スペインサラマンカ・あるばの日々

スペイン語留学の街、サラマンカより、地元情報とスペイン文化、歴史に関する笑えてためになるコラムをお届けしています。

鉄格子らをいろいろ鑑賞してみる

2019-04-18 01:49:20 | サラマンカ・観光まめちしき

日本において鉄格子というと
どうもイコール牢屋…



というイメージになってしまいますが。

ヨーロッパの古い街並を歩く際、ちょっと目を上げると
あちら、こちらに鉄格子の飾り窓やバルコニーがあり、
それぞれが個性を持ってひっそりと街の景観に溶け込んでいる
のが認められるだろう。

ここサラマンカにおいても、
主に旧市街あたりをぶらぶら散歩するだけで、
実にいろいろなデザインのそれらを見かける。

随分年月の経った、修道院の古めかしい小さな窓枠から…

きゃー串団子になる~!って感じのおそろし窓枠から、

新し目の、凝った扇子型の窓格子(老舗カフェのものです)、

下から見上げられることを意識したタイル貼り。新しい
ものだけど、凝った伝統的な造り。



それぞれが、少しずつ違う鉄格子窓。



真ん中のメダルをよく見たら「1854年」とある↓。
これがほんとだったら、もしかして“ペリー来航”の年?ww



あ、コウノトリ(正式日本名はシュバシコウ)だ。
上向いて歩いてたら目が合ってしまったw。


鉄格子の美しさは、そのデザインだけでなく、光が作る
シルエットにもあるだろう。(Palacio de la Salina/現県議会議事堂)

 

●サラマンカのお宝鉄格子はこれ!

そして、この街の誇る鉄格子は、
かの有名な「貝の家/Casa de las Conchas」に有り。



1517年建立の、すごく平たく言えば「地元豪族のお家」。
ゴシック、ルネッサンス、ムデハルの三様式を重ねて
建つ美しき遺跡。

この外壁、300もの貝の装飾の中にひっそりと
ある2つの鉄格子窓。

どちらも三部分に別れ、部位ごとに工夫を凝らし、
留め金のような部分装飾、また上下にはみ出た尖塔
飾りも誇らしげ。

作られたのは「窓ガラスのない時代」。

住人のプライバシーを守りつつ(なんせ当時のやんごとなき方々ですからね)
風通しををよくして、たまにそっと
外を覗けるようにしたのではないかな。

これが「スペイン・ゴシック期を代表する窓鉄格子」
として、教科書に必ず載るお宝なんですね。

製作者は「フランシスコ・デ・サラマンカ」
(“サラマンカのフランシスコ”の意)という
ドミニコ修道会所属の坊さんながら、鉄格子/鉄柵師だった方。

15世紀生まれのサラマンカ出身という、かなりアバウトな
プロフィールしかないものの、サラマンカを中心に各地に
工房を建て、数多くの作品、そして数多くの優秀な弟子を
生んだ人だったとのこと。



かのセビージャ大聖堂の礼拝堂鉄柵をはじめ、
豪奢な数々の作品を生涯において残している。

それが修道士らしく、ほぼすべて教会内部の装備品であり、
個人宅への提供作品は、例の貝の家の鉄格子のみなのか…

そこらへんの事情は今の所私には知る由もなく、
ただひとつ、

「こんなお宝雨ざらしにしていいんかい?!」
(良く考えたら安土桃山時代のもんだよね?)

と思いながら毎週図書館(現在貝の家の内部は市民図書館に
なってます)に行くたびに横目で見るだけなのであります。