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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 グッバイ・クルエル・ワールド

2022年09月29日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは大森立嗣監督、西島秀俊主演の「グッバイ・クルエル・ワールド」です。

さよなら渓谷やマザーなどで知られる社会にはみ出した人々の悲哀を描くことで名高い監督が、今回挑んだのはクライムエンターテーメント。一夜限りで結成された強盗団がラブホテルの一室でヤクザ組織がマネーロンダリング現場を襲い強奪に成功しますが、子飼いの刑事を使って見つけ出す始末すると言う内容です。

強盗団の面々は西島演じる元やくざ安西に、全学連上がりに三浦友和演じる浜田、金貸しの斎藤工演じる萩原、金を借りた相手の宮川大輔演じる武藤と恋人役の玉城ティナ演じる美流。そこにラブホテルの従業員の宮沢氷魚演じる矢野が加わり、血に血を争う惨劇が繰り広げられます。

子飼いの刑事役には、監督の弟でもある大森南朋が演じ刑事得意の情報戦で犯人を見つけ出すのですが、そこからの展開が面白いです。やくざの金を狙うという凡そ日本では考えられない強盗を計画に加わった一味の過去とうまく絡ませてます。中でも主役の西島を食った宮沢氷魚を玉城ティナの演技が最高でした。何が凄いって一味の中で容姿共に残忍な斎藤工を。。。

映画としては音楽やファッションなどエンターテーメント色は十分楽しめましたが、西島秀俊はやはり善人感が漂い、朝ドラ「ちむどんどん」を観てる僕にとっては大森南朋や宮沢氷魚役のイメージ払しょくが大変でした。大森監督にとってはエンターテーメント映画への挑戦でしたが、白石和彌監督と共に犯罪をベースにした社会派ドラマが好きです。

次回作はぜひ王道路線でよろしくお願いします。


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映画 ブレット・トレイン

2022年09月27日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューはブラッド・ピット主演で伊坂幸太郎原作の「ブレット・トレイン」です。

伊坂幸太郎原作の映画化作品はほぼ観ています。中でも堺雅人主演のゴールデンスランバーは傑作だと思っています。また伊坂原作映画で出演した俳優は後に人気俳優になっていますし伊坂作品の魅力が俳優たちの演技を光輝かせていると感じてます。今回は何とブラッド・ピッド主演のハリウッド作品とあってどんな感じになるか楽しみでした。

今回の映画は、マリアビートルが原作になっています。新幹線に乗り込んだ殺し屋同士が現金の入ったジュラルミンケースを奪いあう殺し屋の群像劇となっています。主演のブラッド・ピットはいつも他の事件に巻き込まれているレディ・ハグという殺し屋を演じているのですが、個性的な殺し屋が違う目的で乗り込んで新幹線の密室の中で殺しあうというものです。

監督はアトミック・ブロンドやデッドプール2のデビッド・リーチですが、どこかタランティーノ映画のようなキャラクターとアクション、映像美がりアトミック・ブロンドのようなシリアスな展開はなく、エンターテーメントの要素を前面に打ち出した感じがします。

ただ、殺し屋のキャラクターと展開が進むにつけて伏線的に拾われる関係性などが楽しめる内容でした。ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、バッド・バニー、真田広之と個性豊かです。また、およそ想像できないド派手な新幹線車内とラストのパニックシーンはハリウッド映画らしい演出でした。

原作とは色合いがかなり違うのですが、伊坂氏本人がブラピとの対談で高評価してるので伊坂ファンの方は映画との違いを楽しんでもらえたら幸いです。


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映画 NOPE/ノープ

2022年09月17日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画レビューは、ジョーダン・ピール監督の三作目の長編映画「NOPE/ノープ」です。

ゲットアウトでは白人家族が黒人の脳を移植し、アスではクローン人間と人間が地上と地下で交錯するという摩訶不思議で斬新なホラーを展開して話題となりました。三作目のノープでは、どんな展開が待ち受けるか恐る恐る鑑賞しました。

