レトロなもの。
建物や昔の習慣や風俗、タベモノなぞを調べてるのが好きだ。
それが高じてか…
まさに中世の時代をそのまま纏ったような、
ここサラマンカに住み着いて何十年。
しまいには自分自身が時代の遺物となり、
すっかり廻りに馴染みつつあることを感じて
ほくそ笑む毎日だ。(訳→地元住みの長いババアとなって喜んでいる)
(あくまでもイメージですww)
●大好きスペインの薬局
そういうレトロだのアンティークだのを好む人は
スペインの薬局なんかはきっと好きになる。
前世紀の作りの店内。
店内に今は装飾品として置かれる、陶器の薬壺の数々。
何度お願いして店内の写真を撮らせてもらったことか。
●そしてレトロ商品の宝庫
そして、この薬局が
「CMなどもうあまり見かけないが、昔からあるレトロ・ロングセラー品」
の宝庫であることに気が付いたのは、随分昔。
伝統のハンドクリーム、“NEUSC”。
友人に紹介された昭和初期に誕生の固形ハンドクリームが最初。
(詳しくは過去記事参照してね)
次はこの腰痛、肩こり用の湿布
PARCHES DE SOR VIRGINIA (ビルヒニア尼特製湿布)
こちらも昭和初期あたりから製造され、根強いファン多し。
そして最後が今回のこれ。
AGUA DEL CARMEN (カルメン・ウォーター)
前者の2つと同じく昭和初期に発売開始だったものの、
その起源は17世紀のカルメル修道会にあったというのは興味深い。
当初より、服用薬、嗅ぎ薬、またマッサージ用ローションなど多様に使われたとか。
そしてその効能は?
吐き気
神経症
ヒステリー
胸のむかつき
月経期の様々な症状
…と、なんかすっきりした気分になりたい時の万能薬だったらしい。
●いざ、こわごわ飲んでみる
原材料は様々なハーブの名称…シナモンやリンデンなどの他
特筆すべきメリッサ(セイヨウヤマハッカ)。これを中心に
ハーブオイルが0.14%以上含有。
そして…アルコール分驚異の55%!!
恐る恐る…まずはストレートで飲んでみる。
(通常はお茶やジュースに垂らしたり、割って飲むらしいが)
なんか…柑橘系のような違うような…
甘さはあるけどかなりのアルコール臭。くらっとくる。
まあこれクスリと思えば飲めなくないが、自分的には二度目は無いww
(それも小瓶で12ユーロ近くという、お試しにするには微妙に高いお値段もあり)
しかし…これを“家庭常備薬”として使用していた
(なんなら子供にも服用させていた)時代があったとは.
子供のおやつにビール、というスペインおやつ近代史は
前の記事をご参考下さい。
●聖女のお墨付きでOK!の時代
結局そうなんである。
800年以上なんだかんだいってキリスト教国であったスペイン。
結果聖人聖女のイコンだのは全国に溢れかえり、
聖なんとかの泉
聖女なんとか奇跡のうんぬん、とか
あちこちに行く度に見かける。
日本でも似たようなもんだな…と思いつつも、
いやその熱量はどんだけ違ったんだろう。
聖人信仰。
大体この“カルメン・ウォーター”の話を聞いたのも
地元のオババの集まりで耳にして、
“浮気性の旦那に悩んで”
“ひどい更年期障害で(昔はいい薬なかった)”
昔はこのカルメンの小瓶をあおりまくり、
アル中だのなんだので病院送りになったご婦人もあったとのこと。
普通の家庭のご婦人が、アルコールをたしなむことが
社会的に認められなかった時代、この国でも長かったのだろう。
居間にあるお酒コーナーの棚ではなく、
洗面所の棚に、旦那の整髪料の隣にそっと
おかれていたらしいこの“伝統特効薬”。
この国においての“女であることの重さ”
をそっと支えてくれてきたのかも。
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*GOOブログのサービス終了にあたり、アメーバへの引っ越しを
します。もしかしてこのブログをみてくれてる人、よろしくです!