不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Le Particelle Elementari

2006-05-08 05:36:00 | 映画

素粒子

ミシェル・ウエルベック(Michel Houellebecq)の
著作をベースにした映画。
イタリアでは4月末から公開されていますが、
日本では公開予定はあるのかな?

両親の愛情の欠落した環境で
それぞれ成長した兄弟。
まったく正反対の兄弟でありながら
それぞれが「愛情」に対するトラウマをもつ点で共通。
そのトラウマへの立ち向かい方、解決方法の違いが
そのまま彼ら二人の人生の違いとなる。
そうした選択の違いを生んでいるのが
いってみればそれぞれを構成する素粒子の違い。
そしてそれは目に見えて明らかなものではない。

同じ血ののなかにも微妙に違う素粒子。

いずれにしても彼ら二人がもつ素粒子は
どちらかというとネガティブ。
それに対してポジティブな素粒子として描かれるのが
それぞれのパートナーである二人の女性。

兄弟二人がようやく自分に合った「愛情」を探し出し
すべてがうまくいくと思った矢先
二人の女性はそれぞれに病に侵され
兄弟二人は決断を迫られる。
二人で生きる道を選ぶか、一人に戻るか。
その決断でも兄弟は違った軸の上にいて
二つの異なる結果を導く。

すべてが「素粒子」に基づくできごと。
そしてそれは確実にあるのに目に見えにくいもの。

人生の機微ってこんなことがベースになっているのね。
我々が生きる現代社会の
様々な問題が含まれている一作。

エンディングのロールアップも
結構考えさせられます。
人生について、幸せについて、愛について。

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