テーマは空を見てはいけない。牧場を経営し映画に馬を提供しているヘイウッド一家。ある日空から異物が降り注ぐ現象の中で父が謎の事故死を遂げます。息子のOJは死の直前に空に謎の飛行物体を目撃したと妹に打ち明け妹は飛行物体を映像に収め一儲けしようと企てます。

口八丁の妹と撮影機材を購入したホームセンターのオタク従業員に、ドキュメンタリー映画のプロカメラマンが加わって飛行物体をカメラに収めようとするまでの過程にいたるストーリーも独特で面白く、前二作に比べてゾクゾクさせるホラーではないですが、スケールの大きさと飛行物体の美しさに魅力を感じる作品でした。

今回のような未確認飛行物体が出てくる作品は、対決ムードや宇宙人の登場が中心ですがノープでは目的はあくまでも映像に収めること。この主題があってこその映画だと感じました。そこが今の時代らしいし、ピールらしいなと思います。


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映画 ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

2022年08月31日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、シリーズ最終作の「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」です。

実は8月16日に鑑賞しましたが、雑用に追われてブログでのレビューが遅くなりました。ジェラシックパークから始まりシリーズ最終作となる本作、スピルバーグへのリスペクトを込めて気合をいれてレビューしたいと思います。

先ずは、ジェラシックパーク(ワールド)シリーズの前5作をかんたんに解説したいと思います。

ジェラシックシリーズは、パーク3部作(1993年・97年・2001年)とワールド3部作(2015年・2018年・2022年)に分かれます。

パークシリーズでは、クローン技術により現代に甦った恐竜たちのパーク建設に絡む策略と失敗がテーマで、学者と実業家との対立により物語が構成されています。パークでは、アラン、エリー、イアンの三人の科学者が主人公になっています。

ワールドシリーズでは、パーク建設が実現しジェラシックワールドとして人気テーマパークとして人気を集めるも、施設から恐竜が逃げ出し恐竜たちが自然界に解き放たれた状態から生まれるパニックで構成されています。ワールドでは、パークの管理者であるオーウェンとクレアを主人公になっています。

最終作の新たなる支配者では、三人の科学者が再登場し、オーウェンとクレア、二人と暮らす実業家のロックウッドの孫娘メイジーと共にかつてパークを作り上げたインジェン社のライベル会社のバイオシン社の陰謀を暴き人類の危機を救う内容になっています。

ジェラシックシリーズの魅力は、古代生物である恐竜の復活により人間と自然の共存という大きなテーマだと思いますが、リアルな恐竜たちと先端科学を組み合わせアドベンチャーワールドして作り上げたところが魅力です。現在ではシリーズものの持続は部分的な掘り下げしか継続は難しく、ジェラシックシリーズの完結はごく自然の流れだと思います。

今回の作品を観てジェラシックパーク/ワールドシリーズは、単体でも時間軸で観ても楽しめる究極の娯楽映画だと感じます。


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映画 わたしは最悪。

2022年07月30日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、ヨアキム・トリアー監督新作でカンヌコンペティション出品作「わたしは最悪。」です。

今回の作品は、デンマーク出身のヨアキム・トリアー監督脚本のノルウェー・フランス・スウェーデン・デンマーク合作作品でアカデミー賞の脚本賞、国際長編映画賞にノミネート、カンヌでは主人公のユリアを演じたレナーテ・レインスベが女優賞に輝いた話題作です。

仕事に恋愛に移り気な主人公のユリアが自分探しの旅的な内容ですが、女性を中心に共感を得ているそうです。男性の立場でも異性に対する恋愛観の違いや仕事に対する悩みなど理解できるものでした。

物語は12章から構成され、それぞれの章にタイトルにそって物語が展開されています。主人公のユリアはシングルマザーと祖母に育てられた才女で医学部に進学し、外科を専攻するも人間に興味があり心理学を学ぶために編入、しかし彼女の性格から突如カメラマンを目指します。その間に自由奔放に男女関係を楽しみつつ年上の漫画家と同棲、浮気、別れの中で自立していきます。

