さて、2020年の夏。
スペイン全国民、マスクデビューの夏…
8月13日をもって、公共の場でのマスク装着が義務化が全国区となった。
そして気になる“装着を怠った場合の罰金”が、
100ユーロ!
(*2020年現在13000円弱)
この微妙に笑えない金額設定に、
改めて“コロナ後における社会新体制”なるものを
身をもって実感した人は多いかと。
しかし“緊急も事態宣言発令”下のもと、
何か月もの強制引きこもり生活を耐え忍んできた後だ。
もちろん反マスク派意見もあったけど、
“四の五の言わずに…”と意外とすんなりと受け入れた方が
多かった印象だ……当初はww
● マスク啓蒙活動、広告
政府からの広報を含め、
「正しいマスクの付け方」
「やってはいけないマスクの付け方」
などの情報がメディアを通して繰り返し流される。
「喋るために外さない」「鼻を出さない」「手でいじらない」
「マフラーのように下してかけない」
「危険はまだすぐそこに。正しくマスクを使おう」の街広告。
各地の偉人、聖人らの銅像らもしっかりとマスク装備。
(一人違うジャンルだと思うけど気にしないでw)
商業広告で一番最初に目立ったのは、
このパンテーン社、ヘアーケア製品の街頭広告。
曰く、「今年の夏は、私の髪が最高のアクセサリー」
商業広告にマスク装着モデルを出した、最初のものかと。
現状をポジティブにとらえたという意味では成功だったかもしれない。
(ただ、これ以外のマスクを取り入れたイメージ広告は
見受けられない。…確かに難しいかもなぁ…)
● 大拡大のマスク市場
そしてマスク市場。
製品の普及は5月頃、一般民間では
落ち着いた感が出て、さすがに「マスク転売ヤー」は出現する
ヒマはあまりなかったかと。
各スーパーでも簡単に使い捨てマスクを
入手することができるようになった。
10枚入り6ユーロってのがスタンダード。
ただ最近値下がりが始まって、今日3,80ユーロを発見…
他の衛生用品などとともに大拡大している
新市場。小さな洋品店を経営している友人も、
「飛ぶように売れる」と言う。
但し、「だって他のものが売れないから…」
なんだそうで…
春先に始まった引き篭り体制が長引き、あっという間に
夏が訪れ、外に出る機会も少ない、バケーションといっても
おいそれと出かけまわれない、ということで衣類が売れない。
今回の騒動で一番打撃を受けたのが観光業、飲食業と
言われているが、この衣服の製造・販売業も相当な打撃を受けている。
そこで、せめての少額商品ながらも、
オリジナルな柄一杯、まさに一点モノのマスクや…
お出かけ用の高級感を出したラメ入りとか…
スペイン国旗入りマスク。これは売れた。
コロナ大感染国として世界に名を馳せてしまった
この国。でも頑張ろう!みたいな気運が起きたのは確かだ。
(政治的な右左思考を越えての話で)
メッセージのあるもの、笑えるイラスト付きも
結構みるけど、一般生活では疲れるのか、常用してる人は少ない。
写真は「このコロナ野郎!」(英語で言えばファッキング・ビールス)の意。
数々のファッションブランド、スポーツメーカーなども
オリジナルデザインを発表。
アディダス、ナイキらの根強い人気。
スペイン発ブランドMANGOは早々にデザイン発表。
そして、これはオリジナル~!と注目されているのが、
各美術館ショップが発信している名画マスク。
マドリッドのティッセン=ボルネミッサ美術館では、
同館所有の作品らにちなんだマスク発売。好評な売れ行きとのこと。
ルノワール、モンドリアン、リナール、ポール・クリー
などが12ユーロで!
そしてわがサラマンカの、「カサ・リス美術館」
のオリジナルマスク(館内のステンドグラスのデザイン)
も好評だそうで。
しかし全体的にその市場が大きいと感じたのはお子様用マスク。
通学の際、6歳以上の児童のマスク着用が義務付けられた
今日、その需要は拡大されると予想される。
そしてこんな時期にもプリメラ・コムニオン(聖餐式/日本でいう七五三に近い儀式)
を迎える子らもいて、そこにもマスクが…
衣装と合わせたレース仕立てがやはりスタンダードとのこと…
子供のために、孫ちゃんのために、と手作りのマスク
作製も流行っており、そのための型紙や、ハウツー本、サイトも
結構人気の模様。
●…マスク着装、スペイン流(ちょっとトホホ)
さて、数か月の間に普及したこのマスク。
なぜか
「東洋人はマスクのエキスパートだな」
「正直前はおおげさだって笑ってたんだけど、悪かった。
うちらが遅れてたんだな」
などと、喜んでいいのかわからん、微妙なお褒め?を頂く近頃。
しかしですね…実際「東洋のエキスパート」としては
“マスクの効果あんの?!”みたいなシチュエーションに
出遭うことが実に多いんですな。
例えばひっじょーにおおいのがコレ↓
ひじマスク
ちょっと気が緩むとなぜかヒジにはめる。
なぜヒジ?
男性に多い。
かつて日本でヒジにマスクをはめた人を見たことないが…
…なぜヒジカバー?無くさないように?
そしてコレ↓
鼻だしマスク
割とお年寄りに多い。
付添の娘さんなどか直しても、そーっと自分で
移動させたりしてる。
「だって息苦しいんじゃ!」
とのつぶやき付きで。
こちらの方が鼻が高いのはわかりますがねぇ…
効果半減と思うんですがねぇ…
そして個人的に笑いを抑えられなかった
おでこマスク
さすがに近頃は少なくなったものの、
最初のマスクデビューしたての頃、
「マスク=サングラス扱い」をするものと思って、
上に揚げる人が結構いた。
「うわー久しぶり~元気だった~?」
と、マスクを上に揚げて固定する友人。どうしても
↑この山伏の頭巾とイメージが重なってしまい、
笑ってしまうんだけど、笑いの原因説明が
ひじょーにメンドクサイという場面をなんど繰り返したか。
そして最後に…
放置マスク
…「いやいや大変だよ~熱いって!もうマスクの下は熱帯!
冷たいのまずちょうだい!」
みたいな感じで、バルなどに入ってくるなり、
なぜ外してそこにかけるかね!
雨傘じゃないんだから。
そしてなぜか「店内ははずしてOK」と思う人も多く、
“飲食以外では付けていて下さい”とお店の人に
注意され、憮然とした面持ちで付け直す…の場面展開、多し。
さて…もう時は9月。
マスク義務の騒動は落ち着きを見せた感…
なのに…
「なんで感染者減らないの?!!」
が大方の感想か。
むしろ「マスクって効果あるわけ?!!」
の不満と不安の交じり合った声がぼつぼつ
聞こえ始めていますが…
もう今年も残す所、数か月。
先行きが見えず、目先の計画を立てることも
ままならず、なんとなく憤然とした気持ちでこの年を
終えるのか…と、遠い目をしてしまうこの頃です。