弁当日記

ADACHIの行動記録です。 
青年海外協力隊で2006年4月からバングラデシュに2年間住んでました。

バングラデシュのニュース(2017/09/25) ◆ロヒンギャ難民について_2

2017年09月30日 | バングラデシュのニュース
10月1日(日)に、静岡県では現地を見てきた静岡文化芸術大生の報告会があります。

〇10月1日(日) 午後1時から
 ロヒンギャ支援報告会
 浜松市中区早馬町2-1 クリエート浜松4階
 浜松市多文化共生センター


◆イベント情報◆
〇バングラデシュ「ハティア島への旅」 小林博子写真展
 2017年9月2日(土)~9月28日(木) 9:00~19:00 会期中無休
 会場:ギャラリーウォーク
 共同通信社本社ビル 汐留メディアタワー3階
〇グローバルフェスタ2017 (9/30,10/1) 今年はお台場です!
 http://gfjapan2017.jp/
〇雨タスサロン⑨石山民子さん(アジア砒素ネットワーク)のお話 (10/11)
 「雨+バングラデシュ」
 http://www.skywater.jp/
 https://www.facebook.com/1247945448580374/

■見出し(2017年9月25日) No2017-45_2
〇世界同時多発飢餓を警告=南スーダンなど4カ国危険-WFP事務局次長語る
〇ロヒンギャ問題で団結を=軍総司令官、国民に訴え-ミャンマー
〇ミャンマーのロヒンギャ迫害、多数派仏教徒の本心とは
〇ミャンマー衝突で日本の懸念伝達
〇インドネシア、ロヒンギャ難民に支援物資搬送
〇「ロヒンギャ迫害停止を」 国連総長、ミャンマー非難
〇行き場失う少数派 周辺国に40万人避難
〇彼らの状況を知るのは”事件”の時だけ
 ロヒンギャ問題とメディア、そしてスーチー氏の立場
〇柳井氏 ロヒンギャ難民支援に1億円
〇ロヒンギャ避難民に対人地雷の被害、ミャンマー治安部隊が設置か
〇ロヒンギャの救済へ実行を
〇バングラデシュ、ロヒンギャの移動を制限 流入40万人超える
〇バングラ首相、国連監視の「安全地帯」提言
 ロヒンギャ保護、ミャンマーは拒否
〇ロヒンギャ難民42万人、水やテント不足
 隣国バングラデシュルポ
〇国連難民高等弁務官、「ロヒンギャ族の難民に対する暴力に衝撃を受けた」
〇ロヒンギャ問題 スー・チー国家顧問の演説全文




■世界同時多発飢餓を警告=南スーダンなど4カ国危険-WFP事務局次長語る
 https://www.jiji.com/jc/article?k=2017091800433&g=int
 (時事通信 2017年09月18日)

1980年代のエチオピア大飢饉(ききん)のように1カ国が巨大な飢えに見舞わ
れるのではなく、世界各地で今年、飢餓が同時多発する危険に直面している。来日
した世界食糧計画(WFP)のロペスダシルバ事務局次長が警告した。
 南スーダン、ナイジェリア、ソマリア、イエメン。西アフリカからアラビア半島
へ点在する4カ国をWFPは今年「飢饉寸前」という共通項でくくっている。並行
してミャンマー軍に追われたイスラム系少数民族ロヒンギャ難民が流入するバング
ラデシュでも緊急支援が必要だ。
 南スーダンについては2月、WFPは一部で「飢饉が起きている」と最も強い警
告を世界に発した。雨期でぬかるむ道、増水したナイル川、空輸と、あらゆるルー
トで緊急支援を投入、餓死発生を食い止め、6月には最悪の状態を脱したが「状況
は不安定で、昨年の今ごろ150万人だった南スーダンの支援対象者は今年8月、
290万人と倍増した。状況の悪化が分かる」と事務局次長は指摘した。

 原因は、自衛隊施設部隊も撤収に追い込んだ武装勢力と政府軍の戦闘だ。「家畜
はもちろん畑に植える種さえ失っている」。避難民に暮らしを再建する力がない。
「エチオピアやケニア、スーダンに加え、ここ数カ月、ウガンダにも100万人が
逃げている」と国外への危機拡大を警告する。
 ソマリアは南部、ナイジェリアは北東部を中心にそれぞれアルシャバーブ、ボコ・
ハラムというイスラム過激派が支配地を維持する。支援を届けられるのは軍が奪回
した地域に限られるが「自爆テロの危険が常にある」。最近のイスラム過激派は軍
と支援団体を区別しない。
 イランが支えるイスラム教シーア派系武装組織フーシ派と、サウジアラビアが支
えるハディ大統領派が争う内戦下のイエメンは支配地域が入り組み「支援を届けよ
うにも、どこも封鎖だらけ」で頭が痛い。「人道支援は封鎖の対象外なのに、輸送
を頼んだ民間企業の船が港で荷揚げを止められる」など遅延に次ぐ遅延で、食料を
待つ人々の飢えは悪化していく。

 紛争に伴い飢餓が心配される国は他にもある。事務局次長は中央アフリカとコン
ゴ(旧ザイール)の両国を挙げた。コンゴでは2月、調査のため現地入りした国連
職員さえ殺害されている。
 さらに戦闘で疲弊した地域に日照りなど異常気象が追い打ちをかける。特に「ソ
マリアの日照りはもう3年連続」と過酷だ。ただ、似たような状況のケニア北部や
エチオピア南東部は「政府が機能して自分たちで対策を考え、WFPはそれを助け
るだけで済んでいる」。紛争下にある国とない国。隣り合いながら対照的だ。



