プロジェクト○川

学生に本を読んでもらおうという,ただそれだけのはずでした

社会・世間(8) 内田樹『街場の現代思想』,『知に働けば蔵が建つ』,『健全な肉体に狂気は宿る』

2006年02月24日 | 本の話
2名の卒論を無事に提出して,ほっと一息.ここはさっそく自分の研究に取り組むべきところだが,その前に.

内田樹(たつる)は,僕がいちばん信頼している書き手.私淑していると言ってもいい.
僕にはとにかく面白いです.盲をひらかれることばかり.

 ※私淑(ししゅく):直接の教えを受けているわけではないが,尊敬してその言動にならって修養すること

最新刊の『知に働けば蔵が建つ』(文藝春秋)から,
「雑学」と「教養」の違いを説明している箇所を引用すると(ちなみにこれは表紙裏に引用されている箇所ですが),

-------------------------------
教養は情報ではない.
教養とは形のある情報単位の集積のことではなく,
カテゴリーもクラスも重要度もまったく異にする「情報単位の間の関係性を発見する力」である.
雑学は「すでに知っていること」を取り出すことしかできない.
教養とは「まだ知らないこと」へフライングする能力のことである.
-------------------------------
(原文には傍点があるので,カギカッコをつけたり,改行を増やしたりしてます)

内田樹を読めば,こういう意味での「教養」が身につくはず.少なくとも,進むべき道筋がわかる.
引用したところは硬い(偉そうな)書き方ですが,中身はもっとやわらかい書き方で,村上春樹に通じる感じです.

ここ数年,内田先生(と呼んでしまおう)はかなりの冊数の本を出してらっしゃる.
いろいろあるのだけれど,一冊目は

『街場の現代思想』(NTT出版)

がいいかな.

教養で階層が固定されるという,ブルデュー(っていう有名なフランスの社会学者)の理論を
日本にあてはめて考えながら(っていうといかにも硬そうだけれど),
その流れに対抗して出しているのは「一億総プチ文化資本家戦略」.

オビには「教養がないことに気づくことから始めよう!」とあります.詳しくは読んでみましょう.

-------------------------------

OBからの方が(?)反応があるので,買いやすい本も紹介すると(『街場』も1400円と高くはないけれど),

春日武彦との共著『健全な肉体に狂気は宿る 生きづらさの正体』(角川oneテーマ21)

もすごく面白いです(こちらは760円).刺激的な対談・・・刺激が強すぎるかも.

内田先生の本は,OB諸君にも「身銭を切って」でも買うことを薦めたい.
ただし,耳寄りな話があって,内田先生の原稿の多くは,ホームページで公開されています.
それを後から編集して,本を作るというスタイルなのだそう.

内田樹の研究室
http://blog.tatsuru.com/

素直な気持ちとして,僕のブログなんか見ないでこっちを読めといいたい(矛盾).
神戸女学院大学の先生だけあって,ゼミの写真もうちとは好対照です.
(と書いておけば,うちのゼミ生はのぞいてみることだろう・・・君達の気持ちは痛いほどよくわかる.痛い)

なお,本はゼミ室ではなく,僕の研究室の方にあるので,読みたい人は言って下さい.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大塚英志『戦後民主主義のリハビリテーション』

2006年02月23日 | 本の話
大塚英志はすごくまっとうなことを言い続けている人だと思っていた.
この本は,その「まっとう」の集大成.

最近なんとなく怪しい気配もあるが,
一時期は宮台真司と大塚英志が「空間を張って」いた時期があったように思う.

それにしても文章は村上春樹的.

2006年2月15日(ざっと読んだだけ)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東浩紀・笠井潔『動物化する世界の中で 全共闘以降の日本,ポストモダン以降の批評』

2006年02月23日 | 本の話
これも『波状言論S改』の勢いで再読.

何で東浩紀が笠井潔を担ぎ上げるのかがよくわからないまま.
この決裂は極めて当然のことに思える.

笠井の最後の「手紙」に書かれていることが事実なら,東の言い分は言い掛かりということになるけれど,
どんな意図があるのか見当がつかない.

こういうことって,いまはネットで調べればクリアになるのかも.
そういうフォローをしないと,本の内容を理解することができないのか.

厄介な時代ではある.

