素晴らしき茜空の会

主に特撮番組の感想文。ブログタイトルは仮面ライダーキバに登場する「素晴らしき青空の会」より。

小説版  仮面ライダー龍騎(ネタバレなし)

2016-12-11 07:00:00 | 仮面ライダー龍騎
「最後まで勝ち残った者はどんな願いも叶えられる」 その言葉にすがり、凄まじい戦いをくりひろげていく仮面ライダーたち、ナイト、ゾルダ、そして王蛇・・・。壮絶な戦いに挑む彼らには、それぞれに悲しくて救いのない”戦う理由”があった。


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まず最初に思ったのが。
「この浅倉って、『月神』の男じゃん!」

龍騎小説版が2013年で、月神が2015年なので、
むしろ浅倉が月神の男? いやそれは全然違うんだけど、まぁいいや。
なにしろ「月神」は素晴らしい小説なのでとってもオススメです。(布教活動)

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えっと、何の話でしたっけ。龍騎の小説版ですね。

龍騎本編はタイムベントを繰り返し続ける世界なので、
劇場版やテレビスペシャル版と同じく、この小説版もそのループする世界の一つかなと思ったんですが
違った。設定も少し違うし、小説版でも最後はループを抜け出して完結してます。
登場人物は同じですが、本編とは別の、完全に独立したストーリーですね。

そういうことにしておかないと、登場人物たちの過去が激しくヘビー過ぎてですね・・・。
世間一般に井上先生の作風はエログロバイオレンスと評判なんですが、
もう、まさにそれです! ねっとりとまとわりつくような、重っ苦しい設定満載です。

私は井上先生の小説を、「海の底のピアノ → 月神 → 龍騎小説版」の順で読んでるんですが、
進むほど重っ苦しい設定が加速してます。うん、龍騎がいちばん重い。きつい。※個人の感想です。
なるほど。「井上小説ってそんなにエログロバイオレンスかなぁ?」と思ってた私が物知らずでした。

とりあえずみんな、海の底のピアノを読もうぜ! 海の底のピアノはいいぞ!(布教活動)
私はね、この本が大好きなので、死ぬときは一緒に棺桶に入れてもらって、あの世に持ってく予定です。
(知らんがな)(ていうか燃やすつもりかよ)

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あ。龍騎の話でしたよね
なんかもう、ひととおりの布教活動を終えたので、やりきった気分になってます。

そんなわけで、えげつない過去設定で消化不良を起こしそうになったりとか、
沙奈子おばさんがドス黒い悪意の塊みたいなキャラになってたりとか、
人によっては本当にNG!って泣かれる小説だと思いますが。

タイムベントとは違うルールで世界を繰り返す神崎士郎とか、
風が吹かない、音がない、死んだ世界のようなミラーワールドとか、
デスノートのように、箇条書きのルールが示されるライダーバトルとか。
似て非なる設定は、本編よりも洗練され、独特な世界観を作り上げてますし。

何より、井上先生の小説はきれいなんだよな。
本編の素晴らしいエンディングを見て、龍騎にこれ以上の物語は不要だと思いましたが
それでもやっぱり、井上先生の小説は、これはこれでアリなんです。大アリです。

個人的に「おお!」ってなったのが、龍騎公式アルバム「NAKED SEVEN」(2002年刊)
に収録されてる対談で、井上先生が吾郎ちゃんについて
「弁護士なんだから当然秘書がいるだろうと。そうしたらもうひとりいい役者がいて
 『ノートルダムの鐘』みたいな男みたいなヤツだよと」
と話してたんですね。たぶん誰かが弓削さんのことをそういうふうに紹介したんだと思うんですが。

それが、龍騎小説版の吾郎ちゃんは「ノートルダムのせむし男」を思わせるような
独特な風貌で描かれてて(っても、私はそれがどんな話かまったく知らずにいまググってきた訳ですが)
うわぁ!つながってるよ!ってテンション上がりました。
小説版の北岡センセ&吾郎ちゃんペアも、すごいよ。
もうね、本編のまとめ感想書いてるときに、小説版の設定に心持ってかれて混乱するくらいすごかったよ。

靖子にゃんの作品は後を残さずきれいに終わるけど、
井上小説は読者の心にベットリと後をひくなぁ(苦笑)