内容から見ると複雑に見えるのですが、実は誰もが持つ普段の日常が緩やか詳細に描かれていて原体験に近い形です。それは、北欧の白夜の夏を舞台にしているので情景の美しさとシーンのごとの繊細さやナチュラルな演技が相まってどの章も飽きさせない演出ですべての章がラストに上手くかみ合ってます。

僕自身、自分探しの旅を口にする人はあまり好きではありませんし、最近のSNSの影響かファッションのように語れていて違和感を持ってました。おそらくは、人生をおいて真面目に考えながらも答えを出せないことに悩んでる女性に共感を得てるのかなと思います。トリアー監督は、男性監督ですが女性視点でうまく描いていると思います。

女性には共感を男性には理解を感じられるヨーロッパらしい作品だと思います。


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映画 ベイビー・ブローカー

2022年07月17日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、韓国の実力派人気俳優と是枝裕和監督がタッグを組んだ最新作「ベイビー・ブローカー」です。

万引き家族、海街diary、そして父になるなど家族をテーマにした作品で評価が高い是枝監督、万引家族では血の繋がらない者たちの異色の家族像を描きカンヌで最高賞を受賞し、今回はベイビーブロカーと言う裏稼業を介して家族を形成していく人々の姿を描いています。この作品では、ソン・ガンホが韓国人初のカンヌ主演男優賞を受賞ました。

物語はクリーニング店を営むソン・ガンホ演じるハン・サンヒョとカン・ドンウォン演じる孤児院育ちの赤ちゃんポストのスタッフ、ユン・ドンスが裏稼業のベイビーブロカーで捨てられた赤ちゃんと母親と共に養子探しをする中で、家族的な絆を築いていくロード―ムービーです。

そこに、取引による現行犯逮捕を目論むペ・ドゥナとイ・ジュヨン演じる女性刑事が関わり、それぞれの心の変化が赤ちゃんを介して描かれていてサスペンス的な要素を加わり個人的に重いテーマを扱いながら随所にユーモアもあって、レビューでは決して高い評価ではないですが万引き家族より楽しめました。

登場人物の相関図は定かではないですが、ハン・サンヒョ、ユン・ドンス、子供を捨てた母親のソヨン、スジン刑事の隠された過去が徐々に浮き彫りになり、その後の赤ちゃんの行方が明らかになっていきます。過去を背負った登場人物を当代きっての韓国俳優が演じている点でも流石だなと思います。赤ちゃんや度々作品の中で生かされる子役たちも含め、日本人キャストでは演じられない差を感じました。

是枝監督が描く血の繋がりのない者たちの家族愛から見ると「そして父になる」「万引き家族」そして「ベイビーブローカー」が三部作の最終章のように思えます。本作はふたつの作品の持つ社会的な背景をより明確にしながら、その是非は別にして改めて家族の重みを感じる作品でした。

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映画 エルヴィス

2022年07月09日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、バズ・ラーマン監督によるキング・オブ・ロックンロール、エルヴィズ・プレスリーの伝記映画「エルヴィス」です。

僕にとって洋楽、ロックの世界に導いてくれたアーティストのひとりエルヴィス・プレスリー。戦後アメリカを代表するマリリン・モンローと並ぶ二大スターの彼が42歳でこの世を去り45年の歳月をえ経て映画で蘇ったのはとてもうれしいです。

映画「ボヘミアンラブソディ」のヒットでエルヴィスを知らない人は二番煎じかと思われている人も多いと思いますが、さすが、音楽映画を数多く手がけたバズ・ラーマン監督、エルヴィスの誕生から栄光、挫折と破滅の人生を見事に描いています。

