エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

インターメッツォ: エリクソンの叡智: ウソは,人間をダメにする(偶像崇拝の初め)

2017-03-10 22:41:21 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 

 
偶像崇拝の恐ろしさ
   今も状況は変わらずですね、残念…。 柏・連続殺傷事件 その心理を考える。  千葉県柏市で、24才の有為の青年が、絶望的な殺傷事件を起こしました。「......
 

  Toys and reasons. p.20から。昨日の少しあと。

 

 

 

 

 

 ハンナ・アーレントは,私どもサイコセラピストにも当てはまる結論を2つ教えてくれていますね。すなわち,(訳注:1つは,)いろんなウソが,昔ながらのかなり大事なやり方で,「背景になっている過去の歴史(訳注:人類の歴史と子どもの頃からの歴史)」に勝るものになっちまう,ということ,「その過去の歴史そのものが,そもそも,申し分のない徳などではないのですが,しかし,(訳注:もう1つは)そのウソが,人間の心に本来備わっている根源的な傾向,すなわち,想像力を裏切ることになる,ということです。」

 

 

 

 

 

 真実を捉えた人間の,恐ろしいほどの明快さですね。ハンナ・アーレントも,エリック・エリクソンも,ウソと言う偶像崇拝が,いかに恐ろしいものであるかを,善くご存知でした。ハンナ・アーレントも,エリック・エリクソンも,ナチス・ドイツに殺されそうになったユダヤ人であったこととも関係していると,私は考えますね。

 

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DSM-5は,デッチアゲ?

2017-03-10 08:18:11 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 

 
問い続けてね
    憲法前文を読むと、安倍晋三政権は憲法違反だと分かりますよ。  憲法の前文を読むと、安倍晋三政権がやっていることは、権力の濫用なだけではなくて......
 

 発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども。ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.166,ブランクから。

 

 

 

 

 

DSM-5 : 「診断」のごった煮そのもの

 

 DSM-5が2013年5月に出た時に,945ページに,およそ300の診断名が載っていました。DSM-5は,診断のごった煮だけを出すお店でしたね。赤ちゃんの頃からの発達トラウマと関係するいろんな問題にはいろんなレッテルを貼ってくれました。「大事にされなかったことから起る情緒障害」,「自殺ではない自傷」,「間歇性激怒障害」,「対人関係がうまく出来ない障害」,「大事にされずに来たことから生じる,衝動をコントロール出来ない障害」などという新しい診断名も,そのレッテルの1つでしたね。

 

 

 

 

 

 これでは,症状別に診断しただけで,病気を統一的に理解して,治療する,と言う診断の本義が忘れられてしまっています。

 DSM-5は,診断は患者の利益と福祉のために,ということを忘れちまった連中が,デッチアゲたものです。

 

 

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聖書の言葉: 立つこと,≪本当の自分≫の初め,自由の始め

2017-03-10 02:33:35 | 聖書の言葉から

 

 

 

 
いつでも、やり直しが出来る
   満月の夜にも不思議な出来事  渡り鳥のやり取りは、いろんな気持ちを引き出してくれます。 The Sense of Wonder 『不思議を感じる心......
 

 今宵の聖書の言葉は,立つこと,ἀνάστασις アナスタシス。

 岩手県大船渡の医師,山浦玄嗣さんによれば,ἀνάστασιςは,横になっているものが,縦になることを言うそうですね。ですから,本でも,電柱でも,何でも,横になっているものが,縦になれば,ἀνάστασιςです。

 しかし,眼に見えないものも,横になっている感じだったのが,死んでいる感じだったのが,縦になる,生きている感じになることも,ἀνάστασιςです。

 それにはどうすればいいんでしょうか? 本田哲郎神父様も,エリック・エリクソンも,そして,私も,同じことを言っていますよ。「自分の感性」,「≪本当の自分≫という感じ」,「あなたが楽しいな,好きだな,いいなぁって感じること」…,それをハッキリ意識して,肯定することから,ἀνάστασιςは始まりますね。

 不思議なことに,赤ちゃんが立って,歩き出す頃の発達課題が「自分の感性に従って善い感じ」(a sense of autonomy)になっているのは,偶然ではないのです。

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現世考: 読書はなぜ大事なのか?

2017-03-10 01:56:47 | 間奏曲

 

 

 
内省する言葉
   儀式の再生が求められる時代  「正しい行為」によって「良し」とするのは、なにも中世のキリスト教の専売特許じゃぁありませんね。今の日本の学校でも「正......
 

 フェイスブックで,獨協大学の河村肇さんが,上の投書欄の記事を示して,どう答えるのか? と問うておられます。

 私なりに応えようと思いまして,フェイスブックで応答したのとは別に,ここに記すことにしたんですね。

 本を読むことは,知識を得るための場合もありますね。教科書がその代表です。でも,それだけだったら,非常につまらないものかもしれませんね。

 絵本だったら,お母さんに読んでもらったら,それは,共に居る歓び,共に見る歓びを分かち合うものですから,知識というよりも,自分の感性を呼び覚まし,研ぎ澄ますことに役立ちますね。感性が研ぎ澄ますことなしに,知識をリアルに実感することもできませんからね。勉強しても,面白みは分かりません。

 大学生くらいになれば,小学校高学年くらいから可能ですが,内省するために,読書は欠かせませんね。私も,読書は主として内省のためにしてきました。内省なしに,≪本当の自分≫を生きることはできないからです。内省のための読書の代表が,本の代表,世界最大のベストセラー,『聖書』の読書でしょう。『歎異抄』,『コーラン』,『正法眼蔵』…などの読書も,同様です。仏教においては,とくに,禅においては,鈴木大拙が繰り返し説いている様に,読書も,自己=≪本当の自分≫になること=自由になるためです。

 ですから,投書をした大学生に対する答えは,次のようになります,すなわち,

 「読書は,≪本当の自分≫になるため,自由になるため

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インターメッツォ: エリクソンの叡智: 猿芝居の大人たち

2017-03-10 01:20:14 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 

 
真理の香り 人格の音色 と ビスティス  改訂版
   憲法前文を読むと、安倍晋三政権は憲法違反だと分かりますよ。  憲法の前文を読むと、安倍晋三政権がやっていることは、権力の濫用なだけではなくて、憲法......
 


  Toys and reasons. p.20から。昨日の続き。

 

 

 

 

 

 自分にウソを言いながら生きている大人たちは,真実を知らないために,「リアルに感じる現実とやり取りすることができませんから,実際,猿芝居からシナリオとお客を借りてくることになるんです」(と,ハンナ・アーレントは言いますね)。

 

 

 

 

 

 真実を知らない。日常生活とは関係ないと思っている人がほとんどでしょうね。ところが,今宵エリクソンが,ハンナ・アーレントが教えてくれたみたいに,真実を知らないと,リアルに感じる現実とやり取りすることができません。日常が,毎日が,退屈な猿芝居の連続になってしまいます。

 でも,それだけではないんですね。自分にウソを言いながら生きていますでしょ。その自覚も麻痺している場合がほとんどですから,猿芝居をしている自覚も,ないんですね。もちろん,自分が死んでるってことも,気が付かずにいるんですね。

 そういう大人は,たいてい,つまらなそうな顔をして,ときどき,無理な大笑いのふりをしていますね。

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