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消えるアイヌ「民芸会館」 白老(朝日新聞)

2009-09-22 00:00:00 | アイヌ民族関連
消えるアイヌ「民芸会館」 白老
2009年09月22日


取り壊しが決まった白老民芸会館=胆振支庁白老町

■「木彫りのクマも売れなくなった」
■維持重荷 来月末まで


 胆振支庁白老町のアイヌ民族博物館に隣接する土産品店「白老民芸会館」が、今冬にも取り壊されることになった。アイヌ民族の住居・チセをイメージした建物は当初「国内最大級の規模」と話題になったが、維持費が捻出(ねんしゅつ)できずに10月いっぱいで34年の歴史に終止符を打つことになった。関係者は「木彫りのクマも売れなくなった。時代の流れであれば、しょうがない」と残念そうだ。


 民芸会館は73年設立の白老観光商業協同組合が75年に完成させた。床面積約3千平方メートルの鉄骨造りで敷地は白老町から借りた約7800平方メートル。建物全体がチセを印象づける形。当初、2階部分にレストランを造る構想だったが実現できず、天井の高い構造になったという。


 50店以上の物産店が軒を連ね、クマの木彫りや毛皮製品、アイヌ民族のアクセサリーなどから道内限定の食品なども販売していた。80年代には年間約87万人が訪れ、会館全体で20億円以上を売り上げ、組合役員は「50万円、100万円の木彫りのクマが1週間に1個は売れた」という。バブル経済崩壊などで道内観光も落ち込み、最近の入場者は年間20万人ほど。店の数も減少し、今は15店になった。観光客が興味を示すのは携帯のストラップやアクセサリーなどで、値段も千円から2千円前後のものが多いという。


 建物は大きいだけに維持費もかさむ。年間約1700万円が必要だが、近年の会館の年商は1億円余で、体力のない組合には重圧となっていた。そこで同組合は05年、アイヌ民族博物館と会館を売却する仮契約を結び、イオル再生事業構想(アイヌ民族の伝統的生活空間の再生)が具体化する07年に本契約を結ぶはずだった。ところが建物を調べたところ、耐震・耐火の法律基準を満たしておらず、法をクリアするには巨額の資金が必要であることがわかり、売却話は頓挫。組合はこれ以上の営業が困難と判断した。


 組合役員の一人は「何年かぶりに立ち寄ったという客もいるので、閉店は寂しい。皆で再出発できることを願っている」。売却話にかかわった同博物館の元館長中村斎さん(77)は「取り壊しは残念。新たに観光客の心をつかむためには、各店が個性のある土産物を置くことなどが必要では」という。町は「観光地として土産物店は必要で、会館に代わるようなものを今後、検討していきたい」としている。






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