エルヴィスの死因は心臓発作による突然死ですが、当時はドーナツなどの甘いものによる糖尿病などとまことしやかに囁かれていました。後に彼の敏腕マネージャー、トム・パーカー大佐によるギャンブルが原因で必要以上に働かされた過労が明らかになります。その点もこの映画で明かされていますが、トム・パーカー大佐をトム・ハンクスが演じ悪役ぶりを十二分に発揮しています。ただ、カントリーミュージシャンであったエルヴィスを、ロックンロールの申し子として誕生させたのは事実です。

そして、この映画を光り輝く存在にしたのは、エルヴィスを演じたオースティン・バトラー、映画の予告編でも紹介されたピンクの衣装で腰を振り歌う姿は若い日のエルヴィスそのものです。デビューからハリウッド映画出演、ラスベガスでの公演と個性的な衣装を身にまとい見事に演じています。ちなみに彼の声と共に生前のエルヴィスの歌声をミックスされてるところも、とても魅力的でした。

エルヴィスの凄さは、ゴスペルやブルースをベースに当時のR&Bの黒人音楽を白人として初めて歌い、黒人たちにも愛されていること。その部分もB・Bキングやリトルリチャードにより紹介され彼のバックボーンも詳細に楽しく描かれています。

2時間40分に及ぶ長編映画ですが、どの部分も飽きさせない全編音楽愛に満ち溢れている「エルヴィス」ぜひ彼を知らない世代にも観てほしい傑作伝記映画です。


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映画 リコリス・ピザ

2022年07月05日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、アカデミー賞3部門ノミネートのポール・アンダーソン監督最新作「リコリス・ピザ」です。

ようやく日本でも公開となった本作、1970年代のカリフォルニア・サン・バレーを舞台にした青春群像劇です。雰囲気としては1970年代のロスを舞台にしたホアキン・フェニックス主演の「インヒアレント・ヴァイス」ですが、こちらは子役出身の高校生が学校の写真撮影のスタッフの年上女性に恋をして猛アタックを繰り返すシンプルな内容です。

主演の二人はクーパー・ホフマンとアラナ・ハイムは、決して美男美女ではなく、どちらかと言えば容姿が特徴的な二人です。ホフマンはオスカー俳優と父と衣装デザイナーの母を持ち、亡き父と関係の深い監督が今回の主役に抜擢し、アラナ・ハイムは、三姉妹バンドで末っ子で監督がMVを手掛けた縁で家族出演でユダヤ人家族を演じてます。

ティーンの男子ならたぶん経験がる少し年上の女性に対する恋心、こういう男女の関係って微妙に心理状態があってくっついたり離れたりを繰り返すのですが、そんなシーンが70年代のヒット曲に乗って繰り広げられ、とても楽しいい気分にしてくれます。

しかも、登場する大人たちが、異なるシチュエーションで大活躍し、二人に関わります。たとえば渋くてハチャメチャな俳優にショーン・ペンやトム・ウエイツがスター誕生のバーブラ・ストライザンドの豪邸に住む恋人役にブラッドリー・クーパーが。なんかレディ・ガガとアラナ・ハイムが重なってパロディーかと思えて勝手にほくそ笑んでました。他にもディカプリオのお父さんが、二人を親密な関係に近づける役で出てます。ヒントは当時流行ったベッドです。

カルフォルニアの日差しとカラフルなネオン輝く夜の街を舞台に暑い夏にふさわしい、ホットな青春グラフィティーを楽しんでみてください。


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映画 オフィサー・アンド・スパイ

2022年06月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、ロマン・ポランスキー監督の最新作で歴史的冤罪事件を描いた「オフィサー・アンド・スパイ」です。

19世紀のフランスで実際に起きた冤罪事件「ドレフェス事件」をロバート・ハリスの同名小説を原作に忠実に描き、2019年のベネチア映画祭で審査員グランプリの銀獅子賞を受賞しています。