仮面ライダー龍騎 視聴後感

2016-12-10 09:30:00 | 仮面ライダー龍騎
先日、西尾維新さんと荒川弘さんの対談を読んだんですが、
彼ら二人は「物語を終えるときは、プラスマイナス0を目指す」と言ってたんですね。
読者の心に何か大きな感情を引き起こしたり、深い余韻を残したりする、そういう作品はもちろん素晴らしいけれど、
自分たちは、最後に何も残さない、きれいな終わりを目指している、と。

龍騎を見終わって、「最後はプラマイ0になる」ってこういうことなのかな、とふと思いました。
アマゾンズの視聴後もそうだったんだけど、
もう視聴中は嵐のようにぶわーっと、そりゃもう大きくかき回されてたんですが、
最終回でストンときれいに着地した感じで。
もう何も言うべきことはない、っていう。いまそんな感じです。

うん、毎回恒例の感想まとめページなんだけど、言うことが見つからないとか
どうしようねコレ(苦笑)

例えるなら、龍騎は、スノードームのような印象があります。
神崎士郎がたったひとつの願いを叶えるために、
何度も何度も、同じ時間を繰り返し続ける、閉じた世界の物語だった。

最後に神崎士郎がタイムベントで現実世界を解放してくれたから、
私たちが見てきた龍騎の世界は、現実から切り離され、スノードームの中に封じ込められて。
いまでも覗き込むと、彼らが必死で生きていた姿がキラキラと輝いて見える。
悲しいけれど美しい世界だったなと、慈しむことができる。

そんな感じです。
ここではないどこかの、完全に閉じられた世界の物語。
だから、なんとなく、プラスマイナス0な気分なのですよ。
うーん、言いたいことを表現できてる気がまったくしない。まぁいいや。



けっきょく、最後まで勝ち残って願いを叶えたのは、優衣ちゃんだったんだなと。
劇場版関連、神崎士郎に宣戦布告した優衣ちゃんがリセットされたのは、すごく残念だったんだけど、
やり直した世界でもやっぱり神崎士郎と戦い、最後は和解できたとか、すごく胸熱です。

優衣ちゃんと対になる存在、恵里さん。
彼女も優衣ちゃん同様、新しい命なんて望んではいなかったけれども、
でも、それが蓮さんの願いだと知っていたから、蓮さんの望むまま、新しい命を受け入れた。
あるいは優衣ちゃんも「それ」を選択する可能性も、あったかもしれないんだよなと。

でも優衣ちゃんは、世界が繰り返されるたびに、神崎士郎を拒否し続けたんじゃないかな、と思う。
そう考えると、おそろしく強情な二人の兄妹喧嘩である。

最後の最後に優衣ちゃんの背中を押してくれたのは
無力な自分に崩れ落ちる真司くんの姿(47話)だったと思うし、
逆に言えば、恵里さんにとってこの世界で大事なものは
蓮さんたった一人だけだったんだっていう事実も、切ない。

蓮さんだけが大事だったこの世界で、
蓮さんを失ったあと、彼女に一体なにが残されたんだろう。
いやもう本当に、蓮さんの半端ないエゴが怖すぎますよね。
「それでも生きていて欲しい」んだぜ?(38話

「それが間違っているかどうかは関係ない」という蓮さんのセリフ。
「それが正しいかどうかじゃなくて、俺もライダーのひとりとして、
 叶えたい願いが、それなんだ」(49話)という、真司くんのセリフ。

「正義」とかいう、実体のない、何か都合の良い言葉に頼るのではなく
想い、願い、欲望。「こう在りたい」という強い気持ちこそ、人を動かす原動力たりえるのだと。
そういう熱いものによって、人は生きるべきなのだと。

そういう物語でした。とても素晴らしい作品でした。ありがとうございます。



さて、最終回感想では細かいことをグダグダ言わず、格好よくスパッと切り上げたわけですが、
やっぱり。どうしても言わずにはいられなかった。北岡センセと浅倉の最後。
まとめ感想で書く話じゃないとは重々承知ですが、いろいろスルーしてここに書く!

