「茅ヶ崎方式」のサイトで、ほとんどの教材(PDFとmp3)が無償提供されているのを見つけてぶっとびました。
http://chigasakischool.com/
僕はここの『国際英語基本4000語』という、文庫サイズの単語集(辞書みたいな感じ)をよく持ち歩いて、暇があったら眺めています。
これはほんとにすごいな。ある種の経営戦略かもしれないけれど、志の高さをあらためて感じます。
さあ、ゼミでも英語の勉強を始めるぞ。
テニス話ばかりだと,ゼミ生にあきれられてしまうと思うので(手遅れか),勉強の話を.
語学の勉強法のひとつに「辞書を読む」っていう強烈で野蛮なやり方があります.
これは斉藤兆史先生の『英語達人塾』(中公新書)や,土屋雅稔『具体的・効率的英語学習最強プログラム』(ペレ出版)で勧められている方法.読む辞書にもよるけれど,かなり気合が入った人向けですね.
斎藤先生がご自身で持ち歩いて読んでいるのは『ポケット・オックスフォード英語辞書』で,これはもちろん超上級者向け.土屋さんの本では中学生向けの英和辞書が薦められています.中学生向けの辞書?と思った人がいるかもしれないけれど,あなどってはいけない.試してみると,けっこう勉強になるんだから.ほんとに.
僕もこの「辞書を読む」をやってみたことがありますが,続けるのはなかなか厳しいです.意欲さえあれば読むことは誰にでもできます.でも,毎日机に座って英和辞書を読むっていうほど時間が潤沢な人はなかなかいないはず.空き時間に少しずつ読みたいんだけど,重いんですよねえ,辞書って.
だから「本のように読める」電子辞書があればいいのにって,ずっと思っていますが見つかりません(スマートフォン向けの「読める」辞書を知っている人がいたら,教えて下さい).
で,僕のおススメは辞書ではなく,松山薫『茅ケ崎方式 国際英語基本4,000語ポケット版』(茅ヶ崎出版)という,文庫版の単語集.単語集といっても,手にとってもらうとわかりますが,ほぼ「辞書」です.
辞書を読むことのメリットのひとつは,綴りが似た単語の区別を明確にできること.さらにこの本には「collideは動いているもの同士が衝突すること,crashは動いているものが静止物に衝突すること,clashは人間同士の衝突,利害の衝突に用いる」なんていう説明が出ているし(collide の項),文例も英字新聞からの引用(?)が多く,実用的で「読む」のに向いてます. 文庫版だから軽いし,価格も840円と安い.僕は2冊持ってます.英語の新聞を読めるようになりたいという人にはぴったりですよ.
ただ,『DUO SELECT』くらいの単語はだいたい覚えてからじゃないときついかな.
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なお,何度か書いていますが,「英語の勉強の仕方」については,
森沢洋介『英語上達完全マップ』(ペレ出版)
土屋雅稔『具体的・効率的英語学習最強プログラム』(ペレ出版)
土屋雅稔『中上級者がぶつかる壁を破る英語学習最強プログラム』(ペレ出版)
斉藤兆史『英語達人塾』(中公新書)
などが僕のおススメです(下に行くほどレベルが上がる).
うちのゼミ生諸君には,森沢洋介さんの本を薦めます.どれもゼミ室か,僕の研究室で見つかりますよ.
最近,ゼミ生が「DUO3.0」を教材に英語の勉強会をやってます.毎回テストして,負けたら100円出すというなかなか厳しいルールのよう.さて,いつまで続くことか・・・.
でね,語学の基礎は結局のところ文法と語彙,そして運用能力を高めるためのトレーニング,という3つだと思う.
DUOはDUOでいいんだけど,あれは主に語彙を増やすための教材だ.どうも見ていると,一部の参加者にはややレベルが高い気がするんだよなあ.「レベルが高い」というのは,勉強・トレーニングとして効率が悪いだろう,という意味ね.
そういう人は,まず中学レベルの文法をしっかり確認して,同時に1000語レベルの単語を確実に身につける,という作業をした方がいいように思います.