■ロヒンギャ問題で団結を=軍総司令官、国民に訴え-ミャンマー
 https://www.jiji.com/jc/article?k=2017091800130&g=int
 (時事通信 2017年09月18日)

ミャンマーのミン・アウン・フライン国軍総司令官は16日、公式フェイスブック
を通じて出したコメントで、イスラム系少数民族ロヒンギャは「ベンガル人の過激
派だ」と改めて強調し、「真実を確立するため、団結しなければならない」と国民
に呼び掛けた。
 総司令官は、西部ラカイン州でのロヒンギャ武装集団と治安部隊の衝突は8月2
5日以降、93回に達したことを明らかにし、「州内に拠点を設置しようとする組
織的企てだ」とロヒンギャを非難。「彼らはロヒンギャとして認めるよう求めてい
るが、そのような民族はミャンマーにはいない」と述べた。



■ミャンマーのロヒンギャ迫害、多数派仏教徒の本心とは
 https://www.cnn.co.jp/world/35107588.html
 (CNN 2017年09月21日)

ミャンマー・ヤンゴン(CNN) ミャンマーの事実上の政権トップ、アウンサン
スーチー国家顧問が少数派のイスラム教徒ロヒンギャについて演説を行った当日。
ある公務員は仕事を休み、精肉店を営む女性は休業し、ヌードル販売の男性はスマ
ートフォンで演説に耳を傾けた。
同国西部ラカイン州の衝突では、40万人を超すロヒンギャが隣国バングラデシュ
に避難した。ミャンマーはこの問題を巡り、国際社会からのかつてない批判にさら
されている。
ミャンマーのロヒンギャに対する処遇を非難する声は、スーチー氏の演説後もやむ
気配はない。しかし最大都市ヤンゴンの住民には明るいムードが広がる。
市中心部の公園に設置された特設の大型スクリーンで演説を見守った旅行会社の経
営者(41)は、「市民の大多数はスーチー氏を支持する。同氏がこの問題を解決
してくれると確信している」と語った。
スーチー氏の演説が英語だったため、内容を理解できなかった市民も多い。それで
も「同氏が私たちのため、世界に語りかけてくれたことを誇りに思う」と三輪自転
車運転手の男性は言う。
ソーシャルメディアのプロフィルにスーチー氏の写真を掲載して支持を表明するユ
ーザーも相次いだ。
57歳の公務員の男性をはじめ、CNNが取材した市民の多くは今回の問題につい
て、海外のメディアがラカイン州に関して「間違った情報」を流したことから危機
的状況に陥ったと批判する。
海外のメディアはロヒンギャのような少数派にばかりに脚光を当て、多数派である
仏教徒の窮状を無視しているというのがその主張だ。
現地紙は政府の発表通り、テロ集団に襲撃されて軍が対応したと報じている。「民
族浄化」や「集団虐殺」と形容されていることへの言及はない。
スーチー氏もそうだったが、ヤンゴンでロヒンギャという言葉を使う人はほとんど
いない。多くの人は、不法移民の意味でも使われる差別用語の「ベンガル人」とい
う言葉を使う。仏教愛国主義が急激に高まるミャンマーで、少数派のイスラム教徒
に対する同情心はほとんど皆無に思える。

ミャンマー国民と見なされないロヒンギャに対する古くからの偏見は根強い。「や
つらは先住民族に対するテロリストだ」。あるヌードル販売業者はそう切り捨てた。
内国水運管理局の職員で、最近まで2年以上ラカイン州で勤務していた男性は、仏
教徒がイスラム教徒に脅かされていると主張し、「彼らは膨張している」「あまり
にたくさんの子どもを作る」と訴える。
12万人あまりのロヒンギャが、州によって隔離地域に住むことを強要されている
現状についても、全く問題はないという意見だ。そうした地域を訪れたこともない。
「外部の者にとっては危険すぎる」と告げられているからだ。
「彼らは護衛付きで外出できる。問題はない。公立病院にも来るし、市場へ買い物
に来ることもできる」
ミャンマーの国民の約90%は仏教徒だが、「イスラム教徒が仏教徒を脅かす」と
いう考え方は、出版物や宗教関連の刊行物などにも掲載されて広く浸透していると
いう。
ただ、ロヒンギャに敵意を感じる人ばかりではない。

看護学を学ぶキリスト教徒の女性(25)は「両方とも苦しんでいる。安定した状
況になることを望む」と話した。
スーチー氏のもと、軍事政権から民主化への移行に伴う経済成長の恩恵を受けるヤ
ンゴンの市民にとって、ラカイン州の人道危機は遠く離れた場所の出来事のように
も思える。
皮肉なことに、欧米から人権活動家としてたたえられたスーチー氏が今回の問題へ
の対応を巡って非難される中で、そうした批判の高まりが、ミャンマー国内では同
氏に対する支持を一層高める要因になっている。
「間違った情報や偽の情報のために、スーチー氏は綱渡りをしている」とあるツア
ーガイドは言う。
国家顧問としてのスーチー氏は、あらゆる権限を掌握しているわけではない。同国
の憲法では、ミン・アウン・フライン国軍司令官が率いる軍に絶大な権限を与えて
いる。
支持者もロヒンギャに対する同情心をほとんど持たない状況のなか、スーチー氏に
とって、国際社会の望むようなやり方で国軍司令官のロヒンギャに対する行動を非
難することにつながるような動機はほとんどない。



■ミャンマー衝突で日本の懸念伝達
 http://jp.reuters.com/article/idJP2017092101002074
 (ロイター通信 2017年9月22日)

