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プロジェクト○川

学生に本を読んでもらおうという,ただそれだけのはずでした

夢のような

2007年09月09日 | 映画
コメントがついたから調子に乗って,
「夢のような」というキーワード(?)で,好きな映画を紹介してみよう.

ほぼ「大好きな映画」と解釈してもらって差し支えありません.

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ブラザーズ・クエイ『ストリート・オブ・クロコダイル』

人形アニメ作家・クエイ兄弟の短篇集.

これのDVDが出ない限り,LDプレイヤーを捨てることはできない
・・・と思って調べたら,UKとUSでは短篇集が出てる!

言葉では説明しがたいので,そのDVD(日本未発売)のジャケで想像してください.
http://www.bfi.org.uk/booksvideo/video/details/quay/

表題作はシュルツの「大鰐通り」を映像化したもので,
こちらは『シュルツ全小説』(平凡社ライブラリー)で読めます.

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ブラザーズ・クエイ『ベンヤメンタ学院』

同じくクエイ兄弟なんだけれど,こちらは実写作品.
http://www.imageforum.co.jp/quay/bnjmn.html

劣った人間になることを学ぶための学校の話.
原作はヴァルザー「ヤーコプ・フォン・グンテン」.

ヴァルザーはカフカが最も愛した作家としても知られている人なのだけれど,
これは集英社の世界文学全集でしか読めない.

これもDVD未発売か.
シュヴァンクマイエルがあんなにうけているのになぜだろう?

おお,クエイ兄弟の新作が!(人知れず大興奮)
http://artificial-eye.com/dvd/ART315dvd/main.html

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ラース・フォン・トリアー『ヨーロッパ』

すっかりビックになったトリアー監督作品.
これは「大ブレイク」前の映画.いい意味で悪夢そのもの.

まっ黄色な出世作『エレメント・オブ・クライム』もいい.

「ヨーロッパのツイン・ピークス」と話題になった『キングダム』は,
個人的にはちょっとやりすぎ感あり.

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マーティン・スコセッシ『アフター・アワーズ』

この手の映画が好きな人の間では非常に評価が高い映画.一夜のコミカルな悪夢.

これは誰にでも薦められる.
「変った映画が観たい」と思ったときに,思い出したらどうぞ.

980円でDVDが出てると知って驚いているところ.

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キューブリック『アイズ・ワイド・シャット』

キューブリックの遺作.
ちょっとどぎついけれど,やっぱり好きな種類の映画ではある.

シュニッツラーの原作は,映画化の際にいろんなタイトル
(『夢小説』『夢がたり』『夢奇譚』)であちこちから出たから,古本屋にたくさんあります.

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ソクーロフ『静かなる一頁』

悪夢や夢は関係ない,『罪と罰』の映画化なんだけれど,
人々が飛び降りるシーンは息を飲む美しさ.

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パラジャーノフ『ざくろの色』『アシク・ケリブ』『スラム砦の伝説』

「悪」夢ではないが,夢そのもの.どれもあまりに美しい.

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タルコフスキー『鏡』

タルコフスキーではこれがいちばん「怖い」.
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アントニオーニ

2007年08月02日 | 映画
亡くなったアントニオーニ,僕も大好きでした.

『赤い砂漠』の冒頭は,あらゆる映画の中で僕がいちばん好きな場面.
工場と帽子とコートのコントラストがたまらない.

ファンキーな『欲望』は強烈にかっこいいし,
『砂丘』を観ることは圧倒的な体験だった.

追悼特集などでいろいろかかるかもしれないので,機会があったら観て下さい.

ただし,「愛の不毛」とか「現代人の孤独」とかを描き続けた監督であって(少なくともそういうことになっていて),
面白おかしいストーリーがある映画ではないです.念のため.
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最近みた映画+

2007年06月29日 | 映画
そろそろ夏休みも近づいてきているので,
ゼミ生には卒論・ゼミ論のテーマを固めて,計画を提出せよと要求中.

悩みの尽きない4年生たちからは「ああ,K渕さんがいてくれたらなあ・・・」と泣き言が(へー,人徳あるじゃん).

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最近見た映画のことを少々.

『大日本人』(札幌駅のワーナー)
確かに観たことのない種類の映画.
僕ははまったらしい・・・すぐにでももう一度観たい気持ちでいっぱい.

ただ,人に薦めるかと言われると,ちょっとためらいはする.
タケシの「みんな~やってるか!」(僕が好きなのはタカの機長)がOKという人なら,何の問題もないでしょう.

これをカンヌでやったんだなあ.

なお,仲間と観て,そのまま飲みに行ったら犠牲者が出るから,社長系の人とは行かないように.

最後の団欒?シーンのバックに「甘い生活」が流れていて,妙にくすぐられました.

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『パラダイス・ナウ』(シアターキノ)
自爆テロに身を投ずる若者たちを描いた「パレスチナ映画」.それだけでも観る価値がある.

自爆テロなんて狂人の所作だと単純に切り捨てて思考停止してしまうような人こそが観るべきなのだろうけれど,
そういう人はこういう映画なんて観ないだろう.

