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「フラッシュバックメモリーズ 3D」…記憶の層 分け入る感覚(読売新聞)

2013-01-25 00:00:00 | その他のニュース
「フラッシュバックメモリーズ 3D」…記憶の層 分け入る感覚

(スペースシャワーネットワーク)

 人は何かに突き動かされて生きる。松江哲明監督によるこの革新的な3Dドキュメンタリーは、その何かを文字通り体感させる。

 主人公は、オーストラリア先住民族の管楽器ディジュリドゥの奏者、GOMA=写真=。彼は、2009年に追突事故に遭い、脳の神経細胞が損傷。過去の記憶が欠損し、新たな記憶も徐々に消えていくようになった。11年に音楽活動を再開したが、記憶の障害は残る。〈しかし記憶を失ったとしても「生きた証
あかし
」は残すことが出来る〉。そんな字幕と共に始まるこの映画は、GOMAの軌跡を、目で見せ、耳で聞かせる。

 軸はGOMAのバンド、GOMA&The Jungle Rhythm Sectionの復帰後のスタジオライブ。それ自体魅力的なステージが進む中、過去の記録映像や写真、GOMAやその妻の日記の記述などが去来する。

 音楽のこと、事故のこと、リハビリ中の苦悩、かけがえのない妻と娘のこと。松江は、それらを絶妙に交錯させながら見せていく。とりわけ、3Dの特性を生かし、手前に“現在”の演奏、奥に“過去”の記録を映し出す手法は圧巻。奥行きを持って広がるGOMAの記憶の層に分け入るような感覚は、既存の3D映画では味わえなかったものだ。

 そして、観客は、人を動かす何かを覚知する。たとえ消えてしまうとしても、大切な時間を重ねていくことの意味と共に。松江は、音楽、人、そして、映画の力を極上のやり方で示してみせたのだ。第25回東京国際映画祭で観客賞を受賞。1時間12分。新宿バルト9など。(恩田泰子)

(2013年1月25日 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/cinema/creview/20130118-OYT8T00725.htm


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