堀井巌外務政務官は21日、訪問先のミャンマーの首都ネピドーでミン・アウン・
フライン国軍総司令官らと会談し、治安当局とイスラム教徒少数民族ロヒンギャの
武装集団の衝突や、大量の難民が隣国バングラデシュに流出している状況について、
日本の立場と懸念を伝えた。

 日本外務省の関係者によると、堀井氏は武装集団による治安当局への攻撃を強く
非難する一方、市民にも犠牲者が出ている状況に懸念を示した。

 アナン元国連事務総長を委員長とする政府の諮問委員会による勧告の着実な実施
も要請。100万ドル(約1億1千万円)を上限とする緊急支援の実施も表明した。



■インドネシア、ロヒンギャ難民に支援物資搬送
 https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM13H5U_T10C17A9000000/
 (日本経済新聞 2017年9月13日)

インドネシア政府は13日、ミャンマーからバングラデシュに逃れたイスラム教徒少
数民族ロヒンギャに向け、軍用輸送機で人道支援物資の搬送を始めた。

 物資は食料や水、テント、毛布などで、地元メディアによると計34トン。ジョコ
大統領がジャカルタの空港で搬送の様子を見守った。

 国際移住機関(IOM)によると、バングラデシュに逃れたロヒンギャは37万人
に達している。

 世界最大のイスラム教徒人口を持つインドネシアでは、イスラム団体によるミャ
ンマー政府に対する抗議デモが頻発。ジョコ氏はルトノ外相をミャンマーに派遣す
るなどして調停に乗り出している。



■「ロヒンギャ迫害停止を」 国連総長、ミャンマー非難
 https://www.nikkei.com/article/DGXLASGT14H0S_U7A910C1EAF000/
 (日本経済新聞 2017年9月13日)

国連のグテレス事務総長は13日、ミャンマー西部でイスラム教徒少数民族ロヒンギ
ャが暴力から逃れるため難民になっている問題で、ミャンマー政府に対し「軍事行
動を停止し、暴力を終わらせるよう求める」と述べた。安全保障理事会が追加制裁
決議を採択した北朝鮮については「朝鮮半島と地域で大きな不安定と緊張を生み出
した」と非難した。

 12日から総会を開催中の国連本部で記者会見した。「最も重大な世界の2つの懸
念」として、北朝鮮の核・ミサイル開発問題とミャンマーでのロヒンギャ迫害をあ
げた。

 グテレス氏はロヒンギャ問題について「人道状況は壊滅的だ」と懸念を表明。バ
ングラデシュに避難した難民は約38万人に上ったとし、「すべての国に人道支援を
要請する」と呼びかけた。「治安部隊による市民への攻撃も報告されている」とし、
「とても受け入れられない」とミャンマー当局を非難した。

 ミャンマー政府は12日、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が国連総会に
出席しないことを明らかにした。ロヒンギャ問題を巡って、ノーベル平和賞受賞者
のスー・チー氏に国際的な批判が高まっていることを考慮したとみられる。スー・
チー氏は昨年、初めて総会で演説し、国民の和解を訴えて国際社会から歓迎されて
いた。

 国連安全保障理事会は13日、ロヒンギャ問題を議論した。エチオピアのアレム国
連大使は会合後、「(ロヒンギャが居住する)ラカイン州での暴力を終わらせるよ
う迅速な手段を要請し、治安活動中の行き過ぎた暴力の報告について懸念を表明す
る」との声明を読み上げた。ミャンマー政府に人道支援を促し、緊張緩和と難民問
題の解決を求めた。

 一方、グテレス氏は安保理が全会一致で採択した北朝鮮への追加制裁決議に関し、
「全国連加盟国に完全な履行を求める」と述べた。そのうえで「安保理の結束は外
交的関与の機会も生み出す」として政治的解決を訴えた。軍事行動は「大規模な惨
状を生み出しかねない」として、対話の必要性を強調した。



■柳井氏 ロヒンギャ難民支援に1億円
 http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/news/post_140337/
 (テレビ東京 2017年9月12日)

 ユニクロなどを展開するファーストリテイリングの柳井社長が、ロヒンギャ難民
対策への資金援助を申し出たことが明らかになりました。国連難民高等弁務官事務
所によりますと、柳井社長個人から100万ドル、日本円でおよそ1億1,000万円の寄
付の申し出があったということです。ミャンマーから隣国バングラデシュに脱出し
たロヒンギャ難民は、37万人に達しています。



■ロヒンギャ避難民に対人地雷の被害、ミャンマー治安部隊が設置か
 http://www.afpbb.com/articles/-/3142952
 (AFP通信 2017年9月15日)

ミャンマーの少数民族ロヒンギャのアジズル・ハク(Azizul Haque)さん(15)は、
家族と一緒に国境を越えて逃げようとしていた際に地雷を踏み、両脚を吹き飛ばさ
れた。

 アジズルさんは、バングラデシュ側の国境の街、コックスバザール(Cox's
Bazar)の病院に搬送された。地雷の爆発で両足と手の一部を失い、多数の金属片
が体中に刺さっていた。痛みに叫び声を上げたくても、それだけのエネルギーを振
り絞ることができない様子だった。

 ベッドの脇でどうしようもなくただ涙を流していた母親のラシダ・ベグム
(Rashida Begum)さんはAFPの取材に「アジズルが地雷を踏んで大きな爆発音が聞
こえた。足が2本とも吹き飛ばされるのが見えた」と語った。

