オカンとワンコ

過去と他人は変えられない 自分と未来は変えられる

「あいたくてききたくて旅にでる」の続き

2024年07月29日 22時50分54秒 | 読書
強く心に残ったエピソード(?)の抜粋です。

家庭にも問題を抱えている不登校の生徒は、
カウンセラーが学校に来る日だけはカウンセリングルームに来るという。
ある日「いちど教室の様子をみたらどお?」とすすめられて彼は教室に行ったそうだが、
すぐに青い顔をして戻ってきた。
教室にいる人がみな人間の顔をしていない、サルやゲジゲジに見えて自分の頭がおかしくなったのかとひどく動揺している。
彼をなんとか落ち着かせようと、肩をトントンしながら「オオカミのまつ毛」を話してやった。
そして、あなたも「オオカミのまつ毛」を持っているのかもねと言った。
それでかどうか落ち着いた彼は、その後もたびたび「オオカミのまつ毛」を聞かせてくれとせがんだという。



民話「オオカミのまつ毛」のあらすじ
ケチな婆との暮らしにつかれ、この世から消えてしまいたい、オオカミに喰われてしまおうとした爺。
どの山のオオカミも、正直な爺だから喰らわれんと断る。
なぜ食われてしまいたいかと訳を話すとオオカミは、
代わりにまつ毛をやるから、それをかざして人を見てみろと一本引き抜いて爺にくれた。
家に帰って言われたとおりにしたら、婆も村の人も立派な袈裟を着た和尚さんも学校の先生もみな身体は人間だけど、頭はメンドリやらサルやらで、まともに人間なのは一人もいなかった。
すっかり嫌気がさした爺は村を捨て山にこもってしまった。



不登校の生徒は卒業と同時に他県へ越したので、その後の消息はわからないとのこと。