2006年2月18日再読
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宮台真司『終わりなき日常を生きろ オウム完全克服マニュアル』

2006年02月23日 | 本の話
勢いで読んでしまったなつかしの宮台本.

「終わらない日常」を生きる知恵が「ブルセラ女子高生」って,
それで社会が成り立つのかよっていう当たり前のツッコミが結局は正しかった,
というのが現在からさかのぼってみた結論なのだろう.
あの当時はそれなりの説得力があったのは,バブル期の余韻のなせる業だったのか.

でも,今読んでも前半の分析にはキレがある.

2006年2月8日再読
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東浩紀編『波状言論S改』

2006年02月23日 | 本の話
この手の本を読んだのは久しぶり.

東浩紀はわが道を行っているなあ.
読んでいるうちは「やはりいまはこのラインか」と思ってしまうから,説得力はあるんだろう.
しかし,物足りなくも感じるのは,『批評空間』よりも「わかっちゃう」からなのか.

北田暁大の発言
「僕は当時,夜に寝酒を飲みながら浅田さんと柄谷さんがからんでいる座談会を読むのが習慣だったんですが」(p.159)
にちょっと悲しい気分になる.僕も同じ事をしていた一人(レベルが違うとはいえ).

ただしこの本に関しては「宮台真司の凋落」とでもサブタイトルをつけたくなるような読後感.

柄谷も宮台も,それぞれの本を読めば衰えてなんかいないのだが.

(2006年2月4日読了)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鹿島茂『成功する読書日記』

2006年02月23日 | 本の話
「どうしてこうも読書本は面白いのだろう」と思うのは,
僕がその手の人間だからなのだろう.

「読書日記」を始めるにあたってざっと再読.
特に最初の「入門編」はすばらしい.

「まずは引用」は座右の銘にしよう.
そして,読書日記は短く!

(2月21日ざっと再読)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

社会・世間(7) 『ザ・ゴール』

2006年02月22日 | 本の話
エリヤフ・ゴールドラット『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)

すごくいい本です.

帯には「世界で1000万人が読んだビジネス書」とあります.

サブタイトルにある通り「企業の究極の目標とは何か」という内容ですが,
この本の特徴は,それを「小説」の形で提示していること.

こんな話です.
------------------------------------
ある(大型)機械メーカーの工場長である主人公のロゴは,
本社から,あと3ヶ月で結果を出さないと,工場を閉鎖すると通告を受ける.

いったんは諦めかけるものの,恩師である物理学者(!)ジョナのアドバイスを受けながら,
ロゴは生産過程の「最適化」への道を歩み始める・・・.
------------------------------------

そのロゴの奮闘の過程を通じて,
「スループットを改善して,インベントリーを減らし,プロフィットを上げよう!」なんていう話がわかるようになるという趣向.

単純な(日本語で言う)リストラの話だと思ったら大間違い.
ちょっと手ごたえはあるんだけれど,生産の効率化に関するヒントがたくさんある.

初版が出版されたのは20年前だというのに,いまだにビジネス書コーナーに積んであったり.
日本人には教えないために,15年以上邦訳がでなかったという噂も.
訳者のあとがきによると,アメリカの経営系大学院で副読本に指定されていることもあるのだとか.

読んで損はない本です.


(念のため・・・以下,完全にゼミ生・OBのみに向けたアナウンス)

なお,途中に出てくる「マッチ棒のゲーム」をシミュレーションする
Excelマクロを作ってみてあるので,興味がある人は言って下さい.

また,英語の勉強をしたい人には,これをそのままドラマ化したCD(英語)を持っているので,
こちらも言ってくれれば貸しますよ(8枚くらいあるけれど).

(追記)
聴き終わったCD,Amazonで売っちゃいました.
まあまあの価格で売れた(^^)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新刊案内(2)

2006年02月21日 | 本の話
今日(2月21日)ゼミ室に届いた本です.タイトルだけ紹介

T田君のリクエスト分(7冊)

スティーヴン・R.コヴィー
『7つの習慣 成功には原則があった!』

楢木望
『内定したら読む本 社会人としての自分を仕立てる20章』

船井総合研究所
『会社に入ったらすぐ読む本 最初の一歩でつまずかない即効のゴ
ールデンルール』

糸藤正士
『報・連・相の技術がみるみる上達する!』
これ,ちょっと眺めただけですが良さそうな本です.
「報(報告)・連(連絡)・相(相談)」・・・うちのゼミ生に欠けている要素だよね.

