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仕事で「一皮むける」 (光文社新書)

2012年07月24日 | 職業経験

仕事で「一皮むける」 (光文社新書)
http://book.akahoshitakuya.com/b/4334031706

仕事で「一皮むける」 (光文社新書)<

青山WSDの講義で、企業内におけるワークショップについて考えるときに役に立つと推薦された本。
経営者の人たちが「一皮むけた」と感じた業務内容についてインタビューした結果をまとめたもの。
インタビュー実施時には、ミドルと言われる世代が同席し、経営者達の思いを共有することを行った。こういう経験が、ミドルにとって、これからの貨車人生に役立つものとなるとも書いてありました。

以下、抜粋■
〇調査者が感動したこと
関経連のメンバー企業で経営幹部をしておられる方々には、語るべき豊かな経験がいっぱいあり、また、それを受け止める聞き手のミドルが、経験の物語に引き込まれたころ。語り手、聞き手の双方に大きな気づきがあった。

〇経験を語ってもらうには・・・
「自分のベストジョブを挙げてください」
「ひとの評価はどうあろうが、自分なりにこれだと納得のいく仕事をあげてください」
「一皮むけた経験をいくつか挙げてください」
などと質問すると、具体的な物語を語ってもらえる

〇C.G.ユング 40歳間際を「人生の正午」であり、「40歳から本当の個性化が始まる」

〇節目をくぐる F.フィッシャー&C.L.クーパー
・親になるとき
・子供や青年が新たな環境に入るとき
・親元を去るとき
・ほかの文化のもとに移るとき
・学校を出て就職するとき
・職場内の大きな異動があるとき
・失業、退職したとき
・海外勤務したとき

〇人生の物語、以下の要素を内部化したもの
 :疑問、軋轢、不安、焦燥、もがき、落胆
 :折衝、妥協、調和、和解、協力
 :首尾、不首尾
 :昇進、昇格、左遷
 :納得、気づき、充足、満足、不満、反省

〇エンプロイメンタビリティ(慶応 花田先生の造語)
 魅力ある職場を提供しつづけられる会社側の力
 「雇用の未来」 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532149258 が参考文献
 
〇Lessons of Experience(モーガン・マッコール)
(1)アジェンダ(大きな構想と実施細目の両面を示す)を構築し、実施する
(2)ひととの関係を扱う
(3)基本価値に基づいて行動する。それをほかの人々に伝達する
(4)エクゼクティブとしての資質を試される。それを高める
(5)自分について深く知り、個人的な自覚を高める
(6)ほかの人びとへの依存状況に対処する
(7)経営幹部らしい深い思考をする
 :この本の中で quantum leap experienceと表現されているものが「一皮むけた経験」と作者が呼ぶ
 :ひとの成長は、漫然と斬新的にずっと進むのではなく、ここぞというときに大きなジャンプがあるというイメージが込められている
 :内面的な変化であり、うまくキャリアを歩めば繰り返し経験できる

〇ニコルソン 「トランジション・モデル」
第一段階 新しい世界に入る準備段階
第二段階 実際にその世界に初めて入っていって、いろいろ新しいことに遭遇する段階
第三段階 新しい世界に徐々に溶け込み順応していく段階
第四段階 もうこの世界とは新しいとはいえないほど慣れて、落ち着いていく安定化段階

〇作者の考えるキャリア観
成人となってフルタイムで働き始めて以降、生活ないし人生全体を基盤にして繰り広げられる長期的な仕事生活における具体的な職務・職種・職能での諸経験の連続と節目での選択が生み出していく回顧的意味づけと将来構想・展望のパターン

〇MIT エドガー・シャインの問い
次の3つについて内省することがキャリアについての基盤を提供する
(1)自分は何が得意か?
(2)自分はいったい何をやりたいのか
(3)どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか?

〇マイケル・アーサーの問い
(1)自分ならではの強みはどこになるのか?(ノウハウの問い)
(2)自分があることをしたいとき、それをしたいのはなぜか?(ノウホワイの問い)
(3)自分はこれまで誰とつながり、その関係をどのように生かしてきたか(ノウフームの問い)


〇最初の上司との相性やつながりのよざが大きなインパクトを持っている

〇リアリティ・ショック
期待に胸を膨らませて入社したのに、現実とのギャップが大きく、その結果陥る幻滅感のこと
 :働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書)  http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/456961941X

〇産業心理学者 フェルドマン
「職場の集団への加入儀式」:職場集団のメンバーに自分も仲間の一員として認めてもらうこと
「職場の仕事上の課題面での加入儀式」:職場の課題に仕事面できちんと貢献できることを認めてもらうこと

〇サクセスフル・エイジング
 仕事をしながら齢を取り、キャリアを積み、よい方向で成熟していくこと
 
〇新規事業で学べること
(1)何もなく、あるのは使命だけという状況のなかで、管理者は何が重要なのかを識別することを学び、また使命を成し遂げるために組織化することを学ぶ。
(2)必要な人員構成を図ることは、どのように部下を選び、訓練し、動機付けるかを管理者に教える
(3)成功裡にことを成し遂げれば、「生き残れる」ということを管理者に教える。この原体験が、自身を強めさせ、リスクに立ち向かう心構えを培う。
(4)管理者は、どのくらいのリーダーシップが必要であり、またそれがどのくらい孤独であるかを学ぶ。
→この経験を内部化し、キャリアの中に位置づける作業が必要

