽に出かけていったら
なんと通常のウフィツィ美術館の長蛇の列と同じ入り口。
あまり混んでいなかったので
1時間ほど列に並んで入場できましたが
できれば予約しておいたほうがいいかもしれません。

ウフィツィの常設であるレオナルドの作品
「受胎告知」や「東方三博士礼拝」の置かれた展示室に
いつもはヴァチカン所蔵の「サン・ジローラモ」も置かれ
ここから特別展開始。
つまりウフィツィの常設部分もこの特別展に含まれているので
入り口を別にすることができないらしいのです。
なんか腑に落ちないけれど、まぁ仕方ない。

ウフィツィ内のすべての常設展示を見終わった後の
出口への通路の途中、
二階部分のかなり広いスペースを使って
「レオナルドの精神世界」が本格的に展開。

これは力作展示です。
かなり上質な展示になっているのでお勧め。

レオナルド・ダ・ヴィンチは人気なので
これまでも各地で様々な展覧会が企画されて
それぞれ好評を得ているわけですが、
そういったものは、いずれも絵画、解剖学、軍事設計、化学など
レオナルドが携わった各分野ごとに
独立した展示となっていたものがほとんどで
今回のような彼の思考回路の全体にわたって
広く研究結果を集めた展示は初の試み。

画家として作品を作るベースに
科学的な要素、解剖学的な要素、建築的な要素など
それぞれ彼が広く興味をもち続けたものが
歴然とあったのだということがよぉくわかります。
緻密な計算のモトに描かれる人体、動物、自然、建築物。
レオナルドの探求力とそこから得た普遍の原理は
計り知れないものだというのを思い知らされます。

この地球上に存在するすべてのものは
きちんと設計されたものであり、
それぞれにきちんとルールなり規定があるのだというのが
彼の結論であり
それに基づいて普遍的規則に則って
絵画作品を制作しているというのが
この展覧会を通してよぉくわかります。
だからこそ、彼の作品はバランスがよく
違和感のない自然な出来上がりのものが多いのでしょうね。

機械構造や解剖学、数学的なものに関しては
私自身が知識不足で
完全に理解するまでには至らないけれど
きちんとした教育を受けずじまいだったレオナルドが
必死にラテン語の語彙を増やそうとして
自分で作り上げている語録集や
絵文字パズルは文系の脳みそにも非常に興味深く
その勉強熱心なところを見習わなくてはと思った次第。

この絵パズルを観ていて、
その昔自分が高校生だった頃、
世界史のノートの片隅に自分なりにイラストを入れて
いろんなことを暗記していたことをなんとなく思い出しました。
「ホルテンシウス法」を覚えるのに
天使が臼を一生懸命削りだしているイラストを書いて
「彫る」「天使」「臼」でホルテンシウス法を暗記したのだけれど
それに似たようなこと(まったく次元は違うけれど)を
レオナルドが「絵文字パズル」でやっているのに親近感!
単語やフレーズを音節などにこだわらずに区切り
それぞれに当てはまるイラストを描いて
組み合わせるというのがレオナルドのやり方。
上記サイトからその様子がswfでダウンロードできるので
是非見ていただきたい!

これまでは世の中の評価に反して
ちょっと「ただの奇人」と思っていたレオナルド・ダ・ヴィンチを
この展示のおかげで
もしかしたらやっぱりすごい人かもと思い直したのでした。


展覧会は2007年1月7日まで。

開館時間  8:15-18:50
休館日 月曜日、12月25日、1月1日
インフォメーション Tel 055 294883

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