プロジェクト○川

学生に本を読んでもらおうという,ただそれだけのはずでした

リーダーシップ

2012年11月29日 | つぶやき

誰が何と言おうと,僕は鳩山由紀夫の政界引退を心から惜しんでいます.僕らの社会に必要なのは,競争力や効率化なんかよりも,「友愛」の方だと思うもの.

政治家が理念を追いすぎるとよい結果につながらないのかもしれない.でも,正しい理念を持ってないトップはいらない.理念を実現できるかどうかは,首相自身の資質もあるけれど,首相を支える周囲の能力や,僕らの側の問題も大きいでしょう.

沖縄に基地が集中しているのはおかしいけれど自分の近くに移すことには反対だとか(でも米軍は必要),放射性廃棄物の処理は必要だけれど自分の近くはダメだとか,年金制度の立て直しは必要だけど自分の年金が下がるのは嫌とか,温暖化問題は重要だけれど/原発は嫌だけれど電気の利便性はこのまま維持したいだとか・・・.この国民を束ねて,よい方向に持っていける人なんているんだろうか.

よく「政治に強いリーダーシップを」とかっていうけどさ,それって要するに強い権力のことでしょ.そんなものどう考えてもせいぜいが必要悪だよ.

本当に危機的な状況,たとえばどこかの国の侵略を受けているなんていうとき(「領土問題」レベルではなく)には,権力を集中させる必要がある.でも,いまの日本の「危機」の多くは,強権で解決できるタイプの問題ではないと思う.強いリーダーシップを求めて「しまう」あたりに,問題の根幹があるんじゃないか.

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次期首相の最有力が腹痛くんだっていうこの状況は,悪夢をこえてほとんど喜劇だ・・・喜劇っていうのは,外から眺めているからおかしいのであって,登場人物はたいてい憤っているものだし,ときには絶望していることもある.

そういうなかで,やっと第3極といえそうな動きが出てきたかな・・・どれも似たり寄ったりじゃ,第3極の意味がない.そういう動きが起きたということだけでも,かすかな希望を感じるし,嘉田知事の言うように「中道左派」を求める人はそれなりにいるはずだ(というか,いないようだと本当にヤバい).

脱原発を第一の争点にすることには危うさがあると思うけれど,少なくとも,学者としての嘉田知事はきちんとした方でしたよ(政治家としてはよくないという含みではなく,単に知らないってことです.滋賀県民じゃないので).

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議員の数削減なんておかしいって

2012年11月16日 | つぶやき

政局としてはものすごく面白い展開だけれど,今の僕らに政治をエンタメとして楽しむ余裕なんてないはず.

でさ,衆議院の削減なんて,うちの国が進むべき方向じゃないと思うんだよね.

まず,いま日本は,国として非常に厳しい時期を迎えているわけじゃない?で,衆議院議員は,この状況に対応をする「部署」の人員でしょ.なんでそれを減らすの?

地方への権限移譲という話もあるけれど,その達成を実現するためには人材が必要なんだからさ,削減するとしたって,移譲が完了してからじゃないと.それに,官僚に主導権を握られない「政治主導」を実現したいなら,官僚に対抗するために,国会議員に「専門家」がたくさんいる必要がある.この意味でも定数削減は逆行だ.

それよりも,なんといってもおかしいのは,政治家の一部が「われわれが身を削る改革を」とか言ってること.

その「われわれ」っていうのは,「政治家という職業を独占しているわれわれ」ってことでしょう?でも,日本は貴族政治ではなく民主主義だ.年齢条件さえ満たせば誰でも,政治を変えるために国会議員に立候補する権利がある.議員削減で削られるのは,僕らも含めた国民全体の権利だよ.この場面で「われわれの身を削る」という表現を使う政治家は,民主主義の前提を勘違いしている(しかも悪質に)としか思えない.

定数削減の予算削減効果なんて,国政全体から見れば微々たるものでしかない.歳費や政党助成金を減らすというならわかるけど,国会議員の削減はコストパフォーマンスが悪すぎる.

一票の格差問題は,議員の増加で対応するべきだ.減らすなら,参議院か地方議会が先だよ.

 

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二つ目の仕事

2012年11月14日 | つぶやき

新しいEconomistに”More than just a game”という記事が出ている.会社の仕事をゲーム化(gamigication)することで社員にインセンティブを与え,効率をあげるという話.

記事自体はどうでもいいんだけど(特に目新しい話ではないね,っていう記事だし),そのなかに「ゲームは二つ目の仕事だ」という指摘(ジョーク)が出てくる.

あるオンラインゲームは"a never-ending treadmill"(終わりのない苦行)だと書かれている.最強の敵を倒すそうとするプレーヤーは,たくさんの他のプレーヤーを束ね,数時間にわたる長いセッションを何日も続けることになるそうで,ゲームをしない僕などは,よくやるよなあと思ってしまう.

とはいっても,あらためて考えれば,僕の「浪費」はゲームという形をとっていないだけなんだよね.おまえのグランドスラム期間中の寝不足と何が変わるんだと言われたら,考えれば考えるほど何も変わらない(笑).