仕方がないといえば仕方がないことだが.

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『二十四の瞳』(シネマディノス)
監督木下恵介,主演高峰秀子.戦後の「名画」のひとつ.

好きなことを言えるし,教え子が戦争で死ぬこともない.いまはいい時代だなとつくづく思う.

ただ,一歩引いて考えれば,
こういう名画たちも,日本人の「被害者意識」の確立に一役買っている,という批判にも一理ある.

でも,これは昭和29年の映画だ.
当時の人たちが,生きて,生活を立て直すためには,こういう「ストーリー」が必要だったのだろう.

「現在の目」からみれば,それは方便かもしれない.
でも,その時代のいろいろな要素を抜きにして,この「感動」を否定する権利を,
いまの僕らが持っているというのもやっぱり単純すぎる.

・・・などと,いろいろ考えると複雑ではあるけれど,
僕は感性において単純なので,大泣きしながら観ました.

ただ,子供たちが大石先生(高峰秀子)に「小石先生,小石先生」と囃すシーンを,
最初「子供の反抗」と解釈してしまった自分に唖然(もちろん,興味や親しみがこもっている).
自分で考えているよりもずっと"毒されている"なあと気付いて,反省した次第.

ところで,この映画は札幌白石のディノスシネマで公開中なんだけれど,
僕らが行った6/23の昼の回は,客がたった10人.
上映初日だったって言うのにさあ・・・札幌の映画ファンは観に行かないと!

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『殯(もがり)の森』(BSハイビジョンでの先行放送)
メインのテーマとは別の部分ではあるが,個人的には森をさまよい始めてからが圧巻.
画面を通じて,「森」という空間を感じられてしまう.これは監督の才能なんだろう.

触れられない何かに触知しているという感覚に,『ロビンソンの庭』(っていう映画)を思い出した.

うちの21型テレビでは,エンドタイトルの文字は小さすぎて読めませんでした.
ハイビジョン放送をモノラルのテレビで観ている家って,たぶんほとんどないんでしょう.
コメント (3)
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最近観た映画

2007年05月26日 | 映画
映画観てないなあと思いつつ,最近観た映画を少し・・・という内容で書きかけて,公開するのを忘れていた.
(迂闊なことを書くと,観ようという気をそいでしまうことがあるようだから気をつけよう)

『善き人のためのソナタ』
傑作.まだ近くでやっていたら,絶対に観に行くべき.
もうやってなかったら,DVDが出るのを待って下さい.

これはまぎれもない現代史であり,
僕らの隣国では同じような状況が続いている.
そして,この国に似たような状況があったのも,僕らが思うほど昔のことじゃない.

『トニー滝谷』
劇場でじゃないです.ようやくWOWOWでみました.
ごく初期を除いては,原作の映画化を認めていなかった村上春樹が,
20年ぶりに許可を出したという作品.
原作も好きだけれど,美しい映画になったものです.
『太陽』といい,いまやイッセー尾形は日本を代表する俳優ですね.

『こまねこ』
後半の「にゃー」と友だちを探しまわる姿が琴線に触れました.
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惑星ソラリス

2006年12月17日 | 映画
親父は明日退院できる運びになって,ほっと一息.

今日は蠍座で『惑星ソラリス』を観てきた.
高校や大学の頃に何度か観ているけれど,15年ぶりくらいかなあ.

前半(第一部)はやはりときどき意識をなくしそうになるんだけれど(上映時間2時間50分),
何度観てもラストに圧倒されます.

個人的には,SF映画でもっとも好きなもののひとつ.
タルコフスキーでは『ノスタルジア』,『鏡』と並んで好きな作品.

ということは,僕がタルコフスキーに求めているのはノスタルジーなのか.

バッハを電子楽器で演奏した音楽も素晴らしい.
中学生くらいの頃に富田勲によるカバー?(『宇宙幻想』)を聴いてたもので,
僕は思い出そうとすると先にそっちが浮かんでしまうのだが.

蠍座は超満員でした.でもよかったなあ,蠍座があって.
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成瀬巳喜男監督『女が階段を上るとき』

2006年11月25日 | 映画
成瀬1960年の作品.主演は高峰秀子.

仲代達矢がかっこいい.
で,加東大介はいつもながら忘れられない.

成瀬をよくみるようになったのは最近なんだけれど,どれもほんとうに素晴らしい.

自分の不明というか不勉強というか,もっと早くにみればよかったと恥じ入るばかり.
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ローズ・イン・タイドランド

2006年09月17日 | 映画
3週間くらい前に見てきたテリー・ギリアムの最新作.

すごかったというか,すさまじかった.
ギリアムに自由に作らせるとこうなるんだな.

10歳の生身の女の子にあの役をやらせていいのか,と思うくらいのすごさ.
チラシのイメージでファンタジックな内容を期待すると,たいへんなことに.

食事は済ませてから見た方がいいです.
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モンドヴィーノ

2006年08月25日 | 映画
これも夏休み中にDVD借りてきて見た映画.
ワインに関するドキュメンタリーで,テーマは「グローバル化するワイン造り」ってところか.

