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伊駄天本店が無くなる…。
まさに寝耳に水の情報だった。
嘘だったらいいのにとも思った。
真偽を確かめるべくお店へと車を走らせる。
この日は影武者の日。
同じお店で暖簾を変えて営業をしている。
あ、いつもと変わらないじゃないか。
もしかしたら、と思いながらお店へ入ると、いつものご主人の笑顔。
ホッと安心しながら食券を買い、席に着く。
食券を渡すと、何か雰囲気が違うことに気づいたんだ。
そう、今まで提供されていた「四季彩菜麺」シリーズの写真が無くなっている。
お店の中が何となくシンプルになっている。
おそるおそるこちらを見てみると…。
え、嘘だろう。
何度見返しても7月29日で終了とある。
「一旦」、「移転を視野に」という言葉もあるがぼくの目には映らない。
この場所こそが伊駄天の場所。
そう信じていた。
(ついにこの日が来たのか…)
思えば7年前にこの店が誕生。
そのころが、僕が食べ歩きをまとめるためにブログを始めた頃になるのかな。
当時、いろいろなブログでこのお店の名前が挙がっていて興味を持っていた。
正直、藤枝は朝ラー文化、「志太ラー」の地域と思っていたので、このお店の誕生は意外な感じを覚えた。
百聞は一見にしかず、ということで行ってみた。
初めて行ったときの記事を見ると「能書き系」などとも書いてある。
今思えば、藤枝にこんなお店ができたことが悔しかったんだろうなと思う。
それから足繁く通う日々が続いた。
店主始め、いろいろな方とも知り合いになれた。
無化調、イタリアンとの融合、限定麺、穂先メンマ、裏のれん…。
時代の先端を行っていた。
まさに韋駄天のごとく駆け抜けていた。
目の前ではいつもと変わらない店主。
たわいもない話をするが、お店の終了のことは語らない。
自分も敢えて聞かない。
いや聞きたくないのかもしれない。
これが伊駄天影武者で最後になるであろうラーメン。
旨辛豚骨 とん辛肉そば 840円
一つの個性というか、この丼に映る顔(表情)を見るだけで伊駄天らしさを感じる。
スープを一口。
「旨い。」
自家製ラー油の香ばしさがありながら、油の強さを感じない。
その後からグイグイと節系豚骨の旨みが押し寄せる。
辛さはあるものの、口当たりは非常にマイルド。
このバランスはすごい。
肉そばとあるようにチャーシューがたっぷり。
その脇をねぎ、水菜、糸唐辛子、味玉、穂先メンマ、海苔が固める。
このチャーシュー、日に日に進化していき、すごく美味しい独特なチャーシューだった。
平打ちの自家製麺がよく合っている。
元々使っていた麺も凄く美味しいものであったが、自家製に切り替えてからバランスが取りやすくなったと感じている。
最後になるかもしれないから、味わって食べたい。
でも、右手が許さない。
グイグイと食べ進んでしまう。
気がついたら丼が空っぽに。
何度、こんなことを繰り返しただろう。
このお店に来ると、いつも食べるスピードが速くなる気がする。
言いたいことはたくさんあるが、心の中に閉まっておく。
「ごちそうさま。」と言うと
「いつも、ありがとうございます。」と反される。
「お客様、にっこりです。」
いつもと変わらない情景が繰り返される。
車を走らせ、家路を急ぐ。
雨が降り出したようだ。
ワイパーを動かす。
でも、いくら動かしても目の前の曇りが取れない。
そのとき僕は気がついたんだ。
(あ~、これは涙なんだ。)
ありがとう伊駄天、そして伊駄天影武者。
このお店のことは、ずっと忘れない…。
思い入れがあったんですね。
思い出がたくさんあります。
残念でなりません