プロジェクト○川

学生に本を読んでもらおうという,ただそれだけのはずでした

出張とか/モーム

2011年09月27日 | 本の話

先週末は学会出張で長崎に行ってました.

残念ながら観光する余裕はなくて,学会会場周辺と,泊まっていた「活水あたり」を少し歩いた程度です.

でも,海沿いの公園でお年寄りが凧をあげるのをぼんやり眺めたり(ハタあげと言うのか),住宅街にたくさんいた猫たちを見ていると,とても幸せな場所だなあと思いました.

路面電車の若者たちは,お年寄りが乗ってくるとみんなちょっと腰が浮いていて,それも微笑ましかった.

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出張最終日に,東京で集まって飲んでいるOBからメール.(なんで長崎なんだ)東京に来いって言われても(笑).

夏休みにも何人かOBが遊びに来てくれたのだけれど,最近そういう話も書いてないね.

うちのOBたちも人生と格闘する年代に入り,楽しい話ばかりが伝わってくるわけでもないので,いろいろ考えるところもある.

・・・と書いたあとでなんですが,K池くんはパパになったそうです.おめでとう!

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ついでにちょっと本の話を(たまには書かないと).

最近岩波文庫から出た,モーム『お菓子とビール』を読みました.優れた物語作家が書いた,ストレートに面白い小説.誰にでも薦められそうです.

テーマを一言でいうと,若い頃に憧れた年上の女性の思い出,かな.

モームって,なんだか辛気くさいイメージがあったうえに,最初に読んでみた短編が趣味に合わず,若い頃は手に取ることもあまりなかった.

なんで「辛気くさいイメージ」なのかというと,たぶん単に長生きした作家だったから.長生きした作家(ヘミングウェイや川端康成)は晩年の写真で紹介され,若くして亡くなった作家(カミュや芥川)は,若い頃の写真で紹介される.で,イメージは写真で左右されてしまうのですね.長生きはしたいけど晩年の写真を使われるのはなあ・・・って,村上春樹さんもどこかで言ってます.

もう一つ理由があるとすると,日本では戦後にモームの大ブームがあったそうで,僕が子供の頃まではその反動が残っていたのかもしれない.「モームがこう言ってる」とか言うのは,年配の人のイメージだった(気がする).ずっとあとに『月と六ペンス』を読んでからは,古臭いイメージはなくなったのですが(激しいよ).

『お菓子とビール』には初期村上春樹の「僕」の原型かも,っていうところがあったりもします.そういえば,『走るときについて語るときに僕の語ること』の冒頭にも「サマセット・モームは『どんな髭剃りにも哲学がある』と書いている」ってフレーズが出てくる.興味がある人は「どこのことを言ってるのだろう」って,探してみてくださいな. 

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全米2011が終わって

2011年09月19日 | テニスに目が眩んで

やっと仕事(研究ね)が一段落ついたところなのだけれど,気がつけば来週から授業が始まります.

たまたま覗いてみているOBがもしいたら,どうして「エチケット」の話が出てこないのかとか,蟻が動かない話は?とかいろいろ思うかもしれないが,まあとにかく忙しかったのです.

こま切れの時間を活用できる趣味は読書くらいしかないので,本は意外に読んでいたりするんだけど,そちらはまた気が向いたら(最近あまり向かない).

そんなわけで,録画しておいた全米オープン男子決勝も,数日たってようやく見ました.僕の全米オープンは準決勝で終わってしまったので.

決勝は,個人的にはほとんど興味をもてない試合でした.もちろん二人とも素晴らしいアスリートだし,レベルの高い試合だったとは思うけれど・・・.

それにしても,どうしてフェデラーは,最初のマッチポイントであんなサーブを打ってしまったのだろう.

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決勝のストーサーは見事でしたね.セレナに完勝とは.

とうとうトップ4以外は優勝に絡まなかった男子と比べるまでもなく,今年の女子のグランドスラムはものすごい混戦でした.

全員が大会初優勝で,グランドスラムの優勝経験があったのも全豪のクライシュテルスだけ.2回決勝を戦ったのはリー・ナひとり.しかも,ランキングでは断トツ1位のウォズニアッキは一度も決勝に手が届かずじまい.

で,なんだかんだいっても,来年がどうなるかはセレナ次第かなあ.

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で,今日は,日本がデ杯で27年ぶりにワールドリーグ復帰という大ニュース!

大エース錦織君の2勝はもちろん立派だけれど,立役者は初戦でデバーマンに勝った杉田ですね.

2006年の札幌国際オープンで,まだ高校生の杉田君を見たことがあります.サーブは苦しんでいるようだったけれど,ストロークとフットワークがよくて,その大会ではいちばん可能性を感じた.