林田正光
『リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと』

高杉尚孝
『実践・プレッシャー管理のセオリー ビジネスパーソン必修メンタル・タフネス強化のセルフコーチング』

H間くんのリクエストの本も入ってます.
タイトルは省略しますが,どういう種類の本か,想像はつくでしょう.
(うちの「専門」に関わる話題はなんとなく避けている.意味のない秘密主義)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新刊案内(1) 『やりたい仕事がある!』

2006年02月21日 | 本の話
池上彰監修『やりたい仕事がある!』(小学館)

カテゴリが増える一方.

ゼミに入ったばかりの本です.僕もちらちら眺めただけ.本の良し悪しは判断できないので,ただの「紹介」だと思って下さい.

タイトル通り,「こんな仕事もある」,「この仕事に就くには,こうすればいい」というガイド本です.

どの程度役に立つのかはよくわかりません(実は,この監修の方が書く文章に,僕は良い印象を持っていなかったりする).
でも,就職活動に入った(はずの)3年生は目次くらい眺めてみてもいいのでは.
(3年生がこのブログを読んでいるという情報は未確認だが・・・)

少し中身を紹介.

歌舞伎俳優(!)になる方法から,一部を引用すると・・・
-----------------------------------
「一般の人が歌舞伎俳優になるには,大別して2つの方法がある.
1つは現在活躍している歌舞伎俳優の弟子になり,修行を積みながら舞台に立てるチャンスを待つこと.
もう1つは前述の伝統芸能伝承者養成所へ入学して研修生になることである.
養成所の応募資格は中学卒業~23歳までの男子」
-----------------------------------
養成所には年齢制限があるんだね.僕にはもう無理だが,君たちなら可能性が.

以下,目に付いた「Go」(ワンポイントアドバイスみたいなものか?)という部分をいくつか引用してみると・・・

オオクワガタの養殖家
「飼育はエサや水のやり方など,案外手間がかかるもの.養殖キットを購入して趣味感覚から始めてみよう」

フラメンコダンサー
「フラメンコの教室を探して基礎を学び,可能ならば本場スペインへ留学して実力を付けよう」

ミミズによる廃棄物処理業者
「ミミズによる廃棄物処理をしている企業をインターネットで探して,問い合わせてみよう」

だるま職人
「工芸品としてのだるま作りを目指すなら,工房に弟子入りして,腕を磨こう」
うで上げたなあ,と言われたい.

突っ込みどころ満載でなかなか楽しい.
変ったものばかりを拾ってみたけれど,ちゃんと役に立ちそうな項目もあります.ゼミ室においておきます.

ところで表紙には「好きな仕事向いている仕事741職」とあります.
仕事は「何職」と数えるのか?ぶんぶんぶぶぶん
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『英会話・ぜったい・音読』

2006年02月16日 | 英語の勉強
國弘正雄・千田潤一『英会話・ぜったい・音読』(講談社)

うちのゼミ生はみんな知っている(はずの)本.

「英語(語学)はトレーニングだ」という事実を広く知らしめたという意味で,
現在の「音読ブーム」の立役者的な存在です.最近は類書(同じような本)が増えていますね.
レベルに応じて「入門編」,「標準編」,「挑戦編」が用意されています.

-------------------------
まず,僕自身の経験.
英語は今よりずっと若い頃からずいぶん一所懸命勉強してきたつもりなのに,
なかなか伸びないなあと感じていました.20代の頃です.

いま思うと,当時の方法には
1.知らない単語,知らない言い回しを覚えようと「背伸び」し過ぎていた
2.リスニング,読書など「受け身」の学習に「偏りすぎていた」
という問題点があったように思います.

-------------------------
まず,「1」について.
当時の僕は「語学の勉強は,スポーツや学期の習得と同じように考えるべきだ」ということを理解できていなかった.

ジーコだったか,他のブラジルからJ1に来ている選手だったかの発言で,
「日本人は新しい技術を覚えようとするときに,最初から速いスピードでやり過ぎる.
もっと,ゆっくりやって,それが『完璧に』できるようになってから徐々にスピードを上げていくべき」
というのを聞いたことがあります.これとよく似た話.

