若者の就職問題に迫る！その１ NHK特集「日本の、これから～就職難」番組から、その解決策を探ってみる！

12月25日（土）ＮＨＫ総合21:00から２時間枠の放送番組。

結論から言いますと、この手の討論は、「討論のための討論」に終始するということがありますね。つまり、せっかく良いアイデアが出たにもかかわらず、実行しないということ。

できれば失敗してもいいから、モデル地域でやってみてほしいところです！そうすれば仮に初めは上手くいかなくても、そこからどう組立て直していけば、動き出すか、その道標がみえてくるはずですから。

もう一つのポイントは、「第三者評価」というキーワード。この番組で出てきた、いくつかの提案ですが、この「言葉」を通してみると、解決の糸口が見つかるように思いました。後でもふれますが、「第三者評価」は、現代日本が抱える諸問題の「メイン・ソルーション」になると思われます。

この番組の参加者は、以下の人たちです。局で募った学生・企業人事部・大学関係者と、パネリスト６名。パネリストの顔ぶれは、鈴木寛（文部科学副大）、和久井康明（㈱クラレ代表取締役会長）、ロバート・キャンベル（東京大学大学院教授、勝間和代（経済評論家）、海老原嗣生（㈱ニッチモ代表取締役）、宮本みち子（放送大学教授）です。

番組オープニングから、司会進行役の三宅アナが参加者に話を振りますが、これで問題に深く踏み込んでいけるのか、ちょっと不安になりましたね。

で、ようやくパネリストのプレゼンが開始。ここから、本題が見えてくることになります。

プレゼンターのトップバッターは、経済評論家の勝間和代さんです。

その主張するところは、２点。

「新卒一括採用やめろ～」「解雇規制を緩和しろ～」です。

まずは、第一の提案、「新卒一括採用をやめろ！」ですね。勝間さんの主張するところは、新卒一括採用制度の問題。それは、この制度ですと、学生も企業も一斉に集まってきて、お盆のホテル状態になるということ。お盆のホテルをみても分かるように、混み合っているため、売り手市場になり「割高」でさらに「サービスも悪い」という状況が起きてしまう。

確かに一括採用は問題の多い制度であることは間違いないでしょう。早く動かねば就職できない。そんな焦りからか、大学３年からはじめますね。学生によっては1年、２年からも。これで十分な勉学ができるのか！ちょっと疑問にもなってきます。

解決策を考えるうえで、米国の事例が取り上げられました。米国では、若者にたいする採用枠がいくつも開かれていますが、その中で仕事の未経験者が応募するのは「エントリーレベル」枠といいます。新卒や既卒といった区別がないのが特徴。また学生が体験入社する「コープ」、そして卒業後に仮雇いとして入社する「インターン」があり、いずれも働きぶりにより正式採用のチャンスがあるといいます。若者は採用時期に縛られることなく、自分の目標とする仕事や自身の能力にあったキャリアを選択できるというわけです。

そもそも、一括採用は日本だけの制度ですね。半ば企業が、企業論理によって作り上げたものです。企業側からしたらコストや人員計画の面で、非常に都合がよい。一方、学生側にとっても、すこしメリットはあります。学生のほとんどは即戦力にはならないわけで、いわば企業側に育てるという意識のもとで採用されるわけです。いわば「ノビシロ」を期待しての採用ですから、即戦力となる経験者（転職組）と競合するよりも多めに採っていただけるということ。これが学生にとって都合がよい面といえるでしょう。

さて、勝間案の第二、「解雇規制を緩和しろ」です。ここで取り上げたのが「デンマーク」の事例。デンマークでは企業にたいする解雇規制がかなり緩いといいますね。そのかわり働く側・雇用者には手厚いセーフティーネットがしかれています。失業手当は、それまでの給与の最大９割。さらに最長で２年間も支払われ続けます。解雇された人は、この手当ての受給中に職業訓練を受け、新たな職探しができる。というよりも、そもそも職業訓練を受けないと失業手当は受給できないといいます。雇用の流動性を高め、安心して新たな仕事をえることができる仕組みというわけです。社会全体としても産業構造の変化に柔軟に対応できる分、国際競争にも打ち勝てる人材（戦力）をえるということになりますね。

勝間さんの提案そのものは、しごく真っ当なものです。ただし、その財源が国家にないというところがネックといえるでしょう。現行の日本における失業給付が、平均年収で計算すると、実質５０％で最長給付期間が２４０日といったところ。職業訓練もメニューが乏しく、さらに内容もお役所仕事で実社会では、あまり役立ちません。現行の給付金総額のなかでも改善できる部分はかなりあると思います。

つづく。