別に僕の目がよかったというのではなく,観戦したほとんどの人がそう思ったはず.準優勝だったし.

ただ,そういうこともあって,このニュースはさらにうれしいのです.

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辞任

2011年09月11日 | つぶやき

野田新内閣の人事でいちばん驚いたのは,経産省の鉢呂大臣だった.

元農協職員で,泊町を含む北海道4区選出.経産省が進めたがっているTPPにも原発にも,普通に考えれば反対の立場の人.

しかも,その経産省出身で,いまでも経産省と不快な,いや深いつながりのある高橋はるみ北海道知事とは,知事選を争った「天敵」の関係.

この人事の真意がどこにあるのか,すごく興味深いと思っていた.何もわからずじまいになってしまい,ほんとうに残念だ.

・・・と思っていたら,河野太郎さんの「ごまめの歯ぎしり」(9月10日)にこんな記事が(全文引用はOKのブログです).

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鉢呂経産相が辞任した。

一連の発言が失言であることは否定しない。アホといわれても仕方ない。

しかし、残念だ。

鉢呂経産相は、野田総理の原子炉の新規立地はしない、耐用年数が来たものは確実に廃炉にするとの方針を着実に進めようとしていたし、それを実現するためのかなり大胆な人事を考えていた。

経産省内外の抜擢すべき人物の発掘を多方面に依頼していたし、ガンとよばれる幹部の異動も考えていたふしがある。

個人的にはかなり期待していただけに残念だ。

失言にはきちんと陳謝し、撤回する等の対応が必要だが、失言でやめさせるのではなく、誤った政策でやめさせるべきだ。失言した分を取り返すために死にものぐるいで働いて、正しい、推進するべき政策を進めるほうがプラスが大きい。

今回は、不思議なことに与党幹部からも後ろから鉄砲で撃つ発言があった。

なにか裏があったのだろうか。

東京新聞特報部、テレビ朝日の玉川さん、自由報道協会、正義を守るために出動せよ。

この国をどうするのか、政策議論をしようではないか。政治家が揚げ足取りばかりしていてどうするんだ。

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「アホといわれても仕方ない」にも「政治家が揚げ足取りばかりしていてどうするんだ」にも深く同意.

でも,何とか失墜させようと狙っていた連中がいたんだろうなあ・・・飛んで火に入る,というところだったのか.

「正義を守る」数少ないちゃんとしたマスコミに期待しよう.

河野さんが挙げたマスコミに,鉢呂の地元の北海道新聞が入ってないことも残念.最近は北電のやらせ問題追求でずいぶんがんばっているんだけど,動き始めたのは遅かったんだよね・・・.

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全米2011_QFまで

2011年09月10日 | テニスに目が眩んで

もうほんとに忙しくて(まじめに研究してます),大切な大切な全米オープンも,HDレコーダに録画しては流し見するのが精一杯(なんだ見てるのか).

昨日の夜に久々にHDレコーダを立ち上げたら,3日で40時間たまっていて,気が遠くなりました.

きっと僕の知らない間にベスト8が出そろっているのだろう(新聞やネットのスポーツ欄は見ないようにしていた)・・・と思ったら,雨で順延が続いていたとは.おかげで追いつきました.

3Rで印象に残ったのはナルバンディアン.正直なところ,あまり好きな選手ではないのだけれど(2002年のウィンブルドン準優勝がどうしても納得できなくて),ナダル戦はよかったなあ.攻撃的な,いいテニスしてました.で,押されているように見えても勝っちゃうのがナダル.

女子4Rでは,ウォズニアッキとクズネツォワの試合がね・・・どちらの強いかではなく,どちらが弱いか,という精神戦に見えたなあ(特に第2セット).ウォズニアッキは応援しているのだけれど,あの感じだとセレナの壁は厚そう.

そのセレナと4Rを戦ったパウリチェンコワも潔いテニスで,見ていて楽しかった.

それにしても,セレナが28シードなんてどうかしている.実質的には第1シードの実力者がどこに入るかわからないのでは,シードの意味がないもの.

セレナ自身への影響はたいしたことがない.かわいそうなのは,たとえば4シードなのに3Rでセレナと当たったアザレンカ.「セレナ28シード」の犠牲者みたいなもので,気の毒です.

セレナが負けるとしたら,ウォズニアッキよりはストーサーだろうなあ.去年の全仏では大接戦でセレナに勝ってるし.

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男子4R,イズナー対シモンは注目してました.

