最近はたまに,ゼミ室でプロジェクターを使って映画を観ています.
三大映画祭(カンヌ,ベルリン,ヴェネツィア)で賞を取るような映画,ベタに言うと芸術的で,ただちょっとわかりにくいようなのを観てみよう,という趣旨.要するに「教養ゼミ(映画編)」です.
どんなのを観たか,解説は手に余るので一口メモ程度に.
-----
ソクーロフ(監督)『ファウスト』
ゼミ生たち(正確にはうちのゼミ生とお隣のゼミ生)が,ゲーテの『ファウスト』は必読書らしいがなかなか読めないと話してたんで(教養自主トレですね.えらいえらい),最近映画化された『ファウスト』があるから見てみようかということになった.
2011年のヴェネツィア映画祭で金獅子賞(最高賞)をとってる映画で,僕も未見でした.監督はロシアのアレクサンドル・ソクーロフ.
ソクーロフだから,静かな映画を想像していたんだけど,これは強烈でしたねえ・・・.最後の方はリンチ(という監督)みたいだった.
ソクーロフは『太陽』という,昭和天皇の映画も撮ってる.そこで描かれている昭和天皇がとても「ふわふわ」で,不敬だっていうので右翼が暴れてなかなか上映されなかったりという騒ぎもありました.ちなみに昭和天皇役はイッセー尾形で,この演技はすごいです.ついでに皇后が桃井かおりだというところもなかなかなので,興味がわいたらDVDを探してください.
なお,ゲーテの『ファウスト』は,集英社文庫の池内紀訳が断トツで読みやすいです.読みやすければいいってものでもないけれど.
-----
ゴダール『気狂いピエロ』
ヌーヴェル・ヴァーグ(ググってね)を代表する映画.ゴダールはゴダールです.フランス(とスイス)の映画監督で,わかりにくい映画をとる監督の代名詞的存在でもある.
『気狂いピエロ』は,ゴダールにしてはストーリーを追いやすい方なんだけど(ストーリーの骨格だけをたどれば活劇みたいなものだし),それでも慣れるまではわかりにくいしれない.ただ,ゴダールはスタイリッシュな映像の代名詞でもあるので(ゴダールっぽく撮ったPVは多い),動く絵画をみるような気分で眺めればいいんじゃないかと.とにかく画がきれいでカッコいいです.
なお,このタイトルはもともと「きちがいピエロ」と読んでいたんだけれど,「きちがい」が差別的ということでか自粛して,ある時期から『きぐるいピエロ』と読むようになった.で,最近は「きぐるい」も駄目なようで,フランス語の原題をそのままカタカナにした『ピエロ・ル・フ』というタイトルになっている.こうなると,もう何の事だかわからない.
-----
アントニオーニ『欲望』
アントニオーニはイタリアの監督(故人).不毛な愛とか不条理とか,そういうのが得意な監督です(いいのかこんな説明で).
原作(というか元ネタ)がコルタサル(アルゼンチンの作家)なので,ラテンアメリカ好きのH田くんが反応した.
これも『気狂いピエロ』と同じく,「60‐70年代頃のカッコいい映画」としてよく名前があがるもの.1967年のカンヌ映画祭のパルム・ドール(最高賞)です.
主人公が変な事件に巻き込まれて,奇妙な体験をするという,僕はものすごく好きなタイプの映画なんだけど,さてどうでしたかね(って,これはH田くんしかみてない).
-----
ちょっとやりすぎのチョイスだったので(まあ,夏休みだったし),このあとはもう少しわかりやすいものに・・・ということで,次の予定は黒澤明『羅生門』です.