村山富市・佐竹信との対談集「村山談話とは何か」角川を読んだ。
中には、自叙伝風の村山市の文章もあった。村山氏は、直に戦地に赴いた人ではなく、内地で終戦を迎えた。武器もろくに与えられず、戦況の悪化を感じ取っていた。この点は、石原慎太郎氏とは、決定的に違う。彼は、米軍戦闘機に襲われ、日本の戦闘機による駆逐によって辛うじて一命をとりとめた。
村山氏は、漁業権問題に端を発して、漁村民主主義運動に関わるうちに、社会党に入党した。彼の視点は、弱者からのものが多い。水俣問題・原爆問題に対する立法も、彼の政権の時にできた。阪神大震災・サリン事件の時の内閣は、彼の時でもあり、いろいろな未解決事案に対処した。
田母神論文については、最初に結論ありきの幼稚なもの、小泉元首相の靖国参拝は、中国人の心情を逆なでするものと、対談中に確認しあっていた。中国側は、日本軍を恨んでいるのではない。その証拠に大陸に残っていた者を捕虜にすることなく帰還させた、と紹介する。恨むべきはA級戦犯らしい。
ここら辺の心情の食い違いは、文化・風習の根本的差異による。王陽明は、生存中祠にまつられた。神力にあやかろうとしたためで、日本では考えられない。毛沢東の死体を公開して我々は、正当な共産主義だと主張するのも理解に苦しむ。死体を晒して、日本軍による犠牲者を観光地にするのと通底する。
宗教を否定する共産党は、A級戦犯をまつる神社に参拝することを理解できない。そもそも、霊魂を信ずることをやめた人から見れば、偉業(見方を変えれば悪行)を顕彰する、または利用する行為にしか見えないわけだ。
靖国に参拝する人は、みんな軍服を着ているなんて信じている人は、日の丸を焼いた中国人の行動を偉業と見なすのも宜なるかな。
共同声明
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html
から中曽根首相の留学生受け入れ宣言→村山談話→犯罪増加となっている。
右翼的な人たちは、村山談話
http://www.mofa.go.jp/MOFAJ/press/danwa/07/dmu_0815.html
の否定を叫ぶが、当時の自民党の閣僚も認めた経緯があり、反故にするのは難しい。ネット上では、捏造南京事件に関して、一生許さないなんて書き込みがまだあり、溝は深い。
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