その頃の僕は「知る」と「身につく」の違いがわからなかった.
スポーツ選手は,(スイングとかジャンプとかが)完璧なフォームで一度出来たとしても,そこで満足なんてしませんよね.
それを何度も繰り返して,いつでも出来る状態に持っていく,あるいは成功確率を上げる.スポーツではそれが大切ですよね.

当時の僕のやり方を極端に言えば,
新しい技をどんどん試し,一度出来たらそれで満足して,別の技に進んでいたようなもの.

必至にTIMEや難しいペーパーバックをを読もうとして・・・そういう勉強も大切だとは思うのですが,
まだその段階に達していなかったのに,背伸びしすぎていたなと思います.

スポーツの比喩を続ければ,技術的に高いショットの練習をするよりも,
つなぎのショットの正確性を先に磨くべきだった,ってことか(最初はサッカーだったのに,気がつくとこの比喩は・・・).

-------------------------
次に「2」について.
「受け身」と,やや否定的書き方をしてしまいましたが,読書やリスニングは英語学習の基本.そのことを軽んじるつもりはありません.
このあたりについては,そのうち斉藤兆史先生の『英語達人塾』という本(最近の僕のバイブル)を紹介するときに書くつもり.

ただし,読書やリスニング「だけ」では,なかなか話せるようにはならないのも事実.
理論的には,脳のヴェルニッケ中枢(言語理解領野)だけでなく,ブローカ中枢(言語運動領野)を刺激しなくてはならない,
という話なのだそうですが,詳しくはこの本に書かれているのでそれを読んで下さい.

こちらも体験談を.
ごく最近,それまでは「まあまあわかる」と思えていたレベルの英語の本や朗読CDが,
全然頭に入らなくなるという,スランプの時期がありました.

よくよく考えてみると,ここしばらく音読やシャドーイング(テープに合わせて同じ内容を発音する練習方法)をサボっていたことに思い当たりました.
読書やリスニングはある程度続けていたのだけれど,声を出していないな,と.

で,数日間,集中的に音読したら,元のレベル程度には戻った(気がする).
やはり音読か,と認識を新たにしたという次第.

ところで,音読はリスニングにも効きます.

例えば,"about it"を早く発音すると「アバウリッ」って感じになるのだけれど,
僕がこの音をだいたい聞き取れるようになったのは,自分の発音で,この変化を実感できる(舌で理解する,というか)ようになってからでした.

-------------------------
英語なんて関係ないや,と思う人は別だけれど,何とかしたいと思う人は,だまされたと思って毎日音読を続けてみてほしい.
1日30分でいいし(実際にやると,30分はけっこうきつい),無理なときは5分でも10分でもいい.

なお,音読については,この本のようにある程度長い文章が向いているようです.

努力を続けた人は,1年後に実感できるはず.
高いお金を払って,週に1回程度英会話スクールに行くよりは,はるかに効果があると思います.

やたら長くなってしまったけれど,それは熱意のあらわれだと思ってください.
ところで,お前の英語力ってどのくらいなんだよ?と思うかもしれないけれど,それは言わぬが花ということで・・・.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

社会・世間(6) 『土壇場の経済学』

2006年02月15日 | 本の話
青木雄二+宮崎学『土壇場の経済学』(幻冬舎アウトロー文庫)

ジャンルとしては「マネー本」ということになるのかもしれないけれど,とにかく内容は激しい.
でも,一見したときの印象よりもずっと「普通の生活」に役に立つと僕は思います.

青木雄二は『ナニワ金融道』の著者(昨年亡くなってしまった.惜しい人を・・・)で,
誰よりも資本主義の怖さを実感させてくれる書き手.

宮崎学はヤクザの息子として生まれ,グリコ・森永事件の「キツネ目の男」(っていっても知らないか)として
疑われたというすさまじい経歴の持ち主.ようするに,両氏ともに裏社会のプロ.

自分のゼミ生に,この本に登場する人たちのような生き方をしてほしいとは微塵も思いませんが,
「カネは怖い」ってことがよくわかるという意味で,すごくいい本だと思う.面白いし.

借金の怖さがこれでもかこれでもか,ってな具合に書かれています.
これを読んだら,消費者金融に手を出そうなんていう馬鹿なことは考えなくなるでしょう.
利息って怖い.そういえば,最近は50年返済の住宅ローンもあるんだとか・・・.

