愛知県にあった昭和52築の我が家は、義父・今は亡き母親が建て、自分も月7万のローン返済を十年近くし、愛着のあったものではあった。 写真の南側・東側のモルタル仕上げとはアンバラランスに、北側と西側は、本格的に竹枠にドロをこねて塗るという本格的な砂壁・漆喰塗り壁の押し入れで、通気を考えたためトタン張りであった。本物の砂壁・漆喰塗りの部屋で生活していた経験を持つ者にとって、石膏ボード・壁紙張りの家は、やはり居心地わるい(作り方にもよるが砂壁は防音性に劣る)。 近所では、太い木をふんだんに使ったしゃれた五十坪に近い角地の家ということで、外観からしても、当時としてはかなり羨望の的というより嫉妬の的であった。 しかし、いくら太い木を使ったからといっても、構造的な問題その他が、トラブルをよんだのであった。 先ず、1メートルほどの擁壁にたつ、この家の窓の多さ・屋根の複雑さは、現在の設計者が嫌うものであろう。道路を隔てた隣は、広い田んぼで、台風が来ると、雨風の直撃をうけた。これは、車の往来の騒音とともに、角地の損なところである。 住宅苦情の一番と言っていいのが、雨・水に起因する結露・カビ・シロアリ・腐れであろう。最近の新築での苦情も、ネットのあちこちで見受けられる。
この我が家も、案の定、三 年ほどで、屋根からの雨漏りがあり、台風の横雨では必ず床が濡れた。メーカーであった三和住宅に瑕疵責任を問おうにも、その当時は法律ができていなかったので、なしのつぶて。また、現在でも、住宅を造った会社を訴えようにも、こちらで証拠をそろえない限り裁判上難しいらしい。 安く仕上げようと親が思ったのか、木材の質が悪かったのか、防蟻処理をしていなかったためか、床束など土台・基礎の木材が、十数年後にはシロアリにやられてしまった。それは、床下の換気口が南北東西に連絡されておらず、また、押し入れの下の土は無換気状態でいつもしめっていたという、今から考えれば、恐ろしいものであったからかもしれない。 注文住宅で、何度も足を運んで確認をしたからといって、ここまでの(当時としては念頭になかったであろう)瑕疵要因を素人が見つけるのは至難であろう。雨漏りにしても、完全にコーキング・漆喰塗りをしても、板金のミリ単位の寸法違い・施工間違いなどで、防ぐことができなくなってしまうものなのである。 つまり、この住宅が短命に終わった原因の一つである欠陥は、施工主による過度の要求・メーカー側の技術不足などのミスマッチから招かれるものなのかもしれない。 以上独断で論を進めてきたが、一応、「欠陥住宅に至る原因を探る」と題した新聞社の記事があったので、参考として以下のページを紹介しておく。
また、このページには、リフォーム事例もあるので関連リンクを参照して欲しい。 http://sumai.nikkei.co.jp/know/kekkan/case20030129c1000c1.html
その他、リフォーム・新築に関するトラブル・悩み事などは、
○NPO住宅110番 http://npo.house110.com/
○HOME'S CLUB http://club.homes.co.jp/
○欠陥住宅苦情ネット http://www.kekkannet.addr.com/index.html
など毎日、投稿・助言が更新されているので、リフォーム・家造りの参考になる。 後書き 振り返ってみると、世話になったこの家は、リフォーム業者に入らせず、自分で畳下の杉板を交換したり、外壁を塗り直したり、そして屋根の漆喰まで塗ろうとしていた。しかし、時期悪く、2004年に台風が十回近くきてしまい、漆喰の隙間から雨が何度となく家の中に入り、数度の地震でブロック塀も危くなるなど、処置のつけようもない状態になってしまった。結局、更地にして売却するという運命になってしまったのである。 一応、ハウスメーカー名を伏せずに記しておいたが、ただ事実だけを記しただけ。実際はハウスメーカーだけが悪いのではなく、下請け業者の腕と下請け業者・設計者との間の連携が、まずかったのだろう。そして、居住者が維持対策を怠ったためでもあろう。
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