オカンとワンコ

過去と他人は変えられない 自分と未来は変えられる

西條奈加著「亥子ころころ」

2022年09月08日 15時13分18秒 | 読書

西條奈加著「亥子ころころ」を読了しました。

前作「まるまるの毬」に続き菓子職人治兵衛とその家族が営む南星屋のお話。

決まった菓子は置かず、治兵衛が旅先で出逢った菓子をアレンジしています。
あまりにそっくりに作って嫌疑をかけられたこともある

三人で作るので数も限られるから一日2種類のみの販売。
開店前には行列ができて、一刻(約2時間)ほどで売り切れてしまう。

転んだとき菓子の材料を持った右手を庇ったために左手を痛めたところから今作は始まりました。

無理をせず休ませなければいけないけど、そうも言っておられない懐事情。
何とかやりくりしていたある日、店先に旅の男が倒れ込んだ。
その男、なんと菓子職人でした。
手紙をやり取りしていた弟分から手紙が途絶え、探しに江戸へ来たという。
治兵衛も若い頃は全国の菓子を見てみたいと、渡り歩いてきた職人なので気持ちが合う。
治兵衛の菓子作りを手伝いながら弟分を探すことになるのです。
男ぶりが良いので、長屋のかみさん連中が噂する。
治兵衛の出戻り娘と添わせるのか。
いやいや、その娘の方だろうとかね。
孫娘は以前、縁談がまとまっていたのだけど、
治兵衛の出自によって縁談が壊れた。
その経緯は前作で語られている。
てか、それが前作の軸だった。

今作は、
姿を消した弟分の事情が徐々にあかされ、
それに伴って奔放な父親に葛藤する息子の話や、
母子を捨てたくせに未だ未練を持つ父親の話、
渡り職人の旅の話に憧れを持つ母親と、それを見守る娘。
じんわり、ほんわりと読みました。
秋には第三作「うさぎ玉ほろほろ」が刊行予定とか。
待ち遠しいな♪

それにしてもお菓子が美味しそうでねぇ。
読みながらオヨダが出て困っちゃうですよ。