 ミャンマーのラカイン(Rakhine)州からは8月25日以降、アジズルさん一家のよ
うなロヒンギャの人々、約37万9000人が隣国バングラデシュへ逃れている。

 バングラデシュ当局は、ミャンマーの治安部隊がロヒンギャの人々を帰還させな
いために対人地雷を用いているとみている。対人地雷をめぐっては、生産やその使
用といったあらゆる行為が1997年の国際条約で全面的に禁止された。

 バングラデシュ国境警備隊のマンスルル・ハサン・カーン(Manzurul Hasan
Khan)司令官はAFPの取材に対し、「9月3日以降、地雷の爆発を12回聞いている。
少なくとも3人が死亡し、7人が負傷している」と述べた。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)の
ティラナ・ハッサン(Tirana Hassan)氏は「ロヒンギャ難民が移動する地点を、
ミャンマーの治安部隊が意図的に狙っている。すべての状況がそれを物語っている」
と話し、「組織的な迫害から逃れようとしている人々の悲惨な状況に、さらに苦し
みを与える残酷で無情なやり方だ」と批判した。

 ミャンマーのロヒンギャ約110万人は、長年にわたって差別され続け、国籍も認
められずにいる。バングラデシュもロヒンギャを両手を広げて迎え入れている訳で
はないが、一時的な避難場所の提供は行っている。

 負傷したアジズルさんを家族が国境に運んできたとき、バングラデシュの警備兵
は一家に国境を越えさせた。「大急ぎで近くにあった『国境なき医師団(MSF)』
施設に連れて行き、そしてこの病院を紹介された」とラシダさんは言う。搬送後、
手術が数回にわたって行われたが、アジズルさんの容体はあまり希望を持てる状態
ではない。看護師は「彼の身体の90%は崩壊状態にある」と述べ、先は長くないか
もしれないと語った。

 コックスバザールの慈善病院では、銃によるけが、やけど、地雷の被害で治療を
受けているロヒンギャの人々が、少なくとも20人はいる。アジズルさんに大けがを
負わせた地雷の爆発で負傷した人は他にも数人おり、そのうちの1人はラシダさん
の別の息子だ。

 アジズルさんが吹き飛ばされた現場近くで、やはり地雷とみられるものを踏み、
足を負傷したというサベクン・ナハール(Sabekun Nahar)さん(50)は、「また
歩けるようになるかどうか分からない」とAFPに述べた。取材中、彼女の目からは
あふれ出る涙が止まることはなかった。



■ロヒンギャの救済へ実行を
 https://www.nikkei.com/article/DGXKZO21228360W7A910C1EA1000/
 (日本経済新聞 2017年9月17日)

 ミャンマー西部に暮らす少数民族「ロヒンギャ」が、深刻な危機に直面している。
武装勢力と国軍が衝突したあおりで、30万を超える人たちが隣国バングラデシュへ
の避難を余儀なくされている。

 アウン・サン・スー・チー国家顧問ひきいるミャンマー政府は、ロヒンギャへの
迫害をすぐに止めなくてはならない。避難生活に苦しむ人たちへの支援を、国際社
会は迅速に実行すべきだ。

 危機の発端は8月下旬に武装勢力が治安施設を襲撃したことだ。掃討作戦に乗り
だした軍は、武装していないロヒンギャも攻撃した。国連のグテレス事務総長が軍
事行動を停止するようミャンマー政府に求めたのは、当然だ。

 問題の根が深いことには注意が必要だろう。ミャンマーで多数派の仏教徒たちの
間では、イスラム教徒のロヒンギャへの差別的な感情が際だって強い。

 国籍を与えないなど政府がロヒンギャを不当に扱ってきた背景には、そうした差
別意識が横たわる。ノーベル平和賞の受賞者でもあるスー・チー氏が、ロヒンギャ
保護をはっきり打ち出してこなかったのも、多数派の反発を恐れた面が大きいよう
だ。

 とはいえ、東南アジアで最も深刻といわれる人道危機に手をこまぬいていいわけ
はない。スー・チー氏はじめミャンマー政府は差別を打破する努力が求められる。

 国際テロ組織のアルカイダは最近、ロヒンギャ迫害を理由にミャンマーへの攻撃
を呼びかけた。テロの拡散を防ぐためにも、ミャンマー政府が和解と共存の道に踏
み出すよう、日本を含む国際社会は働きかけを強めるべきだ。

 今年の国連総会への出席を見送ったスー・チー氏は19日、首都ネピドーで演説す
る。迫害を終わらせるための、断固としたメッセージを期待したい。

 スー・チー氏が招いたアナン元国連事務総長をトップとする委員会は8月、ロヒ
ンギャに国籍を認める制度の導入などを勧告した。まずはこの勧告の実行である



■バングラデシュ、ロヒンギャの移動を制限 流入40万人超える
 http://www.afpbb.com/articles/-/3143233
 (AFP通信 2017年9月17日)

バングラデシュは16日、隣国ミャンマーから逃れてきたイスラム系少数民族ロヒン
ギャ(Rohingya)の国境地帯からの移動を禁止した。バングラデシュ南東部の国境
地帯に逃れてきたロヒンギャは40万人を超え、過密状態となっている。

 南東部コックスバザール(Cox's Bazar)県の状況は悪化の一途をたどっており、
ミャンマーのラカイン(Rakhine)州から逃れてきたロヒンギャの大半は絶望的な
状況で生活している。

 ミャンマー国境から数百キロ離れた3つの町でロヒンギャ数十人が当局に発見さ
れたことを受け、ロヒンギャが数千人規模で新たに移動してくることによって貧困
国バングラデシュの中央部が圧倒されてしまうのではないかという不安が募ってい
る。

