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プロジェクト○川

学生に本を読んでもらおうという,ただそれだけのはずでした

忘却の穴

2007年06月18日 | つぶやき
先週のニュースだけれど・・・.

慰安婦強制性否定の全面広告=日本の議員・言論人有志-米紙
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070615-00000032-jij-int

この短い記事を読んだだけで「広告」自体は見ていない.
だから,これから書くのは「広告」の批判ではなく,この報道が伝えている

「慰安婦らが日本軍によって強制的に慰安婦にされたことを示す歴史文書は存在しない」

という主張に対するひとことふたこと.

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ハンナ・アーレント(という政治学者)に「忘却の穴」という言葉がある.

もし,ある集団の全員を抹殺し,関連するすべての記録も消してしまえば,
その人たちが生きていたという「歴史」そのものが消えさってしまう.

ナチスがユダヤ人に対して行なおうとしたのは,人間の虐殺だけでなく,この「歴史」の虐殺だった.

われわれの生活の中では「疑わしきは罰せず」が正しいとされている.
しかし,戦争という大掛かりな行為は,証拠の隠滅能力が高すぎる.

「証拠が残っていなければ無実」というルールを採用してしまうと,
中途半端な虐殺者は裁かれ,徹底した虐殺者は裁かれないことになるかもしれない.

このルールは加害側に有利過ぎて,「ニュートラルな見方だ」と言うことには無理がある.

たとえ「歴史文書は存在しない」ことが事実だとしても,
「だからそういう歴史も存在しなかった」と考えることは,論理的に誤りだと思う.

ただし,「広告」がそこまで主張しているのかどうかは知らない(無責任ではあるが).
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