スペインサラマンカ・あるばの日々

スペイン語留学の街、サラマンカより、地元情報とスペイン文化、歴史に関する笑えてためになるコラムをお届けしています。

ヒルダ-酒飲みのための究極ピンチョ

2018-04-11 20:42:59 | スペインのタベモノ

いきなりですが。

酒飲みの喜ぶツマミの定義とは、つまるところ

「すぐ出てきて、さっとつまめて、腹いっぱいにならない」

の三原則につきるかと思われる。

こ洒落たモノはいらん、単純明快なモノでよろし。
いくら美味だろうが、「出来上がりまで少々お時間がかかって」はいかん。
グラタン状のような、育ち盛りの子供用オカズもいらん。

 …昭和のおっさんのつぶやきになりますが…

これに次の杯を誘う…“もう一杯欲しいかも”と言わせる何か。
これは後引き要因と呼んでみる。

 これらを持ち合わせた究極のツマミをピンチョス天国、スペインで探す。

 なんと大変な仕事ではないですかww
(いや~大変だww)

しかしながら意外とさくっと結論がでてしまいました、私の場合。


● 実は漬物文化のバリエーションの豊富さ、素晴らし!

保存食文化の歴史は長く、その世界は深い。

人類の歴史=飢えとの戦いの歴史である由、どの国どの地方に行っても
やれ塩漬だ、油漬、乾燥だと様々な工夫を凝らし、知恵を絞って熱心に食料の備蓄をした
文化の軌跡がうかがえる。それも市場やスーパーなど身近な場所に。

スペイン名物生ハム、チーズなんかもその仲間。
またもう一つの名産、オリーブもその代表ともいえる。

そう、オリーブを代表とする様々な漬物はこの土地の人々が好む、
伝統的なおつまみ、おやつ。
(いっつも大人買い欲をそそる、漬物やの店先)

調理不要、保存も利き、お値段も庶民的。
代表的なオリーブの種類も相当に迷うほどだが、それ以外に小タマネギ、キュウリ、ニンニク、ナスなど
あれこれあり、ちょいお酢きつめながらも、ビールなどには最適のおつまみとなる。

商店用広告。バケツ売りにドキドキw

中でも個人的に一時はまったのがこれ↓


 アルトラムセス、エントレモソス、チョチョスなど地方によって呼称は違うが
ルピナス(日本でも観賞用に栽培される)の実。中国ではハウチマメという名で食される。
これを塩漬けにしたもので、枝豆感覚でいくらでも食べれる。安価でどこでも売っているので
ビール好きはぜひお試しあれ。

またピリ辛好きにはこれ、


“バスク風青唐辛子の酢漬け”とでもいうのか。中でも身の締まった小ぶりのものは「ピパーラ」
という名前でよりグレード高し。これはこの国に伝統的に多い豆料理を食する際、一緒に食べると
オナラを押さえるということで、必ず添えてだされる。

どれも「しょっぱ酢っぱい」ゆえ、強すぎる感もあるが、そのパンチが
呑兵衛のドリンク欲を刺激するという…あぶないラビリンスへの入り口であるのは確か。

● 串モノはこっちでも人気

上記に述べた様々なツケモノ系は、もちろんどこのバルでもみかける。
そしてこれらをひょいとつまめるよう、爪楊枝に刺して供する串モノはこっちで人気。
全国的にはこのおつまみ串を「バンデリージャ」と呼ぶのは、闘牛士の使用する銛から↓
(なんかつまみ一つに大げさなネーミングに聞こえますが…)

この串モノは手軽に用意できるゆえ、あちこちに定番ピンチョとして置かれているのみかける。


特に規則はないので、それぞれのお店での工夫がうかがえる。

 オリーブ、アンチョビは使い易い定番アイテム。

ね?“すぐにでてきて、ひょいとつまめて、お腹一杯にならない”代表ピンチョはこれじゃないですか!

