バグスターウイルス散布の容疑で衛生省に拘束されかけた黎斗がゲーム病を発症。永夢と飛彩によってCRに搬送された黎斗は、永夢らにバグスターウイルスを生み出すきっかけとなった真実を語り始める。一方、監察医務院で飛彩は、貴利矢のノートPCの中から驚くべきデータを発見する。
「すべてのきっかけは君なんだ、永夢」
という黎斗の言葉から始まる真実。
まさかこのタイミングで暴露大会が始まるとは思ってなかったのでびっくりです。
「すべてのきっかけ」は2000年 当時はおそらく永夢7歳、黎斗13歳。
「実はね、先生。君くらいの年の頃、夜は家に一人でいることが多かったんだ。
大好きなゲームをやったり、今までにない新しいゲームのアイデアを考えたりして、
一人で過ごすことに慣れてた」
12話で語られていた永夢の少年時代。
この思いついたアイデアを手紙にして幻夢コーポレーションに送るのですが、
それを読んだ黎斗は、激しい衝撃を受ける。
「そのとき私は自分の才能が、この世で一番とは限らないことを知った」
もしもこれを思いついたのが知識や経験の豊富な成人だったら、黎斗も納得できたのかもしれない。
しかし相手が自分より6歳も年下の少年だったことに、感情の行き場を失う黎斗。
そんなとき偶然、黎斗のパソコンに新しい生命体、バグスターウィルスが生まれる。
(ファンレターとの前後関係は明確にはされていないし、
2000年問題からバグスターが発生した→2000年1月1日誕生の可能性が高く、
おそらくバグスター誕生が先なんですが、流れとしてファンレターが先の説を推したい)
ところで話がそれるんですが。最近次男のリクエストでゴーバスターズの1・2話を見まして。
こちらも基本設定はエグゼイドと同じなんですよね。
ゴーバスターズの物語。ウィルス(バグラス)の誕生を発見した博士は
世界中のパソコンに蔓延することを恐れ、システムごと亜空間に転送し世界から隔離する。
「隔離」はウィルス対策として有効な手段だし、
それまでの黎斗だったら、ウィルスの隔離・根絶を選択したかもしれない。
だがしかし、永夢の存在に打ちのめされていた彼にとって
新しい生命体の誕生はある意味奇跡、彼だけにもたらされた天啓に見えてしまった。
「バグスターウィルスを使えば、かつてないゲームを開発できるかもしれないと考えた私は、
実験のため、サンプルデータを君に送った。
君はそのゲームをプレイして、バグスターウィルスに感染した」
目の前に現れた「天才」を超えるため、彼は悪魔に手を貸し、
さらに、その悪魔で「天才」を汚しウィルスの母体にするという、おぞましい方法を選ぶ。
えげつないですね! 救いのないえげつなさですね!
「覚えてる!手紙のお礼にって開発中のゲームが届いて、当時喜んだ記憶が!」
という永夢の表情が、黎斗の行いの外道さをより際立たせます。
2001年 永夢8歳で交通事故に遭い、日向恭太郎の執刀で命を救われる。
2011年 永夢18歳、天才ゲーマーMとして活躍。
「君の体内のバグスターが成長していることを確信し、財前美智彦に君の手術を依頼した。
成長したバグスターウィルスを採取するために」
手術は財前の想定を超え、財前と助手たちは過剰なウィルスを浴びて消滅。
黎斗は採取したバグスターウィルスを入手し、そこから10個のプロトガシャットを作る。
2012年、ゼロデイの発動です。
「じゃあ、すべてのバグスターウィルスは・・・」
「あぁ、永夢から採取したウィルスが元になっている」
大勢の人たちが消滅し、大事件となったゼロデイですが、
それすらも、黎斗にとっては仮面ライダーとバグスターを使った
「テストプレイ」に過ぎなかった。
「それを利用して5年前、お前はゼロデイを引き起こして、
自分の父親にすべての責任を押し付けたんだ」
「仕方がなかったのさ!究極のゲームを完成させるためには
私が捕まるわけにはいかなかったからね」(
21話)
おそらくプロトガシャット製造元である幻夢コーポレーションが責めを受けたときに
正宗パパが代わりに全ての責任を取ることまで、事前に打ち合わせ済みだったんだと思われます
余談ですが、前回の正宗パパの「君が宝生永夢?」というつぶやきは、
「君が黎斗の人生を狂わせた『天才』か」という意味だったんでしょうね。
さて前回、「なんでよりにもよって生死をかけたサバイバルゲームを選んだかな」などと書いてたわけですが、
こうしてみると、黎斗の考えた究極のゲームが
「現実世界で展開されるサバイバルゲーム」だったのも、なんか納得いく気がします。
それは誰にも思いつけないような、すべての人が熱狂する、すべての人を虜にするような
「最高のゲーム」でなければいけなかったし、
すべての人を等しく夢中にさせるには、「死」で支配するのが一番効率的だった。
それはもはやエンターテイメントでも何でもない、
ゲームマスターによる恐怖の支配でしかないんですが、
考えすぎるほど考えた挙句、道を踏み外してしまったんだろうなぁ。
さて「劇中の悪役はなぜかくもペラペラと自分の悪事を語るのか」というのはあるあるツッコミですが
この黎斗に関しては、なぜ素直に自分の悪事を暴露したのかが、手に取るようにわかるわけで。
「やはり君は水晶のような人だ。
君の中に私の心を映し、優しく輝きを放っている」
彼にとっての「水晶発言」は、穢れなき存在である永夢を嘲笑い、