ちなみにJACET(大学英語教育学会の語彙表)の1000語レベルチェックテストは以下の25語(打ち間違いがあっても許してね).
go, take, should, small, each
learn, line, reach, whether, color
short, support, common, brother, sun
size, attention, hotel, recently, contact
straight, sale, address, radio, audience
ここに意味のわからない単語が2-3個あったら,DUOの前に中学英語の復習だろうなあ.
ちなみに,2000語レベル(高校初級,英検準2級)のチェックテストは以下の25語.
determine, none, policy, hall, settle
focus, volunteer, insist, stuff, hat
slightly, crime, joy, bread, bowl
tape, pure, celebrate, intelligent, explore
carbon, device, pot, pray, laboratory
ここまで全部すらすらわかったら,なかなかだと思うよ.
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で,1000語レベルをクリアできた人にもできなかった人にも,勧めたいのはやっぱり音読.
ゼミ室にもある『英会話・ぜったい・音読』シリーズから,ちょうどいいレベルのものを選んで,1章(レッスン)ずつ何度も音読し,文法,文章のリズム,出てくる単語・熟語をアタマに刷り込んでいく.これは「ぜったい」おススメです.運用能力につながるから.
その後は,何のために英語を勉強するのかによって違ってくる.
英語の文献を読めるようになりたいのなら,語彙力をアップし,複雑な文章を読めるだけの文法力を鍛えないと.この目的には「DUO」がばっちりだし,大学の受験勉強に使った参考書も役に立つよ.
旅行などで会話ができるようになりたいのなら,語彙を増やすよりも会話力の基礎として,「瞬間英作文」を勧めます(ゼミ室にあるでしょ).
もちろん,会話力を上げる(ってのもヘンな言い方だけど・・・)には,実際に話す機会を作ることが望ましいんだけど,基礎は自分で鍛えられるからね.
そこをコツコツやれない人は,お金をかけて英会話スクールに行ってもあまり効果はないようです(モチベーションにはなるかな).
(ほんとうは,「僕の翻訳・・・」の前にこちらが来るのだった.「草稿」のままになってました)
斉藤兆史『英語達人塾』(中公新書)は,ここしばらくの僕の“バイブル”.この本に出会って,僕は英語の勉強についての迷いがだいぶなくなった(残ってはいます).
以前は「こんなに勉強しているのに伸びないのはやり方が悪いのか,環境が悪いのか」とかうだうだ考えていたものだけれど,何のことはない,勉強の「量」がぜんぜん足りていなかったのだとよく認識できました.
どんな本かというと,タイトルどおり「英語の達人」をめざすには,どんな勉強をすればいいのか,明治の英語達人達はどんな勉強をどのくらいしていたのか,という内容(これがものすごいのだけれど,詳しくは現物にあたってほしい).で,あんたも英語をモノにしたいと思うのなら,このくらいのことをやんなさい,と.
この本で奨励されているのは,多読,文法の勉強,音読,筆写,暗記などの「ベタな」方法です.一時期の風潮だと,「そんなだからダメなんだ」といわれていたような方法ですね.
僕は説得された.
で,とにかく洋書を読む,朗読CDを聴く,知らない単語・熟語は(できるだけ)調べて,覚える努力をする,さらには音読もする,ということを淡々とやっている次第(多分).
斉藤先生の教えに(ある程度)したがって,読書の大半を英語の本にして1年半くらい経つかなあ(実はこの半年くらいはまた折衷になっている.詳しい事情はまたいずれ).
確かに,その効果はある程度出てきていて,読める量も増えたし,わかる単語も増えていることを実感できている.
ところで,去年の暮れに本棚を見ていたら,同じ本を2冊発見!
どうやら,発売時に自分で1冊購入し,それはちょっと読んで忘れて,新たに研究室で買った2冊目で「はまった」ということらしい.
それくらいの価値は十分にある本だし,これはこれでいいんですけれどね(笑).
オヤジ化の進行の中での努力か,と考えると少し萎えます.
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洋書をまとめて読むのはこれが最初ではなく,20代の半ばあたり(就職した頃)にもそういう(そうした)時期があった.
大人が勉強のために洋書を読むときに難しいのは,内容と英文のレベルのギャップ.
英語力がなければ,そんなに難しい内容のものは読めないが,かといって子供向けの本を読む気にもなれず・・・というジレンマがある.
