とことん青春!

愛は憎しみより高く、理解は怒りより高く、平和は戦争より気高い。

BLOOD+ 37話感想 『狂おしいまでに』

2006-06-25 13:25:06 | BLOOD+

あなたの幸せは何ですか?と。
今回は面白かったな。
37話感想。 

◆似た者同士    
カールにとって小夜は敵でもあり ある意味生き甲斐でもある   

カールにとって小夜が生き甲斐であると言うのなら尚の事
奴に小夜は殺せまい
       

このソロモンとアンシェルの言葉はそっくりそのまま小夜自身にも当てはまります。
何せ小夜も(カールと同じ様に)ディーヴァを倒す事を生き甲斐にしているのですから。
つまり、カールが小夜を殺したら生き甲斐を失う様に小夜もディーヴァを殺したら生き甲斐を失ってしまうのです。
この2人は「生きる意味」に依存して生きている点においては似た者同士ですね。     

◆幸せの形         
あの頃は夢の様な時間だった
でも もう…
 

擬似家族との夢の様な時間はもう取り戻す事ができないとする小夜に対して…

俺さぁ 思ったんだ…
俺達何の為に戦っているんだろうって…   
ハビアやナハビを見て思った             
俺もあんな顔して笑ってた事あったなって 

もう…戻れねぇのか?

私は…翼手だから…         

本当の“幸せ”は翼手と戦う事によってもたらされるのではなく沖縄で小夜達と暮らす事によって得られたとするカイ。
しかし、「人間」,「翼手」といったカテゴリーに縛られる現状の小夜には彼の言葉は響かないんですね。

小夜がカテゴリーに縛られる事無く【自分が自分である】と主張する事ができればカイとの歩み寄りも始まると思う次第。
今回、彼女はそのきっかけを得るに至った訳ですが。     

◆カタルシスを満たそうとするカール     
小夜 一緒に行こう  
家族にすら裏切られた君も僕も           
望まれて生まれてきた訳ではない者同士!
 

カールは自ら望んでシュヴァリエになったのではなくアンシェル達の望みによってシュヴァリエにさせられた存在。
ゆえに、そのアンシェル達から見捨てられれば自分が「何の為に生きているのか?」分からなくなってしまう。
だから、今回、小夜との心中を望んだ、と。

彼は【二人だけの世界】に行く事を望んだ訳なのですが、その様な都合の良い世界など存在する訳が無い。
彼はこの世界ではない自分の理想の別世界があると信じる事で孤独にあえぐ己の感情を浄化させたかったのではないかと。
それだけ生きる事に絶望感を抱いていたのでしょうね。

カールの事を『けれど、あなたに言われるまでカールはその事にすら気付かず、孤独の中で全ての不都合から目を逸している自分に気付かなかった』と評するソロモンの言葉は的確かと。

そして、彼は同じく生きる事に絶望感を抱く小夜と心中する事で死の瞬間に彼女と刹那の一体感を得たかったのではないかと。
そうする事で、自身の孤独感を拭い去る事ができると考えたのでしょう。 

しかし、小夜は今回、自身の「生きる力」を構築する為の“幸せ”を再認識するに至りカールの思惑をはねのけたのです。             

◆小夜 目覚めの兆し
私は死ねない…
こんな所で負けられない…!
私には守らなきゃいけない人達がいるのに!!
             

自分一人で抱え込んでいた小夜がようやく目覚めそうな感のある一言でしたね。
自分は一人ではなくカイを始めとする多くの仲間達に支えられている、と。
とは言っても、現段階ではシリーズ序盤のスタートラインに戻っただけなのですが。

さしずめ、小夜が真の“幸せ”を得る為には、今を犠牲にして翼手と戦うのではなく自身の最大の望みである【カイと沖縄で暮らす事】を選ばなければならない、と。
今自分が望む事をして理想の未来を創るという【今を生きる】事の大切さが小夜の中にも芽生えつつあるかと思う次第です。

◆悩めるソロモン   
僕もまた孤独なのかもしれません         

ソロモンもカールに自分自身を重ね合わせていたのかもしれません。
彼が孤独感を感じる様になったのはベトナムで小夜とダンスを踊った事に端を発するのでしょうけど。
シュヴァリエチームの間でも激しい「すれ違い」が生じていると思う次第です。 

以上、段々と物語の落とし所が見えてきた37話感想でした。