僕が特に感心したのは,最後の方の「社長よ死ぬな,美学ある倒産を」という節.

宮崎氏は「社長よ,たかがゼニごときで死ぬな」という.
社長は何としても生き抜いて,従業員やその家族を守らなくてはならない.

では「美学ある倒産」とは何か.
それは「強者に迷惑をかけて泣かせても,自分より弱い者には迷惑はかけない」倒産だという.

現実の倒産は「銀行や大手の取引先に何とか金を返そうと走り回り,あげくにスッカラカンになって倒産し,
従業員とその家族を路頭に迷わせる」ことが多い.
でも,守るべき弱者は,銀行よりも従業員(とその家族)ではないか,と.

そもそも「この資本主義社会では負けることが当然,とまず考えること」が大切である.
そして「最終的にはほとんどの会社が負ける」,つまり会社はいつかはつぶれるのだから(それが真実),
「それを前提にして,負けたときどうするかを日頃から考えるべきなのだ」.

その具体的な方法には承服できかねる部分も多いけれど,ここまではまったくもって正しいと思う.詳しくは本を読んで下さい.
少し古い本だけれど(1998年刊),今でも十分勉強になります.

とはいうものの,なんでもこの本に書いてある通りにしようとは思わず(無理だとは思うが),
一部を参考にするだけにしておくように.われわれは「カタギ」なんだからね.

ゼミ室には単行本と文庫の両方があります.
「幻冬舎アウトロー文庫」っていうシリーズ名も,ちょっとすごいよね.
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

社会・世間(5) 『自動的に大金持ちになる方法』

2006年02月13日 | 本の話
デヴィッド・バック著 山内あゆ子訳『自動的に大金持ちになる方法』(白夜書房)

お金の話はいつもしているように,はまり過ぎること(例えばデイトレ)はすすめないけれど,
これからの時代,まったく知らないのはまずいと思う.

税金やら年金やら投資やら,知らなければいけないことはたくさんある.
でも,その面倒くささで引っかかって,スタートが遅れてしまうのはもったいない.

何がもったいないかというと,それは「時間=利子」のロスだから.

この本のよいところはメッセージがものすごくシンプルなところ.

いちばん大事なメッセージは

「生活費の余りを貯蓄するのではなく,まず貯蓄して,残りで生活しなさい」

というもの.著者はこのやり方を「まず自分に支払う」と表現している.
これはけっこう「コロンブスの卵」.

まず自分の目標額を貯金してしまえば,一生懸命「やりくり」に頭を使わなくても,
「残りで足りるか足りないか」で,支出が多いか少ないかを判断できる.
慣れれば苦にならなくなってきて,さらに貯金額を増やせるのだとか.

で,「早くから貯蓄(投資)の習慣をつけられれば,利子が強い味方になる」し,
「若いうちから始めるほど,利子が強力に働く」

「ラテマネー」というキーワードが出てきます.
文字通り「毎日のラテ(スタバとかの)に使うお金」のこと.
オフィス街で働く社会人には,毎朝のスタバを欠かせない人がいるんだよね.

うちのゼミ関係者に毎日ラテを飲んでいる人はいないだろうけれど(うちの学校のロケーションじゃねえ・・・),
ペット飲料とかタバコに使っているお金が君たちの「ラテマネー」なわけで.

たったその程度の節約がどのくらい効いてくるのか・・・あとは読んでのお楽しみ.
本に登場するような金利を,今の日本でどうやって実現するかという問題はあるけのだけれど,
金利はそのうち上がるから.その時に「原資」があるとないでは大違い.

200頁以上ある本だけれど,まずは最初の80頁(第3章まで)を読めば十分.
30分もあれば読めるんじゃないかな?もし面白かったら,残りも読めばいい.

この習慣を若いうちにつけられれば,いまの僕の年くらいになったときに,ずいぶん違う・・・かもよ(実感をこめて言うけれど).
これからこの本のようなストーリーをたどれる「可能性のある」君たちがうらやましいです.

まあ,この通りにやっていけるゼミ生がいるとは思えないけれど・・・.
(わざと煽ってみた)
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

つぶやき(トリノ五輪,2月11日)

2006年02月12日 | つぶやき
つぶやいてみようかと.

トリノが始まりましたね.

