職場で仲良しだったオニイチャン。
言葉遣いは荒っぽいのだけど、
自分を飾らないというそれも魅力の一つ。
その彼に頼み事をしたついでに親の話になった。
今年、彼の母親は急死された。
父親は早くに亡くなっており、オカンとは境遇が似とる。
姉と自分が結婚したあと母が一人で暮らしていた。
仕事帰りには実家に寄って父親に線香をあげている。
その日も仏壇に向かい、台所の母親と話をしていたところ、
大きな音がして行ってみると母親が倒れていた。
救急車を呼んで病院に運ばれたけど、
大動脈解離でほぼ即死だったとのこと。
今も実家に寄っているけど、
裏口から鍵を開けて入るということに慣れない。
家を眺めていると、もうここに母親が居ないという寂しさがたまらん、と。
仲良しの家族で毎晩、顔を揃えてご飯を食べたこと。
顔を見ながらその日のアレコレを話したこと。
夢にでも出てきてくれんかと思うって。
よく分かるよその気持ち、オカンもね。
でも忌引きがあけて仕事に出て、
仕事しとる間は気が紛れて良かったわ。
家に居ったら堪らんだったと思うって。
そうだよね。
なんだかなぁ、ええ大人が二人して涙ぐんで、しんみりしちゃったさ。
なあなあニイチャン、亡くなった人を思い出したとき、
その人はそばに来とるらしいよ。
そう言ったらね。
オレもそう思うわ。
オヤジも見とってくれたから、残った三人が無事に暮らせたと思う。
実家の家のこと、母親の書類の整理や、
あとの始末が大仕事だけど、ボチボチやるしかないわ。
そう言って帰っていきました。
そうそう、お墓参りのことも話したな。
この先、自分が居らなくなったときに、
墓や仏壇が荒れとったら寂しい。
だから自分もきちんとお参りを欠かさない。
ニイチャンは壱号と歳は変わらん。
オカンは恥ずかしいわ。
次の休みにはお墓参りに行って、
とーさん、かーさんに挨拶してきます。