緑のカーテンとゴルわんこ

愛犬ラム(ゴールデンレトリバー)との日々のあれこれと自然や植物、
本や映画などの勝手な独り言を書き留めています

北海道旅行 その1「北のアルプ美術館」訪問

2010年10月09日 | 

今、ラムパパと二人で北海道の知床に来ています。ラムは獣医さんのところにお泊りです。ラムパパと私、二人の還暦祝い(私はとうに過ぎているのですが)のお疲れ様旅行と、もう一つ私のケジメ旅行の意味あいがあります。
私が初めて働いたのは学術書出版の小さな出版社で、そこの編集部で本作りに携わりました。学生気質もぬけず、仕事のイロハも知らない二十代の私に周りの大人たち、特に編集長は手取り足取りさまざまなことを教えてくれました。その頃、一番思い入れふかく関わったのが山の雑誌「アルプ」という月刊誌の編集でした。小さな地味な雑誌でしたが、とても豊かな贅沢な雑誌でした。広告も山のルートや山岳情報も一切載せず、串田孫一先生の責任編集で詩や随筆と絵や版画、モノクロ写真などで構成されていました。慌ただしい世の中から離れ、山のなかで出会った小さなお花畑のような雑誌でした。
私は3年弱編集に携わり、その後、「本」の次に好きだった「映画」の仕事に入っていきました。時が過ぎ、人生の大恩人「アルプ」編集長の大洞さんも亡くなり、「アルプ」誌もだいぶ前に300号を数えたところで終刊していました。

60歳を過ぎ大病もして、自分の人生を振り返ることが時々あるようになり、私にとって3年という短い日々だったけど、その間に大洞編集長から教えてもらったことの一つ一つが宝物のようなことばかりだと気づきました。私のその後の人生に、その日々がずっと支えになってくれました。
その雑誌「アルプ」に青春時代から魅せられ、人生の大きな支えとして歩んでこられた方が北海道にいらしたのです。そして山の文芸誌「アルプ」の精神を伝えたいという思いから、私財を投じて知床斜里に「北のアルプ美術館」http://www.alp-museum.org/という資料や絵、写真、彫刻などを展示した美術館を作っていたのです。

その美術館を訪ね、編集部時代に入手して今も私の手元にある数点の絵や生原稿を、寄贈したいと思ったのです。

斜里駅から少し離れた静かな界隈に白樺の木々に囲まれ、その美術館はありました。



とても素敵な美術館で、館長の山崎猛氏も温かな素晴らしい方で胸がほんわかしてきました。そこでなんと私の若かりしころの未熟な仕事ぶりのあと、わが筆跡に対面できました。タイムスリップしたようななんとも懐かしい時間でした。「また今度は冬の知床に来て下さい」という言葉に送られ、私の手元にあるよりずっと幸せな時を過ごせるだろう絵たちに別れをつげました。
「アルプをよろしくお願いします」と挨拶をして、素敵な美術館を後にしました。山崎館長さん、スタッフの方々、楽しい懐かしい時間をありがとうございました。




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1 コメント

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御苦労さま (buku)
2010-10-10 22:26:36
アルプ美術館に行かれて良かったですね。
どんどん元気になって嬉しいです。仕事も辞めて、暇になったら、一緒に映画みたり、なにやかやとできるなと思っていたら、あなたが病気になって、思うようにはいかないと、トホトホの気分でした。少しずつ元気を取り戻して、ゆっくり又遊べれば嬉しいですね。
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