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アイヌ語で各国言語を解釈 三陸町綾里の佐々木さん(東海新報)

2008-02-08 00:00:00 | アイヌ民族関連
アイヌ語で各国言語を解釈 三陸町綾里の佐々木さん
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 大船渡市内のアイヌ語研究家が、「アイヌ語は世界の言語に共通する」というユニークな研究を進めている。右という言葉は各国とも西を指し、左は東を指すことをアイヌ語解釈で“発見”。それが全くの偶然か、アイヌ語には世界に共通する要素があるのか、今後の課題としている。
 個人の趣味の範囲ながら、アイヌ語研究をライフワークとして取り組んでいるのは、同市三陸町綾里字野形、佐々木澄さん(72)。市身障協副会長でもある佐々木さんは、人一倍の情熱でアイヌ語と格闘してきた。
 「昔から地名や方言で意味不明な言葉は、アイヌ語の音声の意味を並べればその内容が明らかになってきます」と語る佐々木さん。
 もともと文字がなく、発音のみで伝わってきたアイヌ語には、一字一音それぞれに意味があるという。アは座る、イは所、ウは皆、互いになど。それらが組み合わされて、カムイは神、アイヌは人などの意味になるが、それを理解するには読解力も必要。
 日本語の「冬」の場合、フは生、ユは湯が原義。「生の湯」とは、熱い湯の元は水で、その元は空から降ってくる雪だけに、雪の降る時期がフユとなる。
 佐々木さんは、こうした一音ごとに意味を持つアイヌ語ならではの特色から、日本語、沖縄方言、英語、スペイン語、ギリシャ語、中国語と、各言語をアイヌ語で解釈する研究を進めてきた。
 その結果、不思議な事に気が付いた。「右」「左」という言葉を解釈したところ、日本語の右や英語のライトをはじめ、各国とも右は西の方角、左は東を指す意味になったという。
 「これは一大発見ではないか」という佐々木さんだが、その理由として考えられるのは、太陽の運行。
 人が朝日を拝むのは東で、そこから昼には南に移動、夕方には西の空に没する。北半球に住む人にとって、生活の基本となる太陽は北を背にして左側の東から一日が始まり、右側の西に至って一日が終わるため、「右は西」「左は東」の意味を含む言葉になったようだ。
 現在、イタリア語やエジプト語にも研究範囲を広げている佐々木さん。「お早う」「今日は」に始まり、頭、顔、手足など身体を指す言葉、海、山、川、太陽、月など自然系の言葉、「行く」「来る」の動詞に至るまで、アイヌ語で解釈すると、「意味する内容は不思議に同じ」という。
 日本と中国は同じ漢字文化圏だが、意外にも発音が複雑なため中国語は難しそう。むしろ、「英語はアイヌ語によく合致する」とも語る。
 赤ちゃんが発音する「ンマンマ」。日本語で「ママ、マンマ=食べ物」と解釈するか、英語などで「マー、ママ=母親」と解釈するように、単なる偶然か。それとも人類皆きょうだいだったはるか昔の名残がアイヌ語に潜んでいるのか、佐々木さんはさらに研究を深めることにしている。

2008年02月08日付 7面



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