三歳児の息子が、朝、突然言った。
「M先生くまに食べられちゃったの」
んなわきゃないだろ!
七歳児の娘が言った
「お父さんとお母さん離婚したら、お父さんの方に行く」
………ありがとう、娘よ。
「ありがとう」と娘に言うと
「どうもいたしまして」
………ん?
息子に言うと
「どういたまして」
………ふむ……
三歳児のころの娘は「おさかな」を「おかさな」と言い、現在の息子は「おくすり」を「おすくり」と言う。
しかし、子どもの妄言として思い出されるのは、もう十年近く前、浅岸にスーパーMが出来たばかりのころ、レジ付近で言われた言葉だ。
俺がレジに並ぶと、前に、小学校2年生くらいと思われる少女がいた。
その子は、何の前触れもなく振り返ると、屈託のない笑顔で俺に言い放った。
「地獄に堕ちたことあるの?」
「えぇ? え? な、な、な、ないよ!」
とことん狼狽えました。