浅倉の目の前に現れたゾルダ。
実は私、記憶をいろいろ失ってるんですが、視聴2周目でして、
このゾルダを見てなぜか突然、「これ吾郎ちゃんだ!」ってことを思い出したんですよね。

すごいタイミングで思い出しちゃったので、心の中、修羅場ですよ。
もうね涙ボロボロ。

んで。浅倉も何かを感じ取ってゾルダを見る。変身が解けて吾郎ちゃんが出てくる。
なんやかや言って、北岡センセは最後まで吾郎ちゃんを守り続けてたじゃないですか。
ライダーバトルに関わらないように。自分亡き後も一人で生きていけるように。

「できなくていいんだって。なんかもう、さ。ほんと、できなくていいよ」(47話

神崎士郎の宣言した「ここに居なければ脱落とみなす」(48話)のセリフと、
北岡センセが必死で守り続けた吾郎ちゃんが、いまこの戦場にいる、ということから
「あの弁護士野郎が自分の知らないところで勝手に死んだ、俺が殺してないのに、死んだ」という事実を知り
怒り狂って、目の前の警官隊に突撃していくっていう。その流れがね。もうね。

浅倉は、傷つけることでしか他者と関係を築けない人間なので、
その基準でいくと、「次はお前が相手だ=お前のことに興味がわいた」だし、
北岡センセに対する執着は、もはや愛と言い換えることが可能なんだよな、浅倉的には。

浅倉は、北岡センセや蓮さんが欲していた「強さ」を持つ人間だった。
でも、彼にはかなえるべき「自分の望み」がなかった。皮肉なことに。
浅倉が望むべきは、「自分以外の人間がいない世界」だったんじゃないかな。
おそらくそこでなら彼は、他者との関係にいらつくことなく、自由に生きられたと思うんだ。

まぁ、それって最悪のエンディングですけどね(苦笑)

ちなみに。最終回は「浅倉vsゾルダ」「蓮vsオーディン」が並行して描かれてましたが、
時系列で言うと、
 ・浅倉vsゾルダ戦(ゾルダ死亡)→警官隊突入(王蛇死亡)
 ・真司くん蓮さんの、対レイドラグーン戦(龍騎死亡)
が同時進行?で、蓮さんが最後の一人に確定しオーディンと対決、という流れらしいです。

ちなみにちなみに。私は登場当初の北岡センセを本当に強いと思ってまして。
10話とか14話とか。ブレがなく、まっすぐで、すごく強いと感じていて。
でも、演じてたご本人いわく「本当は弱い人間だから、それを隠すためにああいう行動をとってたんだと思う」
と語っていらしたので、うーん、まだまだ読みが全然足らないなぁと頭をかいている。



その他いろいろ小ネタ。

・ネットで「蟹刑事」と呼ばれている須藤さんですが、私はてっきり刑事を名乗る犯罪者だと思っていて。
 でも本当の刑事設定だったんですね。悪党じゃん! 刑事なのに悪党とか、本気で悪党じゃん!(すごくいまごろ)

・「年長組」に勝手に分類してた浅倉ですが、Wikipedia見たら
 真司くん23歳、蓮さん24歳、浅倉25歳でした。若かった。

・しかしやっぱり浅倉の存在感すごかったし、キャストさんそれぞれのインタビューを聞いてると
 みんなすごく浅倉こと萩野崇さんを意識してるのが伝わってきて、なんかもう納得するしかない。

・蓮さん役の松田悟志さんは、普段は関西弁らしいのですが、
 いわゆるコテコテ関西人って感じじゃなく、はんなり関西弁なのでしゃべるのがすごく良い!そういう関西弁もあるのか!

・優衣ちゃん役の杉山彩乃さん、本人は大阪のおばちゃんのような人柄で度肝を抜かれました。
 物静かなミステリアス少女で優衣ちゃん役にぴったりだと思ってたのに、違ったんだなぁ。

・私の大好き芝浦淳くんこと一條俊さん。やっぱり「もっと活躍したかった」とか言ってて、激しく同感。
 芝浦淳好きだなぁ。かわいい。
 
・井上先生と靖子にゃんも対談で
 「俺のガイを勝手に殺しやがって」「勝手じゃないですよ!じゃあ自分で殺せば良かったじゃないですか!」
 とか穏やかならぬ会話してて、笑った。まぁしかし、あれはあれで死の呆気なさが良かったけども。(19話

・東條くんこと高槻純さん。 彼は東條役を敢えて悪役として演じ、
 石田監督に「お前は東條を悪役にしちまったのか!」と言わせたらしい。
 逆に聞きたい。東條は悪役じゃなかったのか!? え?どうなる予定だったの???

・そして。彼は見るからに陰鬱なキャラだと思ってたのに、
 「前作でウルトラマンやってたので、そのイメージを払拭したくて」
 とか言ってて、え!?英雄だったの!!!ってなってる(笑)

書くことねーよ、と言いながら、気がつけばこんなに長々と書き連ねてましたよ。
というわけで。龍騎小説版の感想を挟んで、次回は「響鬼」予定です!