 警察は政府が指定した国境地帯の難民キャンプおよび国境地帯からロヒンギャが
移動することを禁じる命令を出したと発表した。

 警察の報道官は声明で、「彼ら(ロヒンギャ)は祖国に帰国するまで指定された
難民キャンプに留まらなければならない」と述べ、ロヒンギャには友人や知人の家
で避難生活を送らないように、国民にはロヒンギャに家を貸さないように、バスや
トラックの運転手にはロヒンギャを乗せないように要請したと明らかにした。

 警察は主要な乗り継ぎ地点に検問所を設置し、ロヒンギャの国境地帯以外の場所
への移動を阻止している。

 国連(UN)は16日、過去1か月間にバングラデシュ入りしたロヒンギャの数は、
この24時間で1万8000人増え、40万9000人に達したと発表した。



■バングラデシュ、ロヒンギャの携帯電話使用を禁止
http://www.afpbb.com/articles/-/3144095?cx_position=2
 (AFP通信 2017年9月24日)

バングラデシュ当局は24日、治安への懸念を理由に、国内の携帯電話事業者に対し、
隣国ミャンマーから避難してきたイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)に携
帯電話サービスを販売することを23日から禁じたことを明らかにした。

 バングラデシュの4事業者に対しては、禁止令が施行されている間、この1か月に
バングラデシュに流入した約43万人のロヒンギャ難民の1人にでも携帯電話サービ
スを提供すれば罰金が科せられる。

 郵政通信情報技術省の幹部は24日、「しばらくの間、ロヒンギャたちはSIMカー
ドを買えない」とAFPに語った。

 国籍を持たないロヒンギャたちの通信手段を遮断することについて、同省幹部の
のタラナ ハリム(Tarana Halim)氏は、治安上の理由から正当化されると説明し
た。

 すでにバングラデシュでは、国内の武装グループの組織力を抑止する目的で、公
式な身分証明書を提示できない国民に対してSIMカードの販売を禁止している。



■ロヒンギャ問題 スー・チー国家顧問の演説全文
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170922/k10011152461000.html
 (NHK NEWS 9月22日)

ミャンマー西部で、治安部隊と武装勢力との戦闘によって40万人を超える少数派
のイスラム教徒、ロヒンギャの人たちが隣国バングラデシュに避難し、過酷な状況
に置かれています。人道的な懸念が高まっているにもかかわらず、ミャンマーの実
質的トップ、アウン・サン・スー・チー国家顧問の対応が消極的だとして、国際的
な批判が高まっています。
こうした中、9月19日、スー・チー氏がこの問題が深刻化して以降、初めて演説
を行いました。スー・チー氏は何を語ったのか、発言の全文を掲載します。
課題の解決には時間が必要
去年、ミャンマー政府の代表として、私が国連総会で演説を行った時、私は国連憲
章の目的と理念に対する信頼を改めて明言しました。私たちは、国際社会のメンバ
ーに、私たちの国が直面している課題と、それらを克服するための施策をお伝えし
たいと思います。

ことし、私はニューヨークの国連総会には出席できないため、この外交説明会を開
催しました。2015年の選挙で国民が国民民主連盟に投票した結果、私たちには
3つの仕事を遂行する責任が任されました。それは民主主義への移行、平和と安定、
そして発展です。これらの課題のいずれも、簡単でも単純でもありません。

私たちは今、生まれたばかりの不完全な民主主義を育てている過程にあります。平
和と安定は、1948年の私たちの独立の日に始まったその後、70年近い国内紛
争の後で、私たちが実現しなければならないものでした。そして発展は、最初の2
つの課題の中で実現されなければなりません。民主的価値観を育て、平和と安定を
確立し、すべての国民に公平であると認識されるような持続可能な発展を実現する
必要があります。

皆さんもご存知のとおり、ミャンマーは複雑な国です。その複雑性は、「これらの
すべての課題をできるだけ短期間に克服することを期待されている」という事実に
よって、さらにその度合を増します。今日、私たちの政府は発足してまだ18か月
もたっていないのです。

18か月というのは、すべての課題に対処し解決するには短すぎる時間です。だか
らと言って、私たちが課題を克服する準備ができていないというわけではありませ
ん。国際社会のすべての友人に対して、私たちが民主主義への移行、平和と安定、
そして発展を実現するために、これまで行ってきたことをお伝えします。
ラカイン州で起きていること
私は、世界の注目がラカイン州に集まっていることを認識しています。去年、私が
国連総会で申し上げたように、国際社会の責任ある一員として、ミャンマーは国際
社会の厳しい監視をおそれたりしません。私たちは、その州のすべてのコミュニテ
ィーの平和、安定、発展につながるような持続可能な解決策に全力を傾けています。

去年、私は、その目的を果たすための計画の概要を説明しました。不幸なことに、
国連総会の演説から18日後の10月9日、武装したイスラム教グループに3つの
警察の派出所が攻撃されました。10月11日と11月12日にはさらなる攻撃が
ありました。これらの衝突によって、死者、負傷者が出て、村が焼かれ、影響を受
けた地域で避難民が出ました。多くのイスラム教徒がバングラデシュに逃れました。

それ以来、ミャンマー政府は、平和と安定を取り戻し、イスラム教徒とラカイン人
の(注:ラカイン州にもともと住む仏教徒のこと)コミュニティーの間の調和を促
進するためにあらゆる努力を行ってきました。すでに、この暴動が起きる前、ラカ
イン州での法の統治と発展のための中央委員会を設立し、元国連事務総長のコフィ・
アナン氏を招へいしていました。長期に渡る問題の解決を支援する委員会を率いて
もらうためです。