20代のときには,そういう点でポール・オースターは得がたい作家だった.
シンプルな英文だけれど内容は深い.当時高橋源一郎が絶賛していました.「80年代のアメリカ文学はオースターを生んだことで記憶されるであろう」とかって.「アメリカのカフカ」なんていう言い方もされてたな.
『シティオブ・グラス』(邦訳は角川文庫),『幽霊たち』(新潮文庫),『鍵のかけられた部屋』(白水社Uブックス)の"ニューヨーク三部作"から,『リヴァイアサン』あたりまで読んだところで,マイブーム(当時はなかった言葉だが,いまは死語か)が終わったのだが,最近も"Oracle Night"と"The Book of Illusion"を読んだ.どちらも面白いです.
オースターでは,やはり"ニューヨーク三部作"が薄くて気軽に読めるし薦めやすい(バラ読みでもOK).オースターの紹介はまたそのうち書くかもしれないが,とりあえず謎だらけの小説が多い,とだけ書いておこう(興味が湧く人もいるかと思って).
あとは村上春樹の英語訳(初期3部作とノルウェイの森)も読みました.講談社英語文庫で出ていたから安く手に入ったし,ストーリーは頭に入っているから(というか,表現まで頭に入っていたから),どう英訳されているのか,って感じで読んでた.
なお,最近世界的に評価されるようになってからの訳者は,当時とは別の人みたいです.
読みやすさと内容の面白さの兼ね合いという点で,最近のベストはカズオ・イシグロ.
日本生まれだけれど,イギリスで育ったイギリスの作家です(だから石黒一雄ではない).読みやすいし(僕には)面白い.イシグロは性に合うようで,いまのところ他の作家とは別格の読みやすさ.
注)この部分、イシグロの漢字表記を改めました。なぜかこのページは、このブログでもとてもよく読まれる(引っかかる)んですよね。あるときふと、まさかカズオ・イシグロの漢字表記があるせいでは…と思い当たって怖くなった(笑)。いままでは適当な漢字を充てていましたが、中国の書店での表記に合わせてみました。
シドニィ・シェルドンあたりと比べてさえも読みやすい・・・僕はアメリカ英語は苦手です.口語表現は弱いんだよね・・・.(スティーブン)キングなんて,本質的に難しいはずはないのになかなか読み進めない.サリンジャーもダメだったなあ.
そのイシグロ,あまりに長い『充たされざる者』(すべてが夢の中のような不条理小説)にだいぶかかっていて,待望の新作『Never Let Me Go』のペーパーバックが出たというのに,なかなか読み始めることができない.近々翻訳が出てしまうそうで,なんだか悔しいをしているところ.
イシグロでいちばん有名なのは『日の名残り』(ハヤカワepi文庫)という,老執事の話.アンソニー・ホプキンス主演の映画もよい出来だけれど,これは誰が読んでも素晴らしい(はずの)傑作なので,ぜひ小説を先に読んで下さい.
「これぞ現代文学」という本が読みたい人には,ハヤカワepi文庫で最近出たばかりのカズオ・イシグロ『わたしたちが孤児だったころ』を薦めます.楽しく読んでああ面白い,という本ではないかもしれないけれど・・・.
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シドニィ・シェルドンは読みにくいようなことを書いたけれど,(もしこれから洋書にチャレンジしようという人がいたとして)1冊目に読むペーパーバックとしては,やはり薦めやすい.内容的には『ゲームの達人』がいちばん面白いという評判なのだけれど,導入部がややたるいかも(これは僕も読みました).
ものすごく読みやすい,という意味では『きみに読む物語』のニコラス・スパークスは「すごい」です.ああいうのが嫌いでなければ,とっつきやすさは抜群.僕が読んだ1冊(The Guardian)は「ハーレクインロマンス」って感じでしたが・・・.
それでも「英語で読書」の楽しみは十分に味わえます.(もし,このThe Guardianがほしいというゼミ生orOBがいたらあげますから連絡下さい)
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ちなみに,『英語達人塾』を補完するような内容の,斉藤兆史『日本人に一番合った英語学習法』がついこの間文庫化されました.読み物としても面白いので,気が向いた人はぜひ.
今回は最長記録だな.