●そしてヒルダ。

 ここで酒呑みの盟友、いってみれば「ツケモノ小串」ピンチョの話が終わらない。
彼ら小串仲間のうち、もっともシンプルと思われる

オリーブ+アンチョビ+青唐辛子酢漬

をセットにした串は「ヒルダ」と呼ばれ、北スペイン地方主にバスクあたりの名産ピンチョとして
ご当地キャラ的人気を誇る。

バスク産と言われる所以は、グルメ都市として名高いサン・セバスチャン(ドノスティア)にある老舗メソン、
「カサ・ラスバジェス」で誕生したというエピソードから。
 街の中心地にある地元客におなじみのお店。
これが元祖と語られるヒルダ。

1946年創業当初、この店の常連客の何某氏(お名前まで判明している)が、当時同店で出していたこの三つの
おつまみを串に指して提供してはどうだい?と提案してくれたとのこと。そしてピンチョの名前は「ヒルダ」。

そう、この頃爆発的に人気を呼んだ映画「ギルダ」(スペイン語読みはヒルダ)に出演した、
時の輝くのセックス・シンボル、リタ・ヘイワーズへのオメナージュであったとか。
手袋を脱いだだけなのに皆大コーフンw

94年映画「ショーシャンクの空に」内でも語られたセクシー美人女優さんですな。
(本家の映画「ギルダ」上映は47年後半、当時フランコ独裁政権下。この映画もろのシーンはないものの、
上映と同時に全国各地で上映取り消しが相次いだとか。)

いわく、「オリーブの緑、青唐辛子の辛さ、アンチョビのしょっぱさ」の語意が
緑/Verde=ちょっとエッチで
辛い/Picante=刺激的で
しょっぱい/Salado=ウィットに富んだ…まさにこの大女優への賛辞になるという、言葉遊びとなるわけで。

または、串に刺したそれぞれの違う味をゆっくりしがんで味わうのが、
まさに映画のシーンで長手袋をリタ・ヘイワーズがするすると脱ぐ様子に似てるだの。

まあ、酒場の戯言といってしまえばそれまでだが、こんなエピソードを聞きながら食べるヒルダは
実に美味しい。

しょっぱさ、酸っぱさ、旨みのコラボ。
これがちょうど酒呑みの好きな“後引き要因”となって、ついおかわりを頼んでしまうというわけ。

…しかしながら、この昔から愛されたピンチョも気軽なもんじゃなくなってしまった。
バル店主らいわく、材料、特にアンチョビの価格高騰で、今やあの一切れに1ユーロあたりもかかるように
なってしまった。
「じいさんらの時代には気軽な、お安いピンチョで、カードゲームのコイン代わりに
した位のもんなんだがねぇ…」とのこと。

それでもしぶとく、それも全国的に生き残っているヒルダ。
やっぱり酒呑みの好物はどこでもいっしょなんでしょうねぇ…



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慎ましくも、美味しい聖週間(セマナ・サンタ)

2017-03-28 14:11:27 | スペインのタベモノ

禁、肉食。

禁、バカ騒ぎ。

禁、肉欲行為(爆)。

…セマナ・サンタといわれる聖週間、このキリスト教大国が、最大のリスペクトを持って祝う宗教祭。
月暦による移動祝日だが、毎年3~4月頃にあたる。
そして上記三カ条がこの期間、信者によって守られる(はずの)、「大事なお約束事」。

「牛追い祭」だの「トマト祭」だの、“いいね~ラテンの国はバカ祭りが多くて~”
と言われるスペインにおいて、厳粛、荘厳、そして静粛さをたっぷり含んだこの聖週間。
まさに“光と影の国”と言われる所以、ここにあり。

で、セマナ・サンタ聖週間の意義を無理にワンフレーズで言うならば、

「キリスト様のご受難-処刑から復活をシュミレーション体験期間」であり、
その苦難、悲しみを分かち合い、良き信者としての内省を行う日々。。



「棕櫚の主日」というキリスト様のエルサレム入りをされたとされる日から、
最後の晩餐の「聖木曜日」、処刑された「聖金曜日」を経て、最後の「復活日」までの1週間。
気分的に“黙祷!”てな感じで過ごさねばならない(ことになってる)。