〇一皮むける海外勤務とは?(海外ミドルの適応と長期的キャリア課題)
(1)日本にいるときよりも、ワンランクもツーランクも上の仕事になる。
(2)現地法人の社長は、エースクラスのひとが赴任している可能性が高い。スケールの大きい人の下が望ましい。
(3)日本から来たVIPとともに行動する時間が長くなること
(4)たとえ、30代でも会社を代表するような振る舞いが要求される
(5)多様な価値観への許容力と適応力が身に付く
(6)世界を視野にとらえた思考ができるようになる
(7)異文化コミュンケーション能力が身に付く
(8)異質な人材へのマネージメントができる

〇ハードシップ(修羅場体験)
背伸びでもなく、いじめでもなく、これ以上はダメというギリギリのところを経験する業務を指す

〇悲惨な部門、業務改善の場から学ぶこと
(1)タフであり説得的でありこと
(2)タフでありながらも配慮を忘れないこと

〇ラインからスタッフ部門の場から学ぶこと
(1)業務を遂行するためのスキル(New Skill on the Run)
(2)利害がらみの高い目標の業務(Play for High Stakes)
(3)人々との戦い、時間との闘い(Trying people, trying times)
(4)肉体的・精神的な負担に対処する(Handling the Physician Strain)

〇What構築能力
顧客の判断基準や価値基準を充分に理解し、顧客にとってより価値の高いWhatを提案する能力

〇ミシガン大学 カール.E.ワイク
適応は適応力を阻害する
私が何を言いたいかは、言ってみないと分からない

〇プロジェクトチームへの参画から学ぶこと
(1)ほかの人びとの考え方を理解する
(2)自らの知識の習得だけで切り抜けるのをあきらめる

〇幸せな物語(中国の故事)
(1)ものすごい独裁者がやったので、みんなは下を向いているだけ
(2)中心になった人がすばらしいから、みんながほめたたえる
(3)みんな俺がやった、俺がやったと自慢する

〇「戦略的自立性」と「戦術的自立性」
 :「戦略的自律性」 研究者がどのような研究領域を選び、何をテーマとするかと自分で描けるという自律性、テーマは自分で選びたいのだが、そのテーマにどのようにアプローチするかはきちんと指示してほしい
 :「戦術的自律性」 研究者として道具箱の中から自由にツールを選ぶ自律性、どんなテーマでも器用にこなす自信があるから、テーマは上から決められてもいいが、テーマへのアプローチ法は自分にまかせてほしい
 
〇キャリアミスト
 霧が急に立ち込め、進むべき道がよく見えなくなってしまったときだ
 :自分がキャリアミストに入っていると感じたら、「メンター」を探す

〇岡本裕子
 生涯発達には「個としての発達」だけでなく、「かかわりのなかでの成熟」がある

〇グローバルスタンダードの時代に必要なもの
(1)transparency 透明性
(2)disclocure 情報公開
(3)accountability 説明責任
(4)conflict of interest 利害相反しない中立的立場

〇ジョン・クランボルツ
・大半のキャリアは、計画された偶然の上に成り立つ

〇リーダーシップ論
=ロジャー・エンリコ
 (1)異なる視点から思考せよ
 (2)リーダーとしての視点を持て
 (3)アイデアは社内外での現場で試せ
 (4)ビジョンにまとめあげろ
 (5)実際にものにする

=ジャック・ウェルチ
 (1)Energy リーダーシップをとる人にエネルギーがなければならないこと
 (2)Energnize そのエネルギーでみんなを元気にできること
 (3)Edge 尖っているとか、切れるということ(情報不足でもタイミングを捉え決断できることや、あるアクションをとればだれかががっかりすると知っていても、そういうタフなアクションが取れること
 (4)Execution 決断したこと、アクションを取り始めたことを最後までどんどんやり通し、実施すること


◎気になる言葉
・原理原則からスタートすることの重要性/トップダウンのアプローチの重要性
・「人と人との繋がり」情報を送りっぱなしではなく、フェーストゥフェースで相手の顔色や言い方と感じとっていく
・チームプレイの大事さ
・多人数で目標に向かって業務をすることの大切さ
・立場や年齢を超えて相手を大事にし合う関係になれば、人間関係という一生の財産が築ける
・夢なんか実現しっこないというひともいるが、実は夢しか実現しない
・公私峻別は上に立つ者が意識的にやらないと駄目
・意欲だけでは、どうにもならない。それなりのノウハウとか知識とかを持ち合わせていないと、事業というものはそう簡単には成功しない
・「問題に直面したら、お客様にも正直に事情を言うことで解決の道が開けることがあること」「必要ならば、お客様でも巻き込む大胆さと正直さが必要なこと」「メーカーの活力の源泉は製造現場にあり、できる限り、現場に足を運ぶことが重要である。
・「陣立て」への気づき
・「心のつながり」「ひとつの規範にこだわらない」
・間違えたら認め、柔軟性を持ち、結果には責任を取ることを忘れない
・企業というものは弱い生き物の集合体であり、それぞれの強い所を組み合わせて組織の運営を進めていけばいいこと
・自分が何も知らないことを知っていたこと
・「ひとの話をよく聞くことと、相反するが、拠って立つスタンスがぐらつかないこと」「卑しくならないこと」
・逃げ道を作らずに自分自身の価値を高めよう
・「共通の課題を真剣に考える体験をした同志的な仲間、ネットワークを作ること」、「多くの他人の眼でモノを見て、それを自分に吸収するような仕組みを持つこと」



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