そして、本人も気づかぬうちに黎斗のもたらした毒で侵されきっている永夢の姿を、
嘲笑うものだったんですよ。はじめから。(最初の水晶発言回の録画を消したことを激しく後悔)
「君は最高のモルモットだよ。
君の人生は全て、私の手の上で転がされているんだ」
「君の水晶を砕くのは他でもない、私だ!」
永夢を天才であると認めたゆえの、固執。
おそらく永夢が彼の前に膝まづき、彼の才能を褒め称えることを、黎斗は望んでいるのでしょうが、
勝負の場から外れたところで策を弄し永夢を陥れている時点で、
彼は天才との勝負に自ら負けを認めたも同然であると、まだ気付いていないんだろうか。
だが、黎斗のおぞましい告白を聞いても、彼の水晶は砕けなかった。
告白を聞いていたのが宿主の永夢ではなく、寄生しているバグスターだったから。
黎斗の説明を聞きながら、静かに赤く光り、そしてすっと光を失う永夢の瞳。
その姿からは永夢のある決意を推測させます。(後述)
さて余裕綽々で自らの悪事を暴露しきった黎斗ですが、
仮面ライダークロニクルの完成には、まだ2つのゲームデータを集める必要があるはず。
ところで残る2つは奇しくもプロトガシャットからバグスターの実体化に
成功したサンプルなわけですが(グラファイトとポッピーピポパポ)
彼らの存在が、今後2話の展開で絡んでくるんでしょうか。
一方、対バグスターウィルス側。
貴利矢がゲンムに消されたのは、知ってはいけない事実を知ったからだと思っていたんですが。
監察医とは通常のドクターより研究職に近い職業とのことで、
他のライダーたちが、発症した患者相手に外科的治療を行っていたのに対し、
貴利矢だけは、黎斗がもっとも恐れる「バグスターウィルスの根絶」を目論んでいたんですね。
しかも、誰も信用できないとソロプレイに徹していた彼が、
11話をきっかけに、永夢と協力体制に入る。
今にしてみれば、貴利矢が隠し持っていたものはゲンムに対する切り札だったわけで、
「信用できねぇな」と頑なに周りをつっぱねていたのも深く納得。
その彼が他のドクターと協力し研究を進めていけば、
黎斗の想定よりも早くウィルスの根絶手段が確立される恐れがある。
貴利矢があの時点で消されたのは、都合の悪い真実を暴露されるのを恐れたのではなく、
根絶手段の完成を引き延ばすのが目的だったんじゃないかなと。
「中のデータなら俺が持ってる。監察医の残した形見がな」
その切り札。リプログラミング。
「わかりやすく言えば、DNAのエビジェネティック装飾の消去、および再構成」
とのことですが、公式サイトでも簡単な説明があって
パソコンに例えると、ウィルスにやられたハードディスクを初期化して
出荷状態に戻すような治療法らしいです。
つまりゾンビを消滅させるのではなく、
ゾンビ化した状態をリセットできる(倒せる状態に戻す)という感じでしょうか。
黎斗が指摘していたように、すでに多くの人たちの中にバグスターウィルスが潜伏しているとしたら
その治療にも有効なんですよね。すごい!
しかしその一方で。
永夢がこのリプログラミングを受けたら、ゲーム病発症以前の状態に戻される可能性があるのでは?
そう、黎斗の告白を聞いて「自分こそバグスターだ」と確信した永夢が、
その存在を消滅させるために、自らを初期化する、そんな展開もあり得ると思うんですよ。
ウィルスは自殺を選択できるのか、とかちょっと面白そうなテーマですが、おいといて。
24話の物語の折り返し地点で、今まで必死で戦ってきた「永夢」が消滅し、
「医者なんて知るかよ」というチャラ永夢から物語がリスタートするとか、めちゃくちゃ怖くないですか?
その他あれこれ。
・ほぼ無敵状態を誇ってきた黎斗が、衛生省のガサ入れにあっさり負けるという意外な展開。
・「ボーズオブテラー」良いタイトルですよね。一度聞いたら忘れない。
・しかし作さんの企画書を見ると、プログラミングとゲームデザインは別の才能なんだなぁと、つくづく。
なぜゾンビゲームに坊主出してきた。
・ガシャットのインストールが済んだと同時に抜き取る大我に
「ちょっと待って!デバイスの切断をしないと!データが壊れる危険性が!」と焦る私。
・チャリに乗るチャーリー、というネーミングに、視聴後に公式サイト見てようやく気づいた。
(夫から「俺は名乗った時点で気づいたけど」と笑われる)
・あの容器なアメリカン野郎のチャーリーが黎斗の体使ってるという事実が
なんか妙に楽しくてたまらない。
・自転車の妙技がまた見られて嬉しかったです。
・
「お前たちのゲームも、いよいよファイナルステージか」
永夢が変身できなくなったことでお怒りになるかと思いきや、意外と冷静なパラド。
・そして何はともあれ黎斗劇場。すばらしかった。素晴らしいの一言に尽きました。
なんていうか、すっごく生き生きとしてて。黎斗は本当に、死んでから生き生きと生きてますよね。
黎斗こと岩永さんは雑誌「
宇宙船 vol.155」のインタビューで
「僕もいつでも脱げますよ!機会をいただければ(笑)」と語っていらっしゃったので
よかったですね!と心の中で惜しみない拍手を送っています。
あと、ゲンムコーポレーションへの凱旋! ラスボス登場って感じ、素晴らしい!素晴らしい!
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