↑こんな不気味な行列が、おどろおどろした音楽に合わせて街中を練り歩くのをみて、
外国人観光客は思いっきり引く。“KKKやん?!”と。(この国の名誉のために言えば、これは
中世から続く衣装で、真似たのはあの団体)



マリア様も煌びやかに衣装をほどこされ、しずしずと運ばれる。途中“グアパァ~!”(べっぴんさんの意)
との呼びかけが次々にかかる。これもすごいなと思う。もし日本で観音像に向かって同じことを
したら、寺の坊主にしょっぴかれること必至だ。

街中に満ちる教会線香の香り、楽団による古臭い音楽、毎夜聖像を担いで練り歩く集団…
何ともウツウツとした祭の期間ながら、正に「キリスト教大国の骨髄」を象徴する重要な行事なのだ。

…とは今では実は言い難いけど。

もう随分前から、このセマナサンタ時期はすなわちゴールデンウィークと化しており、
「今年どうすんの?セマナサンタ?」という現地OL同士の会話は、すなわち
「どこバケーションで行くの?」であり、「どのミサに参加すんの?」ではない。

すなわち、冒頭に上げた三箇条も、実は過去の遺物となりつつある。
(もちろんお年寄りを中心とした信者の方は続けているだろうが…フランコ時代の“全国民を揚げて”の時代は遠し)

しかしながら、このセマナサンタの時期=禁肉食の時期に、
基本肉食の国民が、なんとか工夫を凝らして過ごした伝統メニューというのが
いくつかある。それも結構人気w 以下ちょっと紹介~

●お肉じゃなければ魚を食べれば…

という話になりますが。
冷食も冷蔵庫も、クール宅急便もないし、昔。

なので安価で、持ち運びしやすい魚→塩漬もしくは酢漬、となったんですな。

そのうちの塩漬部門といえば、バカラオ=タラ。その塩漬け、塩鱈。
この時期になると、スーパーで見かける陳列がこれです。


大ぶりに切ったものから、一口サイズ、細かいフレーク状のものまで、実に豊富。
もちろん1年を通してあるものだが、この時期の「季節主力商品」。

これを使い、ひよこ豆、ほうれん草、ゆで卵などと共に煮込んだ「ポタヘ」が最もポピュラー。

http://www.leguminosas.es/wp-content/uploads/2013/03/garbanzos-con-bacalao_fq1rl.jpg

元来“ポタヘ”なるものとは、豆類(種類問わず)と野菜、他の具材
と合わせたツユダク煮込みのことを指す。

味は素朴そのもの。
豆のほっくり感、干ダラの塩味、ほうれんそうの、卵のとろ感が
熱々のスープに混じり合っていて、旨い。まだまだ寒い日々のオカズに重宝する。

このバカラオは使い回しのできる重宝食材、を使って様々なレシピあり。特にこの時期、
バカラオのコロッケやトルティージャ、トマト煮など、あれこれが食された模様。


あと魚の酢漬け。
これを聞くと「小魚の南蛮漬」なんてのを想い出す。
どうやらその昔、テンプラなどと同じく、日本に来た宣教師らの調理法が伝わった云々…の話を
聞いたんだけど…こっちであんま美味しい酢漬食べたことない…(スッパ過ぎるねん!!)
なんか市場とか、八百屋でこんな感じで↓バラで売ってるんだけど…

 うーん微妙。
そう、日本人は妙に魚に関して厳しかったりするのだ。ゼータクにも“小鯛のささ漬”などで育った
自分としては、どうも動かされない。。まあ昔は貴重な保存食品だったろう、とは思うが。

● 余るパン問題から出た、お宝。

なんだかんだいって、肉食の国。
金持ちは、教会から“免罪符”を買ってご禁制のモノをこっそり食し、
貧乏人は、吊るしたチョリソを見て泣く子供をなだめるばかりだったとか。

しかし…パンはあった。
というか、肉食べないので妙にパンが余った、この時期。
これを利用しない手はない。
(それに、日本でお米粒を残すと怒られるのと同様、パンを無駄に捨てると怒るばあちゃんもいる)

