いまは日本中に知れわたった、B級グルメの雄・『富士宮・焼きそば』ですが、発端はなんと「市民13人による地域活性化運動」でした。驚きは「焼きそば」業者が入っていないこと。
まず、10年ちょっと前の当時を振りかえってみましょう。
富士宮市には、かなり観光資源はあるんですよ。
また、富士登山の上り口でもあり、知る人ぞ知る「ビックな寺院」もあります。人はかなり来るはずですよね。しかし、ある事(寺と檀家の対立)がキッカケで参拝者が激減。そのため当時すでに空洞化がおきていたといいます。それはもう深刻な状況でした。
1999年、富士宮市は「中心市街地活性化基本計画」を策定するにあたり、市民への協力をあおいだといいます。市の呼びかけに対して、市民13人が集まったそうです。
メンバーは、会社員と主婦でした。そして会議を開き、喧々諤々の意見を出し合ったそうです。
でも、これという案はでなかった。たまたま、市と商工会議所が開催した『中心街活性化ワークショップ』で、「焼きそば店」の出店がきわめて多かったこと。それと「焼きそば」に使われていた「麺の味付け」もオリジナリティがあることが分かったといいます。そうだ、「焼きそば」をメインに売りだそう!そんな案がうまれたようです。
もともと「富士宮・焼きそば」は、普通の麺とはまったく違っていました。
その理由は、昔から富士講・霊場だった富士山への登山客、そして寺への参拝者が、家に持ち帰るには普通の麺だと腐ってしまうということ。そこで、保存ができるように、街の製麺会社・マルモ食品工業が、新たに開発したのが、この麺だったといいます。水分を減らしたため、コシがある麺。食感が違うといいます。
ここにトッピングとして、「肉カス」を使用したり、特製ソースを使ったりで地域独特の味が仕上がっていました。
これに眼をつけたわけです。
この13人の市民が初めにやったこと。それは、地域にどんな店があって、どんな内容かを調査することでした。調べを進めていくうちに、地元テレビ局からの取材があったそうです。そこで、代表がおもわず口をすべらした。
『我々は、「富士宮やきそば学会」を立ち上げ、「G麺(ジーメン)」が調べている』。そんな話しをしたそうです。
言っちゃったからには、その通りにしなくちゃいけない!
それで、実際に「学会」を立ち上げ、調査員を「G麺」としたといいます。これが2000年の話し。
で、作ったのが「焼きそばマップ」。
まあ、ここまでは誰でも考えはつきますね。
ところが、ここで新たな展開があったわけです。
それが、大手ビール会社との提携。
怖さ知らずに、「アサヒビール」にいって、ビールとコラボした
焼きそばのポスターを作ってくれないか!
こんな事を切り出したそうです。
それが意外にも、あっさり承諾をえた。
これに気を良くして、ライバル会社の「キリンビール」にも依頼。ここでも、すぐにオッケーの返事。
さらにさらに、高速道路の「NEXCO」に対しても、申し出を。
ここでも、了解がえられるという早業。
さすがに素人パワーです。
これが、一躍「時の人」ならぬ、「時のグルメ」に大変身を
とげさせたわけです。
そして、ここに新たな流れが加わることに。
なんと「焼きうどん」で町おこしをしていた北九州市からの挑戦状が舞い込みます(2002年秋)。この戦いに僅差で負けはしたものの、マスコミには格好の材料を提供。全国に知れわたるわけです。
すると、今度はB級グルメ選手権をやろうというアイデアが
各地で町おこしをしている団体からでてきます。
そして、2006年2月に八戸で、B級グルメの祭典「B-1グランプリ」が開催される運びに。全国10チームが参加。けっきょくグランプリは、この「富士宮焼きそば」が初代チャンピョンになります。富士宮で開かれた第二回も、栄冠を獲得。押しも押されぬ、B級グルメの王となったわけですね。
現在、年間50万人が富士宮に訪れるといいます。経済効果はなんと439億円。
13人の市民が仕掛けた「町おこし」が、町に活気を呼び込んだという話しです。
町おこしには、ちょっと参考になりますね。
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