「あいたくてききたくて旅にでる」小野和子著
Eテレ「君だけのガイドブック」で取り上げられ、興味を持ったので借りてきた本。
オカンが持っていた民話のイメージが大きく変わった。
たいていは子どものいない爺と婆が主人公ということの背景。
なぜ爺は芝刈りに行くのか。
鉄砲撃ちという生業の背景など。
また語り手の事情や、新しい「民話」の成り立ち。
とてもとても、とても、面白く読みました。
そして「採訪」の地が宮城県中心だったのも惹かれた。
はじめに
第一部
第一話 オンンコ二皿ください
第二話 石のようになった人
第三話 わたしの「友だち」
第四話 かのさんのカロ
第五話 はるさんのクロカゲ
第六話 ひと山越えても鹿おらん
第七話 エゾと呼ばれた人たち
第八話 みはるさんの『冬の夜ばなし』
第二部
第九話 寂寞というこ
第十話 「捨てる」ということ
第十一話 母なるもの、子なるもの
第十二話 「現代の民話」について
第十三話 みんなみんな、ほんとうのこと
第十四話 一粒の豆を握る・一粒の豆を見失う
第十五話 「ふしぎ」の根をさがす
第十六話 山の民について─猿鉄砲のむかし
第十七話 浜で出会った人たち
最終話にかえて ゆめのゆめのサーカス
寄稿
聞くことが声をつくる
濱口竜介
ものがたり灯るところ
瀬尾夏美
幼き、死者の声
志賀理江子
(以下は紹介文より)
民話を語ってくださる方を訪ねて聞くという営みを、民話の「採集」や「採話」と言ったりする場合があります。
ただ、わたしは、「語ってくださった方」と「語ってもらった民話」は、切り離せないものと考えています。
だから、「採集」や「採話」という言葉は使いません。
そのかわりに「採訪」と言っています。
この「採訪」という言葉には、「《聞く》ということは、全身で語ってくださる方のもとへ《訪う(おとなう)》こと」という思いが込められています。
そこで語ってくださる方と聞く者が、ときには火花を散らしながら、もう一つの物語の世界へ入ってゆくことにより、深くつながってゆくのです。
小野和子
著者略歴
小野和子 民話採訪者
1934年岐阜県生まれ、宮城県在住。
1969年から、宮城県を中心 に東北の村々へ民話を求めて訪ね歩く民話採訪を一人で始める。
1975年に「みやぎ民話の会」を設立し、現在は同会顧問。
民話に関するおもな編著書に『長者原老嫗夜話』(1992年)、『みちのく民話まんだら一民話のなかの女たち』 (2007年)など。
みやぎ民話の会叢書第一集から第十五集までを監修。
現在も民話採訪の旅を続けている。
編者略歴
清水チナツ
インディペンデント・キュレーター・PUMPQUAKES
1983年福岡県生まれ、宮城県在住。
2011年から2018年までせ んだいメディアテーク学芸員として、「みやぎ民話の会」との協働プロジェクトなどを担当。
2019年に志賀理江子・長崎由幹とともに 仙台でPUMPQUAKES設立。
おもな企画展に「畠山直哉まっぷたつの風景」(2016年)、共編書に『Lieko Shiga | Blind Date | Exhi- bition』(2018年)など。
本書再話作品一覧 再話小野和子
オシンコウ二皿ください
気と木
子は清水
カロの話
クロカゲの話
ひと山越えても鹿おらん
竹駒神社の居候孤
早野勘平の唄
エミシの長・大獄丸
※山田和郎との共作。一部のみ掲載
お墓の賭け
干し柿の賭け
鴨とり甚兵衛
猿の嫁ご
さんかのみや梨
琴のお稽古
蛇の子を産んだ娘
蛇の昼寝
トヨさんも見た
ばあちゃんも見た
子どもを産んだ女蛇
水鏡を見せろ
やってきた三毛猫
浄瑠璃語った猫
正雄さんの豆粉の話
道子さんの豆粉の話
ネズミとじんじ
豆こと地蔵さま
オオカミのまつ毛
さんのん沢
幸吉谷地
小梅が沢
リヨさんの果てなし話
ポトサケタカ スンナ
山姥の反物
ゆめのゆめのサーカス