スペインサラマンカ・あるばの日々

スペイン語留学の街、サラマンカより、地元情報とスペイン文化、歴史に関する笑えてためになるコラムをお届けしています。

スペインを代表する歌はどれなんだ?(2)-今一番歌われている歌

2020-04-08 01:50:27 | スペインがお題のコラム

…どうしたものか。

ついこないだまでは、いつものバルで、いつもの友達と
バカな話で盛り上がってた。



夕方の公園のブランコには、わらわらと子供が
ぶら下がっていて、その歓声が響き渡っていた。


ベンチにはつつましく座って日向ぼっこを楽しむご老人。

市場では、弾けた魚やの奥さんの呼び込みが気持ちよかった。



それが…
新型コロナウィルス感染の爆発的な拡がりにより、
スペイン政府は国家非常事態宣言を発令、
2020年の3月16日より不要不急の外出を禁じる緊急体制を
敷くことになる。



「イタリアとか中国大変だよね~」
なんて他人事のように喋っていたその数日後、地獄が始まった。

人っ子一人いないマヨール広場…

散歩やスポーツも含む、不要不急の外出は禁止。
すべての経済活動は停止、商店やバルレストランは閉店。

一方、あっという間に感染者が爆発的に増加し、
医療破綻が始まるまで数日とかからなかった。

(緊急体制が開始してから3週間程過ぎ、
感染者は14万超え、死亡者は1万3千人を超える)

催事場は緊急病院に、
スケートリンクは遺体安置場に、
一斉に感染者の出た各地の老人ホームには、軍隊が出動
して救出作業が行われる。

あれよあれよという間に、一切の日常の細々した風景が
すべてかき消され、メディアはウィルスの話題一色
の報道となり…

まったく息をつく間もなく、気がつくと
ため息混じりで毎日をウツウツと過ごす自宅軟禁の日々が
始まってしまったのだ。

●夜8時、バルコニーにて

老若男女年齢問わず、自宅待機。
必要最低限の外出以外、すべて禁止。

…せめて外の空気を吸って、陽の光に少しでも
あたろうと、バルコニーに出て午後を過ごす人が
多くなる。

ふと向かい側もみると、やはり同じ考えたらしき
人たちがちらほら…

やがてお互いに声をかけたり、手を振ったり
するようになった。その頃から…

「どうせなら、夜8時に皆でこのバルコニーから
拍手をして、今、頑張って働いてくれてる人達に
感謝の意を示してはどうか?」

というアイデアが広まった。


これが全国区で広まり、今はスペイン全土にて
ずっと行われている、デイリーイベントとなっている。

毎日19時58分ちょうど。

ぽつぽつと各自がベランダに出てきて、以下のように
拍手が始まる。(ビデオ撮影は、とある日のサラマンカ市内)


病院で働いてる医療関係な方達。
公共交通機関をたゆまず動かしてくれている人達。
道路清掃やゴミ収集の方達。
運送業、スーパーや食品店の方達。
警察や軍隊の方達。

すべての方達への感謝を込めて、さわさわと拍手が鳴り響く…
これが2020年の初春の夕方の風物詩となった。

●「RESISTIRÉ / 耐え抜くぞ!」

さて、この拍手セレモニーの後、
必ずやといってよい程、誰かがスピーカーを持ち出し、
DÚO DINAMICO(デュオ・ディナミコ)の代表曲、RESISTIRÉを全員で合唱、
というのが、これまたお決まりの盛り上がりミニイベントとなっている。

(↓ビデオはコルドバの例)


このDÚO DINAMICOは最近のグループというより、
かなり昭和の懐かしグループジャンルの方々。

(写真ビフォーアフターでごめんw)

1958年結成、主に60~70年代にポップなリズムと分り易い歌詞
のヒットソングを連発した2人だ。

その後一旦解散した後に、86年再結成、その2年後に出したアルバムに
挿入されていた曲がこのRESISTIRÉ(レシスティレ)だった。



もちろんこのアルバム自体もヒットしたが、この曲の知名度をその後
アップさせたのは、実はあのペドロ・アルモドバル監督の90年の初期作品
「Átameアタメ~私を縛って」のワンシーンに使われていたことからだった。


(個人的には初めてみたスペイン映画のうちの1つのお気に入り。
アントニオ・バンデラスが当時ピチピチでときめきました…)

以下簡単に歌詞の一部を訳してみる。(超訳です)

すべての戦いに負け果て、
孤独に包まれて眠り、
八方塞がりになって
宵闇に纏われ苦しめられる時。

静寂に怯え、
立っていることさえ苦しく、
蘇るいまいましい記憶で、
圧し潰されそうになっても。

耐え抜いてみせる。
すべてを前に、凛と立ち向かい、
この世が例え嵐を吹き付けようと、
固く鋼のごとく耐え抜き、
折れ曲がろうとも、必ず立ち続ける
イグサのように。

耐え抜いてみせる。生き抜くために。
どんな衝撃にも耐え、決して諦めない。
夢が粉々に砕け散ったとしても、
耐え抜いてみせる、耐え抜いてみせるんだ。

Cuando pierda todas las partidas
Cuando duerma con la soledad
Cuando se me cierren las salidas
Y la noche no me deje en paz
Cuando sienta miedo del silencio
Cuando cueste mantenerme en pie
Cuando se rebelen los recuerdos
Y me pongan contra la pared
Resistiré, erguido frente a todo
Me volveré de hierro para endurecer la piel
Y aunque los vientos de la vida soplen fuerte
Soy como el junco que se dobla
Pero siempre sigue en pie
Resistiré, para seguir viviendo
Soportaré los golpes y jamás me rendiré
Y aunque los sueños se me rompan en pedazos
Resistiré, resistiré

●2020のスペイン応援国歌
 
実はこの歌は今回に限らず、スポーツの試合の際などに
歌われていたとてもポピュラーな曲。

ラテンなヘラヘライメージとは違う、
非常に体育会系な歌詞からくる…この堅牢さはとっても
スペイン…と個人的に感じる。

さてこの歌はこの“コロナに負けるな”応援歌として
この数週間大いに歌われ、DÚO DINAMICO
の両氏は著作権をマドリッド自治体に譲渡したとのこと。

現在実に様々なバージョンがネットに上がった。

一番話題を呼んだのが、スペインの様々な
著名ミュージシャンによって合作で
歌われたこの↓ビデオ。



皆さん自宅待機態勢であるものの、
普段集められない様々なジャンルの方々の合作で面白い。

さて明日も。

そして明後日も。

この応援歌は毎日、同じ時間に全国で歌いあげられる。

小さい子供たちが、ベランダの柵にしがみついて
大声で歌っているのをみると、
どうか、どうか早くこの事態が収束しますように…
と祈る気持ちになるのは、私だけではないはずだ。





参考資料-https://www.elmundo.es/madrid/2020/04/01/5e84b38cfc6c83043b8b465a.html

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