その中で、代表的なものといえば「にんにくのスープ」。



もはやスペイン国民、心の味スープの一つ。
古パン、にんにく、ピメントン(香辛料のパプリカ)、オリーブオイルといたってシンプル、
なのにしみじみ染みる一品。

セマナサンタの祭事で有名な街、サモーラはまたにんにくの名産地でもあり、
この時期の夜間祭事が終わると、皆バルに駆け込んでこのスープで体を暖めるのがお決まり。
こんな感じの土壷、木のおさじが定番スタイルで出てくる。

そして…もはやセマナサンタのスター的タベモノといえば、
この古パンで作ったこれ、トリーハ。



いわゆるフレンチトーストなるものですかね。


ミルクと卵に浸したものを静かに油に落として焼いた後、砂糖、シロップ、またシナモンなどを
かけて頂く。バターは使わないのがスペイン風かな。
上手く作ったのは、中がプリン状になっててなかなか美味しい。
こんな簡単なものはない、いつでもできるモノなのに、なぜかこの季節にすごーく売れる。

最近じゃチョコバージョン、カスタードバージョンなどもあり↓


塩タラ、酢漬サカナ、古パン…こうやってみてくと、なんか質素きわまりなさを感じる。
(これはこの聖週間のみに限らず、スペイン料理の根本にそれを感じるものなんだが。)

ああ清貧なるスペインキリスト教徒、新大陸発見ブームも遙か遠く、

その数多くが寒風吹き荒れる荒野にしがみついて生き延びてきました…という印象が残る。

まあそれで溜めたエネルギーが原動力ととなって、普通と違うポップな方向性を
持って弾ける…てのがスペインカルチャーの特性かも…というのはちょっとこじつけですかね?

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春の訪れを知らせる、小さなハーブ

2017-02-24 19:36:01 | スペインのタベモノ

「情熱の国スペイン(←もう飽きたw)」にも冬はある。

日本全国が南国九州・沖縄の気候でないのと同じ。

南の一部を除くほぼ全国において、はっきり「冬」と呼べる季節は存在する。

イベリア半島北部、山間地区においては、道路が遮断される程の積雪量を見る地域が多い。



中部のメセタと呼ばれる広大な高原地区においては、積雪量は少ないものの、
乾いた冷たい風が吹き付ける厳しい冬が毎年繰り返される。

スペイン全国で年がら年中、こんな状態↓ではない(キッパリ)!

ここサラマンカのあるカスティージャ地方の冬は厳しい。

頬を切るような冷たい風に毎日さらされてると、なんでこんなに傘地蔵みたいに
耐えなきゃいけんのだ!?とさすがに当り散らしたくなる。
なおかつ冬から春への移行時期、「三寒四温」の日々が長すぎ…

“なんかもう春じゃ~ん!”と半袖で1日歩き回った翌日吹雪、とかあまりにもなフェイント
が多すぎの日々が続く。5月に雪振りました~とかもう笑えないサプライズも、何度も経験した。

だからこそゆえなのか。

冬という季節が、時々垣間見せる美しさに敏感に反応するようになる。

キリキリと締め付けるような寒気の中で見上げる空の青さ、
冷たい廊下の窓の下にできた、蜜色の陽だまり、
早朝、聖堂の塔をまったり包む、乳白色の霧…なんてのにうっとりしてたりする。

そしてのーんびりやってくる春の訪れ。
これを示す“小さな報せ”に、ふと心を緩ませたりする。

例えばスイセン

ちょっと前までは、少し寒さが緩んだかな…と感じる頃、市場やスーパーの前に
小さなスイセンの花束を売る人を見かけたものだった。
(可愛らしい女の子のお花屋さん…と思うだろうが、大抵村から今来ました、見たいな風情のジャンパー男だった)

薄暗い天気の中に、あの花の黄色が目が覚めるように鮮やか。
ああ、ちょっと春の匂いがしてきたな~としみじみ感じる。
(今では花やで↑こんな感じの小さな花束を売ってる。)

