次男坊夕食を作る

そもそもやつはぐうたらな母に似ずアクティブなところがある。
おそらく不言実行タイプの主人に似たのだろう。
大抵は似て欲しくない嫌な面ばかりが似るものだが
メリットの大きい遺伝だったといえる。

で、昨日のことである。
ちなみに昨日は行事の振り替えで学校はお休みだった。
部活もついでに休みだったうえ母は仕事という
久々にのびのびとした休日だったと思われる。

そんな心の余裕がそうさせたのか
はたまた私がご機嫌斜めなのは疲れているからだろうと
思いやってのことなのかは不明だが
とにかくやつの家事スイッチがオンになってくれたのである。

食器洗いから米とぎ、犬の散歩までこなし
そして夕飯まで自分で作ると言い出したのだ。
当然ぐうたらな母がこの申し出を断るわけもなく
私はあっさりとキッチンを明け渡したのであった。

そういえばその昔・・・といっても数年前だが
この次男坊は長男が大好きで
「僕は大きくなったらおにいちゃんの家に住む」
などと長男にとっちゃ甚だ迷惑なことを言っていたのだ。

で、そりゃおにいちゃんに迷惑だよと突っ込むと
「僕がお兄ちゃんのご飯を作る」
と自分の存在理由を主張したものだった。
やはり弟が可愛い長男もまんざらではない様子だった。

そんなに料理が好きなら板前にでもなって
温泉地のホテルにでも婿入りしてくれればいいのにと
身勝手な親はつい考えてしまうのだが
兄弟仲がいいのに越したことはない。

しかしこのままいつまでも仲良しでいてくれたら
何も言うことはないといいたいところだが
男二人の住まいに嫁がくるはずもない。
一刻も早くそのことに気づいて欲しい母なのであった。