僕は北国育ちなのでオリンピックは夏よりも冬の方が血が騒ぎます.
で,冬のオリンピックといえばなんといってもジャンプなのですよ僕の場合.

最近ゼミ室では岡部岡部と騒いでいたから,
僕がいちばん応援しているのは岡部選手なのだろうと○川たちは思っているかもしれないけれど,
実はそうでもない(って,話したっけ?).

もちろん,岡部も応援しています.

今シーズンのドラマチックな復活劇のおかげで,
長野団体金メダルでの「岡部の2本目」の重要性が正当に認識されるようになったことはうれしい限り.

あの当時は,原田と船木に偏った報道ばかりで,ものすごく腹を立てていたものです.
岡部は,団体後の外国人プレス向け記者会見でも「原田の1本目をどう思ったか」というような質問に,
「あのひどい状況であそこまで飛べたのは原田さんだからだ」(ジャンプのスタイルからいって,これは事実らしい)
とフォローして,日本人選手の株をあげていたというのに.

前置きが長くなったけれど,結局誰をいちばん応援しているかというと,葛西です.

八木・秋元時代のあと,長い間低迷を続けた日本ジャンプ界に,葛西が現れたときの感動はいまもよく覚えています.
秋元以来のW杯優勝を伝えるスポーツ新聞(ジャンプといえば日刊スポーツ!)の記事を読みながら涙しました.

でも,葛西はオリンピックとのめぐり合わせが悪いんだよね.
この10数年の日本ジャンプ界を,エースとして支えてきたのは葛西だったのだから
(一時期は船木でしたが・・・),その功績にふさわしい結果が出てほしい.

公式練習では絶好調だったそうだから,今回こそはと期待していますが,
やっぱり話題は原田にもっていかれてますね(笑).

もちろん,原田も応援してますよ.同い年だし.
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

その他(2) 『哲学』島田紳助・松本人志(幻冬舎)

2006年02月10日 | 本の話
『哲学』島田紳助・松本人志(幻冬舎)

教師という立場で紹介するのはどうかなとも思うけれど,この本は面白いです.

まずは,最初は下手だったダウンタウンが「コピー」からスタートしたという話が教訓的.
これは勉強や研究も含めて,「何かを身につける」ときの黄金則だと思う.
精神論ではない「努力」の重要性が,「お笑い」という文脈でよくわかる.
ようするに,大切なのは正しい意味での「基礎」ってことなわけだね.

もうひとつ,紳助が「紳助竜介」の解散を決める件は,何度読んでも面白いです.
(問題:この場合の「件」は何と読むでしょう?)

ただし,すごく面白いのは1章「笑の哲学」だけで,2章の「人生哲学」以下はそうでもないかな.
1章はプロがプロとしての経験を語っているから面白いけれど,2章はバラエティのレベル.特に薦めません.

ゼミ室に単行本があります.ブックオフに行けば105円コーナーで見つかるだろうし.
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

社会・世間(4) 安部司『食品の裏側』

2006年02月10日 | 本の話
安部司『食品の裏側』(東洋経済新報社)

浜松町の本屋にたくさん積まれていました.売れてるようですね.

オビをそのまま引用すると・・・
----------------------------
食品添加物の元トップセールスマンが明かす食品製造の舞台裏
廃棄寸前のクズ肉も30種類の「白い粉」でミートボールに蘇る
知れば怖くて食べられない!
----------------------------

内容紹介はこれで十分でしょう.
昔はやった「買ってはいけない」系の本(最近復活気味?)ですが,
元トップセールスマンが書いているというところがポイント.

昔さんざん「悪いこと」をした人が,開き直って情報公開,という構図は,鈴木宗男さんと同じパターンですね.
倫理的にどうなのかは別として,情報源としては強力.

クズ肉がミートボールになっていくあたりの描写(?)は確かにショッキングかも.
安い「肉製品」というと,イギリスの変異型ヤコブ病(BSEのプリオンが人に感染した病気と考えられている)患者に,
"クズ肉"を固めて作ったハンバーガーをよく食べていた人が多い,という話も思い出してしまいます.

「添加物たっぷり生活」からの"解毒剤"にどうぞ.
全部真にうける必要があるかどうかは,自分で判断して下さい.

まずは,ゼミで「あのお菓子」を大量買いするのはやめにしないか・・・.
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする