土曜日にカミさんとともに散歩しようと思った。ご近所散歩でもいいのだが、前の日、金曜日の現場が過酷だったもので、帰りには温泉に入っておきたい。昨日の段階で恐らく翌日に筋肉痛が来るだろうと予想していたので、できる限りケアしたいと思ったのだ。
朝目覚めてみると、右肩に筋肉痛があるものの、他はそんなでもない。ちょっと安心したが、油断してはいけない。翌日ではなく、翌々日に来るたりするのがお年寄りである。お年寄りってほどじゃない、と慰めてくれる方もあろうが、57歳は明治で言えば老人である。かつて明治三陸大津波の年の盛岡を舞台に芝居を作ったとき、県立図書館で、当時の新聞のマイクロフィルムを読んでいたのだが「52歳老婆」という記事があった。
とまあそんなわけで筋肉痛に脅えていたのは、1日鎌で伐採をしていたからである。
温泉を鶯宿方面と見当を付け、そのあたりでお散歩コースになりそうなところを探してみる。まあ御所湖近辺が定番なのだが、定番なので、何度も行っている。新規開拓を目指し、ネットで検索すると、七ツ森森林公園というのがあるではないか! グーグルマップで検索すると、七ツ森小学校の近くである。
散歩、昼食、温泉ということで、七ツ森森林公園を目指すことにする。カーナビに入力してみるものの、該当はナシ。全く使い物にならないナビである。仕方ないので近くの七ツ森小学校を目指すことにする。流石に小学校はナビに入っていた。
七ツ森小学校は、昨年度までNくんが勤務していた学校である。到着してみると、運動会をやっていた。ああ、運動会もちゃんと出来るようになったんだなぁと感慨深い。で、近所まで来れば案内板くらいあるだろうと思っていたが、さにあらず。森林公園への案内は何もない。
仕方ないので助手席のカミさんがグーグルマップで検索すると、七ツ森小学校をぐるっと迂回して戻るような感じで案内された。そして山の方に導かれていく。すると何やら看板が現れた。
「雫石町火葬場」
である。なるほど、火葬場目指していけばいいのね。と、理解して車を走らせていくと、相変わらず森林公園への案内は皆無。結局、到着したのは墓地である。そして火葬場である。うーむ。森林公園とは火葬場と墓地のことだったのだろうか?
とまあそんな感じで墓地に連れて行かれたのである。もう一度グーグルマップを確認すると、大体そこら辺が森林公園のようである。ふと見ると、砂利道の林道のようなものがある。ここかも知れない、と見当を付けて、行ってみた。まあ、基本は散歩なので、何となく歩ける道があれば良い。
今年はクマの被害が早くも警報レベルということで、ラジコを流しながら、散歩してみる。
砂利道の林道を緩やかに上がっていくと、向こうの方から、ジャージ姿の若者が地図らしきものを持って、キョロキョロしながら小走りにやって来た。
「オリエンテーリング?」
と聞くと
「はい」
とのこと。オリエンテーリングというと、小学校の頃に宿泊学習で、つくば青少年の家の近くでやったことが思い出される。まあそういう、ポストみたいなところをめぐるヤツなのか、そういうヤツじゃないのかはわからないが、とにかく、ときどきオリエンテーリングの学生たちとすれ違う。んじゃまあ、ラジオ付けてなくてもいいかな、とラジコを消してさらに上っていく。
林道の脇に軽自動車を停めて佇んでいるおじさんがいた。さっきの学生もそうなんだけど、最近こういうところで知らない人に声をかけることに躊躇しなくなってきた。年輪というヤツであろう。
「山菜ですか?」
と聞くと
「いや、鳥見にきたんだけど、オリエンテーリングでめちゃくちゃになっちゃった」
と、残念そうなおじさん。それ以上は深入りせず
「ああ、鳥・・・」
とだけ口に出してそのまま散歩を進めた。
森の中なので、直射日光が当たらない。散歩するには快適な道である。しかし森林公園はどこなんだ? それともここ全体が森林公園なのか? しばらく行くと、標識らしきものが出てくる、ということは、やはりここら辺が森林公園なわけだ。大体普通は広場とか、なんか施設があるものなんだが・・・。
と思いながら歩いて行くと、トイレがあった。ちょうどトイレに行きたいと思っていたところだったので助かった。というわけで施設らしいものはこのトイレくらいだった。さらに奥に道はつながっているものの、散歩の具合としてはちょうど良かったので、そこで折り返し、時折すれ違う学生オリエンテーリンガーにあいさつしながら墓地の駐車場まで戻る。
途中、どのくらいの範囲でやっているのか聞いてみた。ほぼ森林公園全体を使っているみたいなのだが、その子は初心者で、先輩たちは倍くらい走っているという。しかも部活だという。
部活かぁ。オリエンテーリング部だな。天気が良くて、季節が良ければ、なかなかさわやかな部活である。
トンボが出てきたり、ハルゼミやカッコウ、ウグイスの声を聞いたりしながらの散歩はなかなかオツである。先ほど話しかけた鳥見のおじさんはいなくなっていた。そりゃそうだよね。
お昼は「麺やおもり」で、ラー油鳥そばを食べた。隣に来た男女の二人連れが、面白かった。声が大きいので、聞いてるわけでもないんだけど、聞こえてくる。またその情報量が、なんというか、いろいろわかっちゃった。
どうやら医療関係者の先輩後輩で、女性が先輩のようである。女性の出身は東京で、父親は神戸、母親は熊本の出身。父親は関西弁は使わないらしく、母親は怒ると熊本弁になるらしい。一時期沖縄の医療機関にいたこともあるようで、病院の食堂メニューに、ソーキそばとか、スパムおにぎりみたいなものがあるんだけど、地元の人は飽きちゃってるから頼まない、などと言っていた。
男性の方は関西出身で、たこ焼き器は家庭にあるという。患者さんとの対応は、看護師さんのを見習って、医師のは見習わない方がいいとアドバイスされていた。
とまあそんな感じで、いろいろ面白い昼食だった。
温泉は赤い風車で、岩盤浴もすることにした。久しぶりの岩盤浴は、なかなか良いものであった。充実の休日。