とうとうケガからトップコンディションに戻ったシモンと,大巨人・イズナー.本来なら,サーブ&ボレーをするイズナーを応援しないと,僕の沽券にかかわるのだけれど,イズナーのサーブ&ボレーはなんだかズルい感じがして(笑).でも,トップ4を崩すとしたら,イズナーかも.

ファン・モナコ戦のフェデラーは強すぎ.QFのツォンガ戦はおっかなびっくり見ましたが,完勝で安心.

ツォンガはウィンブルドンの時に比べると,気持ちが守り気味だったんじゃないかな.それでは勝てるわけがないです.

そうそう,ウィンブルドンでフェデラーがツォンガに負けた試合の,妙な気の抜け方の理由は,だいぶあとで気が付きました.

フェデラーは2セットアップから負けた経験がなかったから,負けるって信じられなかったんだな(たぶん).

ジョコビッチ戦が楽しみです.

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みんな大丈夫?

2011年09月08日 | つぶやき

うちは全国から学生が集まることが自慢ではあるけれど,災害の時にはそれが逆に働いてしまう.日本のどの地方にも,誰かOBがいるから,どこで災害があっても心配になる.

みんな,大丈夫だった?

大学近辺は被害なしです.札幌も,豊平川はそうとう増水していたけれど,いまのところ大丈夫.

ただ,大雨では,その次の「まとまった雨」も怖い.

ここまでは被害がなくても,大雨が降った地域は,まだ安心できる状況ではないと思うので,十分に気をつけて下さい.

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札幌では昭和56年に大水害があって,水利や治水関係の業界では「56年災(ごじゅうろくねんさい)」と呼んでいます.

僕は中学生でした.当時住んでいた家の周辺も水浸しになって,普段は水が流れているかどうかわからない川(堺川)が氾濫したし,近所のマンションの半地下になった駐車場は,一週間くらいプールのようになったままだった.

その日はちょうど父が,誰かの代わりに会社の宿直をしていた日だった.水害で次の宿直の人が来られないから,若い社員の人の車に乗せてもらって,弁当を届けに行った.確か日曜日で,会社に食べ物がなかったんだ.

帰りに,その社員さんが「豊平川がどのくらいすごいのか,見てみようか」と連れて行ってくれた.

でも,川沿いの道路を少し走ってすぐに,ふざけて見に来てはいけないところだとわかった.

運転していた社員さんが「まずいな,こりゃ」とか言ってすぐに帰ったけれど,しばらくどきどきしていたのを覚えている.

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最近の僕はというと,かなり真剣に研究活動に打ち込んでいます.少なくとも6-7年ぶりだから,ブログを書き始めてからはたぶん初めて.

いままさに大ヤマを迎えているところで,だからこんな時間まで仕事をしているわけです.さ,寝よ寝よ.

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電力会社のCM

2011年09月02日 | つぶやき

すごく空いてしまった.

上杉隆・烏賀陽弘道『報道災害【原発編】』(幻冬舎新書)に出てくる話.

東電の記者会見で,上杉さんが勝俣会長に,なぜ民間放送に輪番放送等の節電をお願いしないのかと尋ねたら,返答が「いや,明日,新聞とテレビにコマーシャル打ちます」.

質問の趣旨が伝わらなかったのかと思って聞きなおしても,似たような回答しか返ってこない.で,翌日の新聞には大きな「お詫び広告」が載ったそうだ.

そのままではまったく意味不明.だが,質問者を新聞社かテレビの記者だと思って(?)返答した,と解釈すれば,これは「うちが広告を出していることを忘れてないか」というニュアンスに受け取れる.

返答した相手を間違えてたという解釈は強引かもしれないが,他の解釈は思いつかない.「電力会社のCMは,スポンサーになることでメディアを懐柔するためのものだ」という意見の傍証になる話で,あらためて,地域独占の企業に広告の必要はあるのか,と考えさせられる.

電気料金のことも考慮すると,地域独占企業の広告費にはキャップを被せるべきだね.僕らが「メディア懐柔費用」を負担する必要はないし,「高い電気料金で競争力を落とす」要因を放置することもないもの.

もちろん,地域独占という部分を見直す,という考え方もあるわけだが.

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道電力総連の井田会長という人がこう発言している.

「北電が一事業者として社員にシンポジウム参加を呼び掛け,社員が一道民として賛成意見を出すのは自然なこと」(北海道新聞8月27日朝刊35面)

「やらせ」発覚後の発言です.すごいね.

で,その道電力総連は「営業運転再開を容認した知事の判断を批判する見解を発表した民主党北海道に対し,電力の安定供給に関する認識をただす質問状を送った」(北海道新聞8月28日朝刊2面)というのだから,まったく,気合が入っていること・・・.

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