仮面ライダー龍騎 第49話「叶えたい願い」/最終話「新しい命」

2016-12-10 09:00:00 | 仮面ライダー龍騎
優衣の誕生日まで、あと2日。真司の変身を目撃した令子。仮面ライダーをめぐる謎が暴かれ、喧騒に包まれるOREジャーナル。一方、死期が迫る北岡は令子を最後のデートに誘う。モンスターの大群が空を埋めつくす中、真司はライダーとして何を願うのか?


「・・・以上が、原因不明の失踪事件の真相であり、仮面ライダーと名乗る人間たちの戦いの真実である。この戦いに、正義は、ない。そこにあるのは、純粋な『願い』だけである。その是非を問える者は」


最終2話、まとめて見ました。
とても静かで、ただただ、みんなの思いだけが、まっすぐで。
そして、最後、こんなに嬉しい気持ちになれるなんて思いませんでした。

良かった。最後まで見て、本当に良かった。素晴らしい作品でした。
久々にライダーで泣いてます。本当に良かった。

仮面ライダー龍騎 第48話「最後の3日間」

2016-12-09 07:00:00 | 仮面ライダー龍騎
優衣の誕生日まで、あと3日。タイムリミットを宣言した神崎士郎は全ライダーを召集し、最後の決着をつけることを求める。20歳の誕生日とともに、消えゆく優衣の運命を覆すために。そして、明かされていく優衣の過去。12年前、幼い妹と兄に、何が起こったのか?


ライダーバトルの中止を求めて神崎邸で叫ぶ優衣ちゃんは27話の再現だし、
それができないならいっそ自害すると叫ぶ優衣ちゃんは劇場版で見た姿で。
もう、いろいろなシーンが思い返されて胸熱です。

「やっぱり優衣ちゃんを連れ戻そう!」と叫ぶ真司くん。

なんかね、もう、真司くんがそう判断したなら、
それがたぶん正解だと思うくらいに真司くんの直感を信頼してます。

「無理やり黙らせて、新しい命を与えれば、それでいいのかよ!」
「無理やりでも生きている方がいい!」

優衣ちゃんの話をしてるんだけど、
勢い余って蓮さんにも斬りかかってるような感じになってる。

「このままじゃ・・・優衣ちゃんかわいそうだ」

真司くんの言葉に、目を伏せる蓮さん。
蓮さんがやろうとしてることも、神崎士郎と同じだからね。
そう考えると、蓮さんがやろうとしていることを知りながら
反論せず、「それが蓮さんの希望ならば」と受け入れてる恵里さん、超すごくない?

「言ってることはわかるよ。だから、お前は恵里さんを助けようとしてるわけだし。
 俺、それを否定するつもりはないから」
「お前はそうやって!・・・なんでも飲み込もうとするから、迷うんだ」

この一言が、すごかった。
ていうか、蓮さんにそれを言わせたことがすごかった。

今まで「俺は俺」の姿勢を貫いてきた蓮さんが。
真司くんが何を選ぼうと「それがお前の出した答えか」と干渉しなかった蓮さんが。
ここへきて、自分を見失いかけてもなお、蓮さんの在り方を受け入れようとする真司くんに
「自分のために戦う」と決めた覚悟を揺るがされてる。

あの一言は、自らの痛いところを突かれた蓮さんが、苦し紛れに返した悲鳴じゃないか。

北岡センセ、脱落。
生きていてくれて良かったという気持ちと、
でももう助かる道は残されていないんだという気持ちと。

「城戸のヤツ、どうなったのよ」
「・・・まぁ、元どおりと、いったところか」
「へえぇ〜、やっぱり、バカは立ち直りが早いねぇ」
「確かにヤツはバカだが」

「俺やお前よりマシな人間、でしょ?」

14話だよ。狂った常識で支配されたライダーたちの中で、
たった一人、命あることに感謝し泣き崩れる真司くんの人間らしい姿が、
こうしてちゃんと、蓮さんや北岡センセの心に響いて、いまも残り続けてる。
このセリフ、まさか北岡センセの口から聞けると思わなかったなぁ。感無量。

「ヤツがライダーだったのは、俺たちにとって良かったのか、悪かったのか」
「・・・さぁな」

人間のルールを捨てて戦う覚悟を決めた人間たちの中に、
意地でも人間のルールを持ち込もうとした男。
人間らしさを捨てて鬼となって戦えば、あるいは楽だったかもしれないのに
それを最後まで許さなかった男。