物語の冒頭でユダヤ系フランス人大尉であるドレフェスが国家機密を漏らしたスパイ容疑で終身刑を受けます。彼が投獄される場所が、映画パピヨンでも有名な孤島の刑務所、無実を訴えながら公衆の面前で軍人として名誉を奪われ収監されます。

元教官のピカールは、赴任先の諜報部でドレフェスが無実である証拠を偶然発見します。隠ぺいを図る上層部や証拠捏造に関わった部下たちの圧力の中で、ピカールは友人や彼を支持する人々の助けの中で、軍事裁判に挑んでいきます。

ドレフェス事件は、ナチスドイツの出現前の19世紀にあったフランス人によるユダヤ人差別が背景にあり、ユダヤ人監督でもあるポランスキーが実際の事件を忠実に描き2時間余りの作品の中にうまく集約しています。そうした内容でもあるので全体的に地味ですが、権力を維持するために保身に走る軍部と真実を見つめる正義の剣で立ち向かう軍人、両者のせめぎ合いが徐々に緊迫感を増していき徐々に引き込まれていきます。また、当時のフランスの日常や光景を印象派の絵画のように美しい画面で構成することで、飽きさせないポランスキーらしいカメラワークの美しさを感じる作品でした。

いつの時代も差別による対立が犠牲者を生みます。しかしながら、真実を見つめ正しい眼を持つ一人の勇気ある行動が勝利に導いていくことを証明する作品です。


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映画 トップガン マーヴェリック

2022年05月30日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回は公開初日に観てきました待ちに待ったトム・クルーズ主演の映画「トップガン マーヴェリック」のレビューです。

今回の映画はレビューと言いましたが、ファン目線で「トップガン マーヴェリック」の魅力をご紹介したいと思います。

物語は1986年のトップガンの続編として伝説となったトム・クルーズ演じるマーヴェリックがかつてのライバルとしてしのぎを削ったバル・キルマー演じるアイスマンの命を受けて若きトップガンパイロットたちの教官となります。当初は、任務を担うトップガンの選出と訓練を教えることだけがでしたが、そこはかつての破天荒ぶりは健在で、生死を決する任務の先頭に立ってしまうって感じです。

先ずこの映画は、トム・クルーズ無くして完成しなかった映画であること。トム・クルーズの魅力であるスタントマンなしで挑むアクション。今回もCGなしでコックピットに乗り込みマッハ重力に耐えながらも過酷なアクションに挑んでます。当然ながら60才になろうとする彼が挑むわけですから、当然ながらかつての同僚で親友であった息子役のマイルズ・テラーを含め、トップガンの面々もこの試練に挑んでいます。それは、想像を超える自然に鍛え上げられたトムの肉体美を見れば納得がいきます。

そして、今回の映画でトムが出演を熱望し実現したライバル・アイスマン役のバル・キルマーの存在。36年の月日は、やはり出演者の今に残すことは難しいのですが、トムはバル・キルマーのオファー無くして続編は不可能で、ガンに侵されたバル・キルマーが病をおして本作の最も重要な役ところに挑んでいます。

もう一点は、オールドファンの視点で言うならば、懐かしのサントラ曲と共に、前作の監督へのリスペクトとオマージュとしてP-51ムスタングやトムが颯爽と登場するカワサキニンジャに教官であり恋人だったチャーリーの愛車ポルシェ911が登場します。

公開初日は、かなりのオールドファンが大挙しましたが、前作を知らない若い人もいて老若男女にトムの魅力が認知されていると感じました。また、劇場ではなんと「ミッションインポッシブル」の新作予告映像も紹介されていて、今年はトム・クルーズの魅力が十二分に楽しめる年になりそうです。

トップガン マーヴェリック、ぜひ劇場で鑑賞してください!