しかし、これらの努力にもかかわらず、紛争を防ぐことはできませんでした。去年、
発展や平和と調和の確立のプログラムを続け、数か月間は平和で静かにみえました
が、8月25日、タウンダザー村の30の警察の派出所と連隊本部が武装グループ
に攻撃されました。これらの攻撃の結果、政府は、テロ対策法第6条第5項に従っ
て、テロを起こしたアラカン・ロヒンギャ救世軍とその支持者をテロ集団と認定し
ました。ラカイン州の状況について世界は多くの懸念を持っています。

ミャンマー政府は、誰かのせいにしたり、責任を放棄したりするつもりはありませ
ん。私たちは、あらゆる人権侵害や不法な暴力を非難します。私たちは、州全体で
の平和、安定、法の統治を取り戻すことに全力を傾けています。治安部隊は、作戦
を遂行する上で行動規範を厳密に順守し、十分な自制をし、無実の市民を傷つけな
いように十分な対策を取るよう指示を受けています。人権侵害や、安定と調和を傷
つけ法の統治を損なう行為は、厳格な司法の基準に従って対処されます。

私たちは、紛争に巻き込まれた人々の苦しみに深く同情します。家から逃げなけれ
ばならなかった人はたくさんいます。それはイスラム教徒やラカイン州の住民だけ
ではありません。ダイネ、ムロー、テ、メラマジ、そしてヒンドゥーなどの少数民
族も同じです。彼らの存在を、世界のほとんどの人々は認識していません。8月2
7日以降、社会福祉・救済復興相が率いるチームによって、避難した人々に人道支
援が提供されています。このプログラムの詳細は、すべてのご来賓の皆様にいずれ
公開されます。
諮問委員会の勧告を実行する決意
ラカイン州諮問委員会の最終報告が、コフィ・アナン氏によって行われました。こ
れは8月25日に公開されました。最後の攻撃が行われた、まさにその日です。私
たちは、委員会の勧告を実行すると固く決心しています。この状況を短期間で迅速
に改善するよう求めるこの勧告は、優先課題として扱われます。他の勧告について
は、私たちは時間をかける必要があります。

しかし、ラカイン州の平和、調和、発展にとって利益となるすべての勧告は、でき
るたけ短期間に実行されます。政府は、状況を正常な状態に復旧するために尽力し
ています。9月5日以降、武力衝突は起きておらず、掃討作戦は行われていません。
それでも多数のイスラム教徒が国境を超えてバングラデシュに逃れていることを聞
き、懸念しています。

私たちは、なぜ大勢の人が出国しているのか、突き止めたいと考えています。出国
した人たちと国にとどまっている人たちに話を聞きたいと考えています。ラカイン
州の大半の人は出国に加わっていないことは、ほとんど知られていないと思います。
イスラム教徒の村の半分以上は無傷で、攻撃が起きる前と同じ状況です。私たちは
理由を知りたいのです。そのための取り組みが必要です。

問題に目を向けるだけでなく、問題がない地域にも目を向けるのです。なぜ一部の
地域ではこの問題を回避できているのか?このために、私たちは、外交コミュニテ
ィーのメンバーを招き、ラカイン州に無事溶け込んだイスラム教徒からより多くの
ことを知るための取り組みに加わってもらいたいと考えています。私たちの取り組
みに加わりたい方々は、ぜひご連絡ください。皆さんがその地域を訪問し、ご自身
で彼らに「なぜ逃亡していないのか」「周辺が騒乱状態にある時に、なぜ村にとど
まることを選んだのか」と尋ねることができるよう、私たちが手配します。
ラカイン州で行われている発展プログラム
国民の恐怖を和らげるための私たちの取り組み以外にも、私たちはラカイン州で社
会経済発展プログラムを続けていることを申し上げたいと思います。そのいくつか
をご紹介しましょう。

「2017年-2021年ラカイン州社会経済発展計画」は、さまざまな部門にお
ける地域発展を促進するために作成されました。官民協力によって、地元の人々の
ために数百の新規雇用が創出されました。新たな雇用や企業を呼び込むための経済
特区が現在、審査されているところです。

インフラ開発では、ボートでしか行くことができなかった遠隔地を結ぶ幹線道路や
橋が建設され、電化が拡大しました。ラカイン州に住むすべての人々は、教育や医
療サービスを差別なく受けることができます。医療サービスは、到達するのが困難
な地域を含めた州全体で、新たな移動診療所によって提供されています。政府はラ
カイン州の300の学校を改築しました。

職業訓練と技術訓練のプログラムが開始されています。イスラム教徒の学生も、差
別なく高等教育を受けることができます。人道支援は、8月25日の攻撃の前に影
響を受けた地域の90%もしくは95%のコミュニティーに届いています。私たち
は、再び人道支援の取り組みを始めています。

私たちは、それがその地域のすべての人々を助けられることを願っています。国内
避難民に関しては、3つのキャンプが閉鎖されました。そして、新たな家の建築を
含む、必要な支援が提供されています。その地域には他にもやるべきことがありま
す。私たちは課題を認識しており、それに対処しています。国籍については、国籍
認定のプロセスを推し進めるための具体的なスケジュールを伴う戦略が策定されま
した。