また、いつも横を通る八百屋の店先が、随分彩り賑やかになっているのに気がつく。


いちごの木箱が並び始めるのもこの頃。但し最近はハウス栽培が
ほとんどなので、やたら早くから並び、季節感もないけど…それでもこの赤を見ると嬉しくなる。

そしてその横になんだか普段はみない、カイワレ大根の親戚みたいなのが…↓

この緑の小さなハーブが、食卓に春の兆しを呼ぶマルーハだ。

● カスティージャの春の兆し


その名をマルーハ、パンプリーナ、ボルーハ、レガホと、地方によって変える。

ここサラマンカからエクストレマドゥーラ地方北部、アビラ、サモーラあたり、
またアンダルシア地方一部でポピュラー。日本でいえばハコベの親戚らしい

2月の末頃から3月、清流の流れる小川のほとりにポコポコと群れて生える。

これの先っぽだけを丁寧に摘み取り、よ-く洗い、
塩、オリーブオイル、お酢、ちょいニンニクとタマネギみじん切りでさっと合える。それだけ。


今回は私の料理の師匠Mさんのアドバイスに従って、お酢のかわりに
みかんを絞り入れてみた。

お味の方は~うん!優しい緑の香りと茎のシャワ感が素敵!
みかんのおつゆがお酢のように尖ってないので、うまい具合にまとまってる~

これに生ハムだの茹で海老だの入れたレシピは一杯出てくる…
気持ちはわかる!あんまり素直すぎる素材だからなんかいじりたくなっちゃうのよね!
でもそこは最初やっぱ我慢してみて~と思う。

それだけふんわり、デリケートなハーブ。
「同じ清流に育つ、あくの強いクレソンの、気の弱い友達」というか…(←説明微妙w)

●それでも人は色を希求する

…まあそれでもこんな小さい菜っ葉を食べて何が面白いんだ?
それも微妙に安くないし。
最近では衛生面に関する憂慮もあり、すべて栽培管理がされており、望めは真冬でも手に入る。
(ちょっと前までは八百屋さんの休日バイトだった。弁当と鎌をもってマルーハ狩り?に近郊へ出かけたもんだったらしい)

なのに、店先にマルーハの木箱がだされるとおっ!となり、
レストランで「マルーハあります」といわれると、いそいそと頼む人がいる。

スイセンの黄色。
イチゴの赤。
マルーハの緑。

もうこれは人間の本能なんだろうな。
色の無い、白茶けた高原の長い冬を何ヶ月も越して、最初に目に付く
原色に飛びつくようにできてるんだろうか。昔から。

今年の冬も厳しかった。
ヨーロッパ全域を襲った歴史的な寒波は、ここスペインでも甚大な被害。
野菜の価格、大高騰。

…はやく!はやく!と春の訪れを心待ちにする声が日に日に大きくなっているようで。

★参考資料 "Ven a La Vera"Turismo rural en la comarca de la Vera de Cáceres
★Special Thanks a Masami de Restaurante Japonés SAKANA

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スペイン、最近のカツレツ事情

2016-10-04 00:18:30 | スペインのタベモノ

「ハムカツ」という昭和レトロなタベモノがある。

プレスハムにパン粉をまぶして揚げたもので、まだ肉の貴重な時代、
魚肉ソーセージなどとともに庶民のお腹を満たしたオカズ兼おつまみ。
熱々だったらまあ食べれるけど、別にすんごく美味しいもんでもない。

そのハムカツのいとこみたいなのに、この国で出遭ったのは昔の話だ。
http://imagenescopos.edetronik.es/Productos/Producto1206/4547-alinut-san_jacobo_york-queso_b.300g(4un.jpg
ハムチーズカツ。冷食コーナーに必ずある。いかにもダメメシ。
そのくせに「聖ヤコブ」などと仰々しい名前がついてる。聖人に失礼や!
ホームステイ先の夕食で飽き飽きするほど出てくる、やっすい簡単メニューだ。