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映画 流浪の月

2022年05月23日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、李相日監督、松坂桃李&広瀬すず主演の「流浪の月」です。

 

原作は本屋大賞受賞の凪良ゆう。今回の作品は原作を読んでる方からも支持されている作品でかなりの期待を持って鑑賞しました。150分の長編作品ですが出演者たちの迫真の演技で満足できるものでした。今回の映画は、先日の「死刑にいたる病」と共に2022年を代表する作品だと思います。この二作品が同時期に公開されていることは、映画ファンにとっては幸運なことだと思います。

松坂演じる誘拐犯になってしまった佐伯文と被害者になってしまった広瀬すず演じる家内更紗が15年後に再会、横浜流星演じる更紗の恋人や多部未華子演じる文の恋人も絡み、過去を受け入れながら、静かに生活を送っていた二人が再会により荒波にさらされていく、全編傷みを感じる内容です。

出演者の過去の演技からは想像ができないほどの迫真の演技と意外な役柄に李相日監督の俳優の引き出し方のうまさを感じます。ちなみに更紗の子供時代を演じた白鳥玉季の演技力は広瀬すずと並ぶ演技力でした。過去と現在を巧みに組み合わせながら進行は二人の演技が呼応し相乗的な効果を生み出してました。ちなみの文の人生に影響した母親には内田也哉子が演じています。

今回の作品は、性的な障害や虐待、警察やマスコミ、ネット犯罪など様々な社会問題が絡み合いながら誘拐犯と被害者少女との至上の愛を描いていたように感じます。二人の愛のかたちはまさに「流浪の月」のようでした。


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映画 死刑にいたる病

2022年05月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、白石和彌監督の最新作で阿部サダヲと岡田健史共演のサイコサスペンス作品「死刑にいたる病」です。

映画は櫛木理宇の傑作サスペンスを原作に、そこのみにて光輝くやオーバーフェンスなどを手掛けた人気脚本家の高田亮によるもので、俳優陣も初共演というフレッシュなメンバーで構成されています。今回、僕の好きな白石和彌監督と阿部サダヲがタッグを組んだことで期待をもって鑑賞した作品でしたが、白石監督の作品を欠かさず観てる僕としても、凶悪以来の衝撃を感じる作品でした。

内容は阿部サダヲ演じるサイコパスキラーの榛村大和と岡田健史演じる大学生の筧雅也の拘置所からの出会いでスタート。24人を殺害した大和から一人の冤罪の証明をしてほしいとの依頼を受け、担当弁護士の公判記録から冤罪と言われる事件の真相を明かしてサスペンスドラマです。

サイコキラーの大和の計画的で残忍な殺害の共通性と証言者と大和との関係をつぶさに調査していき、ある男の存在が浮かびあがってきます。雅也になぜ冤罪の証明を依頼したか、雅也の家族との関係など徐々に真相に辿り着くのですが、ラストではまったく予想だにしない結末が待ち受けています。

今回のサイコパスキラーを演じた阿部や事件を調べる雅也、雅也の母親役の中山美穂に事件のカギを握る男を演じた岩田剛典など、俳優陣の演技の意外性に驚きながら静かな流れながらワクワク感が止まらない内容でした。

今年の代表する日本映画に数えられると確信します。


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劇場版 ラジエーションハウス

2022年05月11日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、窪田正孝主演に本田翼、広瀬アリス、浜野謙太、遠藤憲一、山口紗弥加など多彩なキャストで人気のドラマの劇場版「ラジエーションハウス」です。

医療系ドラマが大好きな僕にとって「ラジエーションハウス」は欠かさず観てたんですが、それまでの医師にスポットを当てた医療系ドラマと違い医療技師にスポットを当てたドラマはとても新鮮でした。様々な医療器具のスペシャリストたちが、現場をサポートし主演の唯織役を演じた窪田の他に、個性的な技師たちを演じた俳優陣も僕の好みの俳優ばかりで毎回のドラマが楽しみでした。

物語は、杏のワシントンへの留学が決まり、一緒にいられる時間がわずかとなり落ち込む唯織、ある日、杏の父の危篤の知らせがあり離島の診療所に向かうことに、そこで未知の感染症が広がり一人杏は残ることに。感染症の危険性から甘春総合病院は医師の派遣を拒みますが、唯織やラジエーションハウスの面々はある決断を下します。