しかし、これはすべてのコミュニティーの協力を必要とするプロセスです。一部の
イスラム教徒のコミュニティーでは、指導者が認定プロセスに参加しないことを決
めました。私たちは、すべての友人が、プロセスに参加するよう彼らを説得してく
れればありがたいと思います。なぜなら、彼らにはそれによって失うものは何もな
いからです。

私たちは、異なる宗教の信徒が混在する集団を関与させることにより、コミュニテ
ィー間の宗教的調和を促進しようと努めています。道徳、市民的理念、平和、安定
に主眼を置いた新たなカリキュラムが学校で導入される予定です。特にすべてのコ
ミュニティーに対する医療、国籍認定のプロセス、そして教育に関する情報を提供
するための新たなFMラジオのチャンネルが設立されました。放送はラカイン語、
ベンガル語、ミャンマー語で行われます。警察と治安部隊の訓練と能力開発は、E
Uと国連機関の協力を得て行われています。

2016年12月以降、国内外のメディアは、ラカイン州の以前は立入禁止だった
地域への立ち入りを許可されています。8月25日の暴動の後も、私たちは、いく
つかのメディアが影響を受けた地域を訪れるための手配を行ないました。

ミャンマー政府は、バングラデシュとの関係を強化するために懸命に努力していま
す。外務大臣と国家安全保障担当補佐官がことしの1月と7月にバングラデシュを
訪問しました。私たちは、バングラデシュの内務大臣の訪問も期待していましたが、
それは延期となりました。大臣にほかの予定があったためだと思います。しかし、
私たちは大臣が来られるならいつでも歓迎します。私たちは、今ともに導入しよう
としている国境警備に関する取り決めを推し進められると期待しています。
難民の帰還のための認定プロセスを始める用意
ミャンマーからバングラデシュに逃れた難民の国内帰還を求める声があります。私
たちは、いつでも認定プロセスを始める用意があります。認定プロセスは1993
年にすでに確立されていたものです。両国が合意した原則に基づき、私たちはミャ
ンマーへの帰国を願う難民の認定を続けることができます。

私たちは、その当時、合意された基準を順守します。国家安全保障担当補佐官がバ
ングラデシュに対して保証したことを、私も今ここで認めます。それは、私たちは
いつでも認定プロセスを開始する準備があり、この国からの難民として認定された
人々は何の問題もなく受け入れられ、身の安全を保証され、人道支援を受けること
ができる、ということです。

世界中の多くの友人が、村が燃やされたり、大量の難民が国外に出ているという報
道について懸念しています。先ほど申し上げたように、9月5日以降、紛争は起き
ておらず、掃討作戦は行われていません。私たちは、本当の問題が何なのかを突き
止めたいと考えています。これまで数々の訴えが申し立てられ、それに反論する形
での訴えがありましたが、私たちはそれらのすべてに耳を傾ける必要があります。
私たちは行動を起こす前に、それらの訴えが確固たる証拠に基づいていることを確
かめる必要があります。

この国の法律を破り人権を侵害するすべての人々に対して、その宗教、人種、政治
的立場を問わず、行動が取られます。この国において、私たちが人権に関して甘か
ったことは一度もありません。私たちの政府は、人権保護に注力する組織として発
足しました。それは、特定のコミュニティーの権利ではなく、この国の国境の内側
のすべての人間の権利の保護です。
問題はラカイン州だけではない
私たちはラカイン州の問題に注目していますが、この機会に皆さんに改めて知って
ほしいことがあります。この国の西部で起きているのと同じぐらい、私たちにとっ
て深刻な問題があるのです。私たちは、国内紛争を終わらせて平和を築こうと努力
してきました。

それは永続し、持続可能で、公平な発展を伴う平和でなければなりません。私たち
は、皆さんをこの和平プロセスに参加するようお招きします。私たちと一緒に、何
年もこの国を悩ませてきた問題に対する解決策を見つけてください。去年の8月に
開始した和平プロセスは続いていますが、多くの問題を抱えています。

それは驚くべきことではありません。なぜなら、世界中のどこでも、和平プロセス
においては問題に直面するからです。時にはプロセスが行き詰まったり、完全に止
まってしまったり、すべてが崩壊しているように見えることもあります。しかし最
終的には、みな結束して前進するのです。なぜなら、私たちはみな戦争よりも平和
を、紛争よりも調和を望んでいるからです。

これはすべての人々が共有している願望です。平和、安定、調和、そして進歩。こ
れは大それた目標ではありませんが困難なものです。この国の病気を治す努力を続
ける中で、私たちの願いと問題を理解し、それに共感してくれる友人の皆さんに、
私たちの取り組みに加わるようお願いします。

私たちは、平和と安定、そして調和に向けた新たな道を見つけるために、皆みさん
に、前向きで建設的な方法で加わってほしいと考えています。被害を受けた小さな
地域ではなく、国全体として考えてほしいのです。全体として取り組んで初めて、
進歩を遂げることができます。健康な人間にたとえるならば、人はあらゆる部分に
おいて健康でなければなりません。

一つの特定の病気に注力するためだけに全体の健康を無視することはできません。
私たちは、民主主義国家としては若く、多くの問題を抱えています。しかし、すべ
ての問題に同時に対処しなければなりません。皆さんには、新たな解決策を、私た
ちと一緒に見つけてほしいと思います。私たちが私たちの問題を迅速に解決できな
ければ、それは私たちが決してそれらを解決できないことを意味するわけではあり
ませんが、人々の苦しみが長引くことになります。

私たちは、できるだけ早く人々の苦しみに終止符を打ちたいのです。私たちはこの
国を、その国境の内側ですべての人が安全に、豊かに暮らせる国にしたいと考えて
います。これは難しい注文です。これは大きな野心です。しかし、実現不可能なも
のではありません。