人の心を持ちながらライダーを続けることが、
果たして幸だったのか不幸だったのか、それはわからないけれど、
この終盤、北岡センセが自分と蓮さんを指して「俺たち」と言った、奇妙な連帯感は
真司くんがいたからこそ成立した、奇跡みたいなものじゃないかなと思ったり。

いや、考えてみたらアレじゃないか。
北岡センセが弱くなったのって、私がそうと感じたのが23話だったので、
吾郎ちゃんを見捨てられなかったのが、センセ弱体化の原因?と、納得できなかったんですが、
そうじゃなかったんだ。センセ弱体化の原因は、14話の真司くんの姿だったんだ。

「ヤツがライダーだったのは良かったのか悪かったのか」と、
いまここで語るセンセの穏やかな口調は、
鬼となりきれなかった自分、弱くなってしまった自分を、
「それでも悪くはなかった」と、受け入れているんだなと。
真司くんのおかげで、ちゃんと救われた人間がいるよ。こんなところにも。

ともかく。脱落宣言を受けて気力なく笑う北岡センセですが、
そんな彼を求めてその名を吼える男がいます。そうです浅倉です。
おとなしくリタイヤなんて許してくれないんだろうなぁこれ。

仮面ライダー龍騎 第47話「戦いの決断」

2016-12-08 08:00:00 | 仮面ライダー龍騎
20歳の誕生日とともに消滅する運命にある優衣を救いたい、戦う決意を固めた真司。優衣の過去に迫る蓮。タイムリミットは近づいていく。


シアゴースト群が一斉に動きを止めたので、
合体してキングスライム的なものになるかと思いました。
違った。繭を作ってレイドラグーンに羽化した。
劇場版のトンボみたいなヤツかと思ったんですけど、あっちはハイドラグーンですね。
似てるけど違うモノなのかな? あのハイドラグーンの造形、独特で面白い。

さて予告ではいよいよ、劇場版で見た教会のシーンが登場し
最後の3日間が宣告されます。本編もとうとうここまで来たのか。感慨深い。

本編。
優衣ちゃんのために戦うことを選択したはずなのに
ファイナルベントのカードを使うに至らず、膝をつく真司くん。

本人は自分の中途半端さに苛立ち、叫びますが
それでいいんだよ。それが正しいんだよ。
なんかもう、ライダー見てると、中途半端だからこそ人間は素晴らしいんだなってつくづく思う。

夕陽の河原のシーンが、すごく美しい。
アギト(43話)でもこんな夕陽の河原のシーンがあったなぁと思い出す。

「考えるからダメなんだ。何も考えなければ」

そうそう、真司くんは何も考えないで、がむしゃらに突っ走るのが正解だよ!
・・・と思いきや、思わぬ方向へ迷走始める主人公。ちょっと待って!

高級車!それすっごく高級車!!!

いやぶっちゃけ幾らくらいするんだろうとジャガーの公式サイト見に行ったら
スポーツタイプのコンバーチブルが「¥10,730,000から」って書いてあったので
「せんせー!、なんて書いてあるか読めません!」ってなりました。
年式も違うし、センセのはソフトトップだからそこまではしないと思うけど、
でもボンネットに傷つけたら殺されるお値段ですよね???(いやそれ以前から殺し合いしてるけど)

ともあれ。真司くんの迷走ぶりを、わざわざ蓮さんに「ご注進」してくれる北岡センセの優しさよ。

「なんでだよ、俺がやめろって言ったときはやめないくせに
 なんで俺が戦おうとすると、誰も戦わないんだよ」

なんかね、なんかすごく良いシーンなんだけど、なんか笑ってしまった。
それはね、みんなが真司くんを愛しているからだよ。

矛盾してるよな。殺し合いをする関係なのに、
なんでこんなに相手のことを理解して、思いやる心を持てるんだろう。

「決めたんだ。迷わない、何も考えない」

そんな真司くんの姿を見てると、
「考えるより先に、がむしゃらに突っ走ること」と
「考えることを放棄してしまうこと」は
同じように見えるけれども天と地ほども違うんだなって思った。すごく大事なことだな。

「俺は、俺は一体どうしたら・・・」と崩れ落ちる真司くん。
そして、とうとう最後の3日間が、終わりの始まりが来る。

浅倉。
死んだなんて思っていませんが、燃えさかる車の中に取り残されてたのに
今回なんの説明もなく普通に生きてて「おい!」って思いました。そんなところがマジ浅倉。