「いやいや、アレは廉価版であってね、本来はハムじゃなくて牛豚肉ですよ…」
といわれ、はいはいあのフランスのコルドン・ブルーとか気取った名前のチーズカツね、
と納得する。
http://mobile-cuisine.com/wp-content/uploads/2013/04/cordon-bleu-fun-facts.jpg
あれがなんで聖人の名前をつけられ(一説にはサンティアゴ巡礼道で提供されたというが)
肉なしペラッペラのハムだけになったんねん!?とは…言えないでしょう?肉がない時代、
進駐軍のアメリカさんが食べてるソーセージが羨ましくて、安い雑魚肉でソーセージを作ったうちら日本人が。

まあそれはおいといて。

今年になってなぜか「アストゥリアスのカチョポ」の話をよーくグルメコラム、番組で見聴きするようになった。
アストゥリアスというのは、イベリア半島北北西あたりにある州。スペイン国の元祖ここにありきの地方。
古くは炭鉱業で栄え、緑と海に囲まれた豊かなる、結構地元色濃い大いなる田舎である。
http://www.travelinfospain.net/map/map-asturias.jpg
「カチョポ」とは??
↑前記したチーズカツ、もしくはチーズハムカツのアストゥリアス地元版。
そしてこれがなぜ今更、全国紙、TVにて「今、カチョポが熱い!」「カチョポ流行の兆し」などとと騒ぎ、
マドリッドで“カチョポ・イベント”開催、カチョポ愛する会、カチョポオタクはカチョパーなる自称名を誇るまでとなってる…
(…だれだよ、仕掛け人w…とすぐ思うのが広告屋に振り回されるのが常の日本人ですが)

さて、そのご本人のいろんな画像…
http://www.carniceriasberdasco.es/img/super-cachopo-ensalada-patatas.jpghttp://www.espaciomadrid.es/wp-content/uploads/2015/11/jornada-del-cachopo-madrid.jpghttp://fotos02.lne.es/2016/09/02/646x260/aventura-menu-5.jpg

パソコンのキーボードの写真じゃないです、はい。巨大です。ギャル曽根仕様でしょうか?
そしてめでたく本年度のカチョポ最優秀賞を受賞された、アストゥリアス州都、オビエドのレストラン、
La corte de pelayoのカチョポはこれ↓
https://u.tfstatic.com/restaurant_photos/569/60569/169/612/la-corte-de-pelayo-cachopo-pelayo-dd1a4.jpg
ちなみに肉は牛肉。中身は地元産チーズ、赤ピーマン、生ハム、白アスパラガス。上には青唐辛子の酢漬け。
1947年からの変わらぬレシピで大賞受賞であります。

美味しそう…だけど大き過ぎだしww!
そもそもアストゥリアス地方=レストラン、バルで出てくる食べ物のサイズ量が半端ないです!
ホテル朝食でバスケットシューズサイズのトーストを出され、
トルティージャは厚み5センチ45度角のこれでもか!サイズ、
煮込み、スープ類は1人で行っても土鍋ごとだされます。
どんなガリバーな国に来た自分?!サイズが全然違うぞ?(←すべて自分の経験談)

…ということでこのカチョポなる巨大カツ話をしてたら、南出身の友人がいやいや、うちらのフラメンキン
忘れちゃ困るね、といいだす。

南に行くとロールするのね!主にコルドバ地方ときく。
具はハム卵、野菜といろいろ変えることができるらしいですが。

あとこれは全国区なんですが、Pollo a la Villeroy(鶏胸肉のビルロア風)という、
鶏肉にチーズ風味のベシャメルソースを合わせたものをフライにする、ってのも番外ででました。
これも料理屋の昼メニューによくでてたりします。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f6/Pechugas_Pollo_a_la_Villaroy-10.JPG/220px-Pechugas_Pollo_a_la_Villaroy-10.JPG

そもそもパン粉料理自体、ほぼ世界どこでも似たようなもんがある。
あまり上等でない肉、ちょっと古くなったのも、パン粉をまぶせばほら!
ってことで、シュニッチェル、ミラノ風カツ、コルドンブルー、コトレータ、トンカツとあちこちに広まった経済料理。

地元、郷土愛がハンパない国、加えてタベモノ話が大好きな人が国民性も手伝って、
随分このカツレツ話一つで一晩盛り上がりました~。(なんか全体的に茶色のページになっちゃったw)




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