二見浦の朝は早い。朝5時に衣裳を着て、ロビーに集合、徒歩で撮影ポイントに向かう。海岸の松並木を賢治と政次郎2人で歩く場面だ。まだ星の瞬く夜である。うっすらと水平線に朝の気配はあるが、気分はまだ夜。そんな中なのだが、犬を連れて散歩の人は結構通るし、夫婦岩を目指す車も頻繁に通りかかる。そういうものが映り込まないカメラ位置を決めるのに結構手間取る。一度決めてもよくよく見るとライトが映り込んでいたりとか、そういうことがままある。
2人が歩く後ろ姿を何度かテストと本番を撮って、夫婦岩に移動。
うっすらと曇っていて、6時5分くらいの日の出は見られなかった。そんな早朝だというのに参拝客はこんなにいる。
夫婦岩を見る2人の後ろ姿などを撮影し、二見浦は終了。ここからは大型タクシーで移動となった。京都の業者をお願いしているようだ。やはりそういうのに慣れているのは京都の業者ってことかな?
移動を始めて最初の信号で停車した途端、後ろの席から「しまった! カギ持って来ちゃった!」という声がする。最近のホテルはカードキーでそのまま持って帰っても問題ないところが多いが、泊まった岩戸館は、古い旅館でカギもあるし、キーホルダーもプラスチックの長い直方体がついている。すぐそばだったので、宿まで戻ることになった。その停車していた信号のほとりにあった看板が
もう何が何だか。面白いったらありゃしない。
高速道路移動で次の撮影場所へ。途中サービスエリアで朝食。折角なので伊勢うどんを食す。太めのもちもち麺にやや甘めのタレを絡めて食べる混ぜうどんだ。衣裳を着替えるのも面倒というか時間もないので、着流し姿である。案外と人目を引かないのはありがたい。
次の撮影は伊勢神宮。宇治橋を歩くシーンの撮影。鳥居の中にカメラは入っちゃダメだってことなそうで、人だけ鳥居の内側に入ってカメラは外から狙う。
ここも7時台の早朝だというのに、参拝客がひっきりなしである。その隙間を縫って撮影するのはなかなか時間がかかる。鳥居の外から撮影し、下流の中州から遠景を狙う。御年86のK監督は、撮影前「任せるよ」と言っていたらしいのだが、現場に来ると誰よりも早く歩いてカメラ位置を検討している。まったくもって元気なお年寄りだ。
伊勢神宮での撮影も無事終え、次なる目的地は比叡山。当時の階段がほぼそのままの形で残っているらしい。
その階段の隣に、学校らしき建物がある。吹奏楽の音が聞こえ、生徒も通りかかるので、どうやら高校らしい。そういえば甲子園に出たりする、強豪校の「比叡山高校」ってあったな、などと思ってグーグルマップで調べてみたら、ビンゴ。ホントに比叡山にあるのね。
次の撮影地は延暦寺の境内。比叡山高校の近くからはケーブルカーは直行であるものの、道路を通る場合はかなり迂回していかなければならない。途中、琵琶湖の見える夢見が丘公園で昼食となった。
あんなでっかい琵琶湖のすぐそばに、こんなに急峻な山があるとは想像していなかった。それが比叡山。
夢見が丘から見える風景は、夢見るほどでもないけどとても良い景色。
撮影初日のお昼までで、こんなに長くなってしまった。午後の様子は次に続く。