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キャンプ用具メーカー『スノーピーク』、その事業戦略が成功した理由について考えてみよう。

2014年09月21日 | 事例の紹介
筆者、実は一時期ではあるが『カヤック』に嵌っていた。毎週のように川にくりだしては、船をこいでいたのだ。1980年ごろのことだが、そのとき時代は確かにアウトドア・ブームだった。雑誌『ビーパル』が創刊されたのもこの頃、毎月書店にいっては購入していた記憶がある。80年代といえば、バブルのときだが、けっこうお金にも余裕があり、現金ですべてのカヌー用品を揃えたものだ。
オートキャンプはしなかったが、いつもそれらのグッズは気にとめていた。しかし、バブル景気がおわりを告げると同じくして、キャンプ人気も影をひそめる。筆者自身、仕事で忙殺されるようになる。だいたい、1993年のことだ。

この頃、ほとんどのキャンプ用具メーカーも「冬の時代」を迎えてることになる。売り上げが右肩さがりの状態が毎年のようにつづいていく。『スノーピーク』社も、翌年の1994年から同様に毎年減収となった。
減収が、5年もつづいていくと、経営者としてはどんな心境なのだろうか。当然、夜も眠れない日々がつづく。しかし、社長の山井は諦めなかった。ある策を思いつく。簡単にいってしまえば、直接ユーザーの声を聞こうということ。
どうして、買わないのかを直接きいてみれば分かる!そう判断したのだった。
普通ならば、ユーザーを招いて懇話会などをおこなうところだが、ここで社長の山井は『特別な方法』でのぞんだ。それが、本物のキャンプ場で開催する2泊3日イベント、「スノーピークウェイ」。これを思いついたのが、素晴らしい着眼点だった。人って、そんなに簡単に心をうちわけるはずがない!それは事実だ。やはり、だれでも警戒はするだろう。しかし、1日2日と顔をあわせているとどうだろうか。相手が何を考えているか、徐々にみえてくるものがある。そこが狙いだった。

「どうして買わない」という問いに答えてくれたユーザーが発した言葉は、山井にとってはかなり重かった。第一に「品物がいいのは分かる、しかし売価が高すぎる」。そして第二には、「どこの店にいっても御社製品で欲しいものが置いていない。あれば、買うかもしれないのに、、、。」だ。
価格をさげること、そしてきちんと品揃えをしてくれる店をつくること、この2点だった。しかし、原価計算をしても、価格をそう間単にさげるわけにいかない。しかも、自前で販売店をつくるというわけにもいかない。
試行錯誤してとった策は、つぎのようなものだった。
中抜き、つまり全ての問屋との取引を中止する。そしてさらに、小売店もあるアイテム以上の品揃えをしてくれる店だけに絞る!という案。これは、ひとつの賭けともいえよう。千店舗あった取扱店を、4分の1の250店舗の特約店だけにまで減らす。

しかし、その策は当たることになる。この策をとった翌年から売上が回復したのだ。1999年、15億円以下になった売上を、2000年からは毎年増収となった。現在、年商45億円という。

考えつく「成功のポイント」を列記してみよう!
(1)品質は、最上級をめざす。
(2)修理も、数日で対応することを実施している。
(3)すべての商品が、オリジナル。他社の真似は絶対にしない。
(4)社長をふくめ、社員全員がキャンプマニアである。
(5)品質を下げずに、できるだけ低価格販売をめざす。

それぞれ詳しくみていこう。
(1)品質と価格は、相反する事項だ。品質をあげれば、当然のこと価格も上昇する。どこを削り、どこの品質を落とさないか。この見極めが課題なのだが、それができている。
(2)このレスポンスの良さは、ほとんどのメーカーが見過ごしている項目だ。それでは、いっとき売れても「ヘビーユーザー」にはならない。マニアという人種は、同じひとりの人間が何度も買うからだ。キャンプ人口は限られている。そこを無視しての成長はない。
(3)スノーピーク社は、キャンプ業界のことまで考えている。独自の良さを提供できれば、お客様の選択肢が増える。つまりそれは快適になるということ。キャンプが快適になれば、キャンプをやりたい人も当然ふえるだろう。
(4)キャンプ好きの自分たち社員がほしいものをつくるというスタンス。好きだから、探究心がうまれ、そして画期的なアイデアもうまれてくる。
(5)低価格には、地の利もある。本社が新潟県三条市にあるスノーピーク社。さまざまな製造メーカーの集積地ともいえる三条市で永年つくりつづけてきたメーカーだから、古くからの公私の付合いがあり、さまざまな要望、要求をお願いすることも可能だ。つまり無理がきくということ。

さて、『エクスマ』(体験型マーケティング)から、成功のヒントを探ろう。
(1)狭く売れ!
素人キャンパーには、眼をむけない!購買層は、目利きのヘビーユーザーだけ。だから、少々高くても、しっかりしたものを購入する。
(2)体験を売れ!
体験型イベントの「スノーピークウェイ」。毎年、全国で開催しているこの催しだが、社長の山井はすべてに参加しているという。社員もふくめ、売る側も体験をしながら、ユーザーも楽しませている。どう使うのかや、どのようなキャンプをするのか!までを実地に示しながら、ユーザーを満足させる姿勢には学ぶものがあるだろう。
ヒトは深く知れば知るほど、知識を高めれば高めるほど、愛着がわくという心理があるようだが、そこを上手く訴求しているといえよう。
(3)感動を売れ!
全国、50店舗の特約店には、スノーピークの社員を常駐させている。知識は豊富であり、修理品の対応も品目は限られるができるという。アフター面も万全だから、会社そのものに感動するのだろう。

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