そろそろ,いまみたいなテニス観戦も潮時かなあと思っているところだったので(する方は半年ほど前に止めてしまった),よけいに沁みてしまったのでした.

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kindle日本語版で何を読むか

2012年11月13日 | 本の話

まずゼミ通信。

4年生S藤くんが内定をもらってきました。男子では第1号です(涙)。

あと、4年生からプレゼントをもらいました。ポンチョです。夜明けの風をはらませて旅に出ろということではなく(おそらく現役ゼミ生には通じまい)、お風呂あがりに着せるもの。ありがとうね。

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Amazon Japan のkindleストアのあおりで、日本向けのkindle bookの価格が上がった件はどうやら改善されたみたい。僕が次に買おうか迷っていた本も、最初1800円くらいだったのが1300円に下がってた。

このあいだ「戦略的な価格付けかも」って書いたけど、違うみたいです。ただの混乱だな・・・日本のkindleストアはまるで試験運用のような状態で、たとえばジャンル分けはまだめちゃくちゃ。ジャンルのフラッグが立っていないのか、どのジャンルを選んでも出てきちゃう本がたくさんあったりする(わざとか?)。

で、洋書の価格問題が解決したので、日本語kindle bookを買ってみることにした(日米のアカウント統一が面倒&不安で数日遅くなってしまった)。

そこで悩まされたのが品揃え。日本語kindle本はエンタメに偏っていて(純)文学が少ないから(需要を考えれば当然か)、僕が買いたくなるタイトルがなかなかみつからない。一覧性という点で、ネットはまだまだ弱いなー。青空文庫のコンテンツなんて、わざわざkindleで落とし直すこともないし。読んでなくても、手元に紙の本があるものは買う気にならない(だよね)。

読みたい本はあるんですよ、古井由吉とかグレアム・グリーンとか。でも、手元の文庫本に同じ著者のもっと読みたい作品があったりする。吉本隆明『心的現象論序説』が妙に安いのを見つけたけど、kindleでは読まないなあ。

ひとつうれしい発見だったのは、都筑道夫がたくさんあること。『ベッド・ディテクティブ』だとか(学生諸君には間違っても薦められない)、面白いことはわかっているが、残念ながらいまはそういう気分じゃない。

で、悩みに悩んだ末に(忙しいってのに何やってんでしょ)買ったのが、澁澤龍彦の遺作『高丘親王航海記』(単行本も文庫本も持ってるのだけれど)。最近『唐草物語』を楽しく読み返して、これも久々に読みたいと思っていたところだったのだ。

数日後、北海道新聞にこの本をマクラにしたコラムが載ってて、微笑んでしまった。きっと僕と同じように悩んで、これを買った人なんじゃないかな。

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設置の問題

2012年11月06日 | つぶやき

もちろん,大学関係者としては,今回の田中真紀子大臣の決定には驚愕していますって.

学校設置の認可は,文科省と長い交渉を続けて,ダメ出しされては調整してOKをもらいの繰り返し(らしい).最後の最後にひっくり返されたんじゃ,関係者はたまったもんじゃないでしょう(ちなみに,丸善は文科省の天下りをたくさん受け入れて,この認可の助言サービスという商売をしている.大学経営コンサルタントなのだそうだ).

とはいうものの,田中大臣が言っていることは正論だ.

子どもが減っているのにどんどん大学を増やせば,立ち行かなくてつぶれるところが出てくる.それが「市場に任せる」ということなんだけど,われわれの社会が学校がつぶれるという事態を受け入れられているようには思えないし,どこかの大学がつぶれたときの準備も十分ではない.

今回のことで,行くつもりだった学校に入れなくなってしまった生徒はかわいそうだけれど,行っていた学校がつぶれるのと比べたら,どちらがマシだろう.

拙速だ,せめて1年待つべきだったという意見がでるのはよくわかる,でも,田中大臣に次年度の決定権があるとは思えない(でしょ?).そもそも,認可が最終決定される前に募集を始めるのがおかしいともいえるのだし(大学関係者としては,そうなっちゃうのはよくわかるんだけど),このくらいのことをしなければ,「市場に」とか「国際標準」とかいう空虚な言葉の支配にはヒビさえ入らない.

別にこれは英断だと主張したいわけではなく,単に力を持ったら使ってみないと気が済まない人なんだろう.でも,あんがい重要なターニングポイントになったりしてね.

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昔も今も

2012年11月03日 | 本の話

やっと退院して落ち着いてきたかと思った父がまた救急車で搬送&入院.あちこちに迷惑をかけていて,気がふさいでばかり.

何か書こう.

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ちくま文庫から出たばかりの,半藤一利他『占領下日本』を読んでたら出ていた話.

ポツダム宣言受諾の際,昭和天皇は「国体の護持」(天皇制の維持)に自信を持っていたらしい.

なぜかというと,昭和天皇は短波でアメリカ(軍?)のラジオ放送を聴いていたからだという.向こうの新聞には,8月13,14日あたりに「天皇は安泰だ」っていう記事がばんばん出ていたんだって.

情報源は幅広い方がいい,外国語がわかることの利点は大きい,日本のマスコミはあてにできない.どう解釈してもいいけれど,要するに昔も今もってことのようです.

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