~ストーリーテリング「愛依の風」ainokaze~

絵本・素語り・わらべうた
ストーリーテラーやえはたのりこ(やえちゃん)の徒然便り

火曜の会便り

2011年10月26日 | おはなし会・語りの会
毎月第4火曜日は文学サロン「火曜の会」

作品は、井上靖作「あすなろ物語」より 3章「漲ろう水の面より」

鮎太は、高等学校を卒業し、九州の大学へと進みます。
ここで登場する女性は、佐分利信子。
鮎太の高等学校の仲間3人とともに、この若く美しい未亡人をめぐって、
それぞれの胸に秘めた思いが、匂い立つような青春期が巧みに描かれています。


この男子学生4人の胸の内を思いながら朗読しましたが、
青春期の一途な恋も話の中心になっているので、

「まあ、いいさ、人間惚れる時は惚れる。俺たちは若いんだからな」
「おめえも惚れているのか」

「莫迦、判らないのか、俺はあのひとが好きだった」

「俺は童貞を捨てて来た」
「ある一人の女の為に取っておいた童貞をつまらぬ女にくれてきた!」

こんな、やりとりがでてきます。
それぞれの若者のことばですが、やっぱり、ちょっと恥ずかしさもでることばです。
漲る若い血潮で語れたでしょうか、人物像を大事に語ったつもりです。

そして、この若者たちの抑えた感情が内側から、私の胸を打ち、
少し息苦しいようなやるせないような重い気持ちにもなり、
戦地で散った金子の最後の描写などは、心にずんとくるほど、とても悲しくなりました。

鮎太は、少しずつ、アウトローになっているのか。

「明日は、檜になるんだよ。鮎太は、翌檜(あすなろう)だろう」って言葉をかけてあげたい気持ちになります。


私の青春期も同じようなものだったかな。
「恋」を想うとき、それぞれの恋に、嬉しさと切なさがあったと思う。。
もう、いろいろには思いだせないけれど、
胸底に沈んだ真珠のような、かすかな重みがあるのをふと、感じる。

青春期の「恋」は、
やはり、ほろ苦いものです・・・ねっ











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