今回の映画は72時間の壁がテーマになっており、前半では、山口紗弥加演じるたまきの友人夫婦の事故が、後半では離島の人々による感染が関係しており、二つの人間ドラマをうまく展開させてます。個性豊かなラジエーションハウスのメンバーの活躍も楽しめてパート1、パート2と続いたドラマの完結編でもある構成で、とても良い内容でした。

そしてラジハファンなら最もサイドストーリーとして描かれていた唯織と本田演じる杏の恋の行方にも注目して楽しんでみてください。

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映画 TITANE/チタン

2022年05月06日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、カンヌ史上最も奇天烈と言われる異色にして2021年のパルムドール受賞作「TITANE/チタン」です。

カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた今回の作品ですが、2020年の中止を得てこの作品が選ばれるのは驚きです。かつてのパルムドール受賞作品は社会派ドラマが多いのに対して、バイオレンスとファンタジーが融合した未だかつてない内容に思います。

物語は幼少期の交通事故で頭にチタンを埋められた主人公アレクシアは、車に対して異常な執着心と狂気を抱えながら危険な行動を繰り返していきます。その危険な行動とある秘密により逃亡者となったアレクシアは、消防士のヴィンセントと出会います。アレクシアとヴィンセントの出会いにより奇想天外な展開へと進んでいきます。

全編に夜のイメージが強くネオンの輝きや美しいフォルムの車、主人公を演じたアガト・ルセルのそしてセクシーなダンサー姿と衝動による狂気、一転して変貌する逃亡者の姿に圧倒されグロテスクの中にどこか美を称えるような恐怖を感じます。愛する対象はすべて車である彼女のファンタジーの着想にもどこかあり得るように感じてしまいます。

前半は、バイオレンスとホラーな内容から一転する後半の展開があって、なるほどパルムドールだなと感じます。

女性監督であるジュリア・デュクルノーはインタビューで影響を受けた監督としてデビッド・クローネンバーグの他に深作欣二、三池崇史、中田秀夫を挙げたことで納得と独特な感性を感じました。バイオレンスとホラーが好きな方には必見の作品です。


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映画 パリ13区

2022年05月02日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画レビューは、ジャク・オーディアル監督の新作「パリ13区」です。

今回の作品は、2021年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門出品作で、ミレミアム世代の男女三人が主人公です。主人公の三人はコールセンターのオペレーターとして働く台湾系のエミリーとアフリカ系の高校教師カミーユ、そして、ソルボンヌ大学に復学したノラ、ルームシェアの相手を探していたエミリーとカミーユが出会い肉体関係を持ちますが、ルームメート以上の関係ではない二人ですが、エミリー意識しだしたことで二人の関係がぎくしゃくし始めます。同時期、大学に復学したノラは、あるパーティー会場でウエッブ上で人気のポルノスターと勘違いされ大学内に噂を広められてしまいます。

R18指定とあって、性描写の多い作品ですが、モノクロームの映像と三者三様の性の価値観の違いがベースになっているので、決していやらしさは感じません。男性主人公のカミーユがエミリーとノラのつなぎ役とねってストーリーの流れもスムーズで、前半はカミーユによって変わるエミリーの日常を、後半はノラとポルノスターのアンバーとの関係をつぶさに描いていて心の揺らぎがうまく表現されていました。二人の女性に翻弄されるカミーユもスパイスとして効いてます。

鑑賞後に、あるシニアカップルがドライブ・イン・カーに似てると言ってましたが、セックスをベースにしているからかな。両者とも人間の再生のドラマである部分では、個人的にはシンプルでストレートに入ってくるので今回の作品の方が面白かったです。

モノクロームの世界とドラマチックな音楽で奏でられる美しさと主人公たちの愛あるドラマを感じてほしいです。


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