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「食用カンガルー」揺れる豪州 温暖化対策メニューに業者ら反発(フジサンケイ ビジネスアイ)

2008-10-28 00:00:00 | その他のニュース
「食用カンガルー」揺れる豪州 温暖化対策メニューに業者ら反発
2008/10/28

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シドニーのスーパーマーケットで売られているカンガルー肉のパック(ブルームバーグ)
 カンガルーはオーストラリアの“顔”だ。紋章や硬貨の図柄だけでなく、人気テレビ番組「スキッピー」(国内で1966~68年に放映)では主役を飾った。ところが、経済学者で政府の気候変動アドバイザーでもあるロス・ガーノート氏は先月、家畜が発するメタンガスやゲップの削減対策として、カンガルーを食肉として推奨した。この提言は消費者やエコロジスト、160億豪ドル(約9320億円)規模の国内家畜産業界から反発を受けている。

 ◆メタンガス削減

 科学誌「コンサベーション・レターズ」に掲載されたエコロジストのジョージ・ウィルソン、メラニー・エドワーズ両氏の研究報告によれば、牛や羊の腸で生成されるメタンガスはオーストラリアの温室効果ガス排出量の11%に上る。これに対し、カンガルーのメタン生成量は極めて微量だということだ。

 オーストラリア先住民族はかつて、欧州人が移住してくるまでの6万年間、カンガルーを食用にしていたが、移民が牛肉や羊肉を好んだ結果、今では畜産業界が羊8600万頭、牛2800万頭を飼育するに至っている。

 しかし一方で、野生のカンガルーも3400万頭が生息する。

 ウィルソン、エドワーズ両氏によれば、2020年までに牛700万頭と羊3600万頭をカンガルー1億7500万頭に置き換えることで、年間3%に当たる1600万トンの温室効果ガス削減につながるという。

 ◆牛肉にかなわず

 政府は、50年までに温室効果ガス排出量の60%削減を目指す政策の一環として、10年にカーボントレードシステム(排出量取引制度)を導入する。ガーノート氏は、排出量取引の対象として早々に農業項目を含めることを推奨している。

 同氏のリポートによれば、国民1人当たりの農業による温室効果ガス排出量は世界水準の6倍で、OECD(経済協力開発機構)加盟諸国中ではアイルランド、ニュージーランドに次いで3番目。牛肉および羊肉の消費による排出コストの増加で価格上昇が見込まれるため、「豚肉、鶏肉、カンガルー肉など、排出量の少ない食肉への切り替えが促進されるべきだ」と、ガーノート氏は指摘する。

 赤身肉を週に3、4回食べ、狩猟を趣味とするジャック・ピーターズさん(42)は「羊肉が高騰すれば、カンガルー肉ブームが到来するだろう」と語る。

 先住民のアボリジニは、18世紀に白人移民のライフスタイルに影響されるまで、カンガルー狩りを行っていた。カンガルー肉は飼育したシカに味が似ているが、シドニー、メルボルン、ブリスベーンなどの東沿岸地域では、1995年まで食用としての販売は禁止されていた。

 しかし、家畜産業の代表者らは、カンガルー肉は質、量ともに牛肉や羊肉にかなわないと主張。4万5000人の会員を抱えるオーストラリア食肉・家畜協会のデビッド・トマーソン氏は、電話インタビューで「牛肉供給量はカンガルーの約10倍。これを全部カンガルーでまかなうとしたら、狩猟チームを作って一斉にカンガルー狩りに出かけなければならない」と語った。

 オーストラリアなどの先進国では、1人当たりの年間肉消費量は自己体重に匹敵する80キロ超で、1日の消費量は224グラムに換算されることが、英国の医学誌「ランセット」に昨年発表されている。

 ◆愛着の問題

 オーストラリア環境保全基金のコレイ・ワッツ氏は、「もっと望ましい解決法は肉の消費量を減らすことだ」と提案しているが、いずれにしても、カンガルー肉の販売促進は、国民が感じているカンガルーへの愛着の問題でもある。

 「スキッピーを食べる気にはならないわ。考えただけでも気持ちが悪い」と、メルボルンで金融機関に勤務し、週に2、3回は赤身肉を食べるというキャロリン・ブリストウさん。16年前にインドから移住したバス運転手、ビプル・スルバナさんは、週に2回赤身肉を食べ、カンガルー肉を食した経験も持つ。「もう一度食べたいとは思わない。食べる習慣のない肉を食すことには抵抗があるし、カンガルーはあまりにも愛らしい」 (Michael Heath)

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