私たち全員が結束する必要があります。私は、本当の責任は私たち、つまりこの国
の人々にあることを認めます。政府からこの国の一人一人に至るまで、ミャンマー
のすべての人々には、この国の発展と進歩に対する責任があります。
国際社会の協力に期待
私たちは、ミャンマーの友好国に対して、ミャンマーの大いなる取り組みに参加し
てほしいと思っています。この取り組みは、間違いなく、大きな望みのあるもので
す。また、数多くの問題に苦悩している国を、健全で、力強く、そして、将来を楽
しみに待つことができる国へと構築するための決意なのです。私が、外交の分野で
会談をするとき、会談の内容がミャンマーのごく一部の問題にのみ集中せざるをえ
ないのは、悲しいことです。

ミャンマーで起きている問題は、国際社会とともに取り組むことで解決できると考
えています。それが、ミャンマーの取り組みに参加したいと願っている、皆さんに
対して門戸を開いている理由です。皆さんをお招きします。ぜひ、私たちの取り組
みに参加して頂き、私たちと話し合い、さらに、私たちとともに紛争地域へと足を
運んで頂きたいと思っています。

皆さんの安全を保証します。なぜならば、私たちは皆さんに何らかの問題が発生す
るなど、新たな問題が起きることを望んでいないからです。ですから、皆さんに、
私たちの取り組みに参加して頂き、ご自分の目で何が起きているのかを見たうえで
「これらの問題を解決するために、私たちに何ができるだろうか」と考えて頂きた
いと思います。

さらに、皆さんには平穏な地域について注意深く学んで頂きたいと思います。どの
ようにして平和を維持しているのか。どう調和を保っているのか。私たちは、その
答えを必要としています。単に苦しみを取り除くことだけではなく、よい面を促進
させることです。私たちは、悪いことを排除して、よい面を促進させなければなり
ません。

そして、私たちは、それを皆さんと一緒に行いたいのです。皆さまはご存知だと思
いますが、社会福祉・救済復興相がミャンマーの人道支援計画を行っています。国
際赤十字が、この活動に協力してくれていることを大変喜んでいます。ミャンマー
の取り組みに参加して、援助したいという方を歓迎します。すでに、多くの方から、
現金や物品という形で寛大な寄付を頂いています。ラカイン州の平和と調和の促進
のためにくださったすべての物が、確実にすべてのコミュニティーにとって最良の
方法で使われるようにします。

私たちは、ミャンマーを宗教的な信条、民族、政治的イデオロギーによって分断さ
れた国にしたくはありません。私たちは、みな多様なアイデンティティーを持つ権
利を有しています。そして、私たちは、自分が正しいと思う生き方で人生を送る権
利があります。

しかし、私たちは、ともに力を合わせなければなりません。私たちは、1つの同じ
国に属しているからです。そして、1つの国に属すると同時に、この世界に属して
いるのです。私たちが、さまざまな国の集合体である国際連合の役割を重要だと考
えるのは、この理由からです。

国際連合は、平和と調和を促進するために、そして、この世界が第二次世界大戦の
ときに、私たちが経験した苦しみに未来永ごう決して陥ることがないようにするた
めに、組織されました。戦争に終止符を打つこと、そして、紛争に終止符を打つこ
とを目的として、国際連合は設立されたのです。
紛争の解決に向けて
私はこう考えたいと思います。きょう、私たちがここで行っていることは、ミャン
マー国内で起きているすべての紛争、コミュニティーの間の紛争、民族の間の紛争、
そして、私たちがどのように前に進むべきかという意見の対立から起きている紛争
など、すべての紛争を終わらせるための、誠実で、力強く、そして、効果的な運動
の始まりかもしれません。

しかし、意見の違いによる紛争は、話し合いや対話を通して、そして、偏見のない
心を持つことで、解決できます。寛大さと勇気を持つことで、私たちはほかの人の
見解を理解することができるようになるのです。

さらに、寛大さと勇気は、ほかの人が私たちの見解を理解できるようになるもので
もあると言いたいと思います。私たちの世界は、協力によってのみ前に進むことが
できます。言葉であろうが、武器を使おうが、また、感情に任せようが、お互いに
攻撃し合うことでは、私たちが助けられることはありません。

憎しみと恐怖心は、世界の苦悩の元です。すべての紛争が、憎しみや恐怖心から起
きています。憎しみと恐怖心を取り除くことによってのみ、ミャンマーや世界から
紛争をなくすことができるでしょう。ご存知のように、数多くの主張があります。
私は、そのどれにも関わったことはありません。私の目標は、紛争の原因が考え方
からであろうと、武器によるものからであろうと、紛争を促進したり、奨励したり
することではなく、調和と理解を促進するために努力することにあるからです。

私は、皆さんが私たちを理解し、私たちの取り組みに参加してくれることを願って
います。先ほど述べましたように、今回の演説は、外交的な会見です。これは、ミ
ャンマーと外交関係を結んでいるコミュニティーに、そして、世界中の友好国の人
たちに、ミャンマーがやろうとしていることに関わりを持ち続けていただくことを
目的としました。

しかし、ある意味で、今回は、単に外交的な会見以上のものでもあります。これは、
ミャンマーがよい国になることを望んでいる、すべての方々に対する友好的な訴え
です。この国のためだけではなく、世界中の国のために、皆さんが望ましいと賛同
してくれると私が考える目標を達成するために、援助してくださいという友好的な
訴えなのです。ありがとうございました。

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