136分と長いし,興味深くはあっても,もしかすると退屈するかもと覚悟していたのだが,
これがなんとめっちゃくちゃ面白い.

展開がスピーディで,退屈どころか,冒頭から引き込まれっぱなし.
いまのワイン造りのありようのドキュメンタリーであると同時に,
世界のワイン産地をめぐるロードムービーでもある.

「悪役」のミシェル・ロランが効いているけれど,あれじゃ本当に悪者みたいでちょっと気の毒.
僕のような素人には,彼がからんだワインはやっぱりおいしい(しばらく飲んだことはないが).

ロラン,パーカー,モンダヴィ,フレスコバルディなどの名前を知っている方が面白いだろうとは思うけれど,
「ワインを知らなくても十分楽しめる」という触れ込みに偽りはないみたい.

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かもめ食堂

2006年08月21日 | 映画
これもお休み中の映画.シアターキノで見てきました.

札幌では100日以上のロングラン.
日本人女性がヘルシンキで定食屋さんを開く話.いい映画です.

冒頭で,ニャロメのTシャツを着たフィンランド人青年が,
「かもめ?」と言いながら店に入ってくる.
見ている側は「ニャロメ,ニャロメ!」って(笑).あれでやられました.

それにしても小林聡美の出る映画はいいなあ.

見終わってから,スタバでシナモンロールを食べて,
そのあと大丸の上の「さんるーむ」でしょうが焼きの入った定食を食べることになったわけは,見ればわかります.
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オープン・ユア・アイズ

2006年08月21日 | 映画
休み中のレンタルビデオのもう一本.
この手の映画が見たくなって借りてきた.

リメイクの「ヴァニラ・スカイ」よりもいいとか,よい評判を聞いていて,
ずいぶん前からそのうち見ようと思っていたのだけれど・・・残念.
この内容で117分は冗長かな.

『アフター・アワーズ』(大傑作!)のような映画が見たいなあ.
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亀は意外と早く泳ぐ

2006年08月21日 | 映画
暇?にまかせて三木聡が監督した映画を借りてきた.

三木聡といえば90年代のシティボーイズ.
『真空報告官大運動会』などの傑作の作・演出はこの人.

小ネタの帝王みたいな人が映画をつくるとこうなるのだなと納得.
素晴らしい映画かどうかは思い入れの過多により判断しにくいけれど,
個人としては面白かった.

展開が速く,見ていると時間の経過を遅く感じた.
「え,まだ始まってから30分?」って感じで.

小ネタ探しに見返すことになるのだろうなあ.

そういえば,時効警察の続編はないのだろうか?
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マダムと奇人と殺人と

2006年04月28日 | 映画
『マダムと奇人と殺人と』という映画を観てきました.これも蠍座です.

連続殺人をメインプロットにしたサスペンスではあるのだけれど,登場人物はほぼ全員奇人.
警視は趣味が編み物.舞台は「突然死」という名のビストロ.
警視の飼ってる犬まで「奇犬」.あんなにかわいくない犬の出てくる映画は珍しい.

おかまの父親と20歳にして初めて出会う娘だけが普通なのだけれど,彼女にも魔の手が・・・.

小ネタが楽しいB級映画.
原色満載なんだけれど,余計な説明をばっさり省略した演出にはすがすがしさも.

『アメリ』のジュネ(というよりも『デリカテッセン』や『ロストチルドレン』のジュネ&キャロのジュネ!)
もテクニカルコーディネートで参加してます.

で,テクニカルコーディネートって何だろう?

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亀も空を飛ぶ

2006年04月24日 | 映画
昨日(日曜),『亀も空を飛ぶ』という映画を観てきました.
現在のイラクを舞台にした映画で,監督はイラン人のバフマン・ゴバディ.

紹介したいところだが,言葉がない.大傑作かどうかは別として,すごい映画です.
僕らには感情移入しながら観ることさえ許されないのかも,と思う.

機会があったらぜひ観て下さい.

普通の映画,つまりいろいろな"規制"のもとで撮られた映画を観なれている人には,
手や足の不自由な子供たちがそのままの役で演技をしている姿だけでも
ショックがあるのではないだろうか.

「蠍座」という映画館で上映中ですが残念ながら月曜(今日)まで.

蠍座は札幌ではただ一軒の「名画座」.
封切りされたばかりの映画ではなく,少し前に封切られた映画や「名作」をかけるのだけれど,
その代わり入場料は安い.大人1本800円,大学生なら700円.

DVD借りてくりゃもっと安いじゃんと思った君は映画を「体験する」ということをわかっていない.
暗闇にすわり,映像の美しさも音響も,多くの他人と共有するのが映画だからさ(えらそうだね・・・)

オーナーの田中さんは,僕が(知人以外の)札幌在住の人で最も尊敬している方.
蠍座には田中さんがいいと思った映画しかからない.しかも安い.観て損をするなんてことはない.
僕は蠍座がある街に住んでいることを幸せだと思う.
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