(1984/ジョー・ダンテ監督/ザック・ギャリガン、フィービー・ケイツ、ホイト・アクストン、フランシス・リー・マッケイン)
夏休み中の息子が暇を持て余しているので、レンタル店に誘い出し、新しいジャンルに挑戦させようと借りてきた。この夏休みに見せたのは、「シャーク・テイル」と「カンフー・ハッスル」に次いで3本目だ。
20年前のスピルバーグ製作のSF。
監督は前年の「トワイライトゾーン」でもスピルバーグと組んだジョー・ダンテ。狼人間を扱った「ハウリング(1981)」で話題になった人らしく、「トワイライト・・・」でもホラー色が強い(と私は思う)第3話を作った。超能力を持った怖い子供が主役の話だった。
「グレムリン」も、元は可愛いのに変身すると怖いという想像上の生き物が主役の話。
田舎町の発明家がチャイナタウンの骨董屋で可愛い生き物を見つけ、地元の銀行に勤める息子へのクリスマスプレゼントにと買い求める。骨董屋の中国人店主は売り物ではないと断ったのだが、孫らしき子供がお金欲しさに売ってくれたのだ。
店主は、『この生き物(モグワイ)を飼うのは容易ではない。光に弱く、特に太陽の光を浴びると死んでしまう。又、絶対に水を与えてはいけない。口からでもダメだし、身体に触れさせてもダメだ。そしてコレが一番大事な事で、いくらお腹がすいたと泣いても真夜中過ぎには食べ物を与えてはいけない。この3項目を守らなければいけないからだ。』と教えてくれていた。
発明家の息子ビリーは心優しい青年で、新製品という意味のギズモと名付けられたモグワイを可愛がるが、遊びに来た近所の少年がうっかりギズモに花瓶の水をかけてしまい、水のかかったギズモの背中からは数個の毛玉が飛び出て、アッという間に新しいギズモになった。クローンギズモは、本体とは少し雰囲気が違っていて悪戯が過ぎる様だった。
夜中になっても食べ物を欲しがるクローンギズモに、時計が12時を回っていないことを確かめてお菓子を与えたビリーだったが、次の日、クローン達は不気味な“さなぎ”になっていた。
クローンギズモの“さなぎ”は、79年の「エイリアン」を彷彿とさせて気味が悪い。変態後の姿(=グレムリン)をいっぺんに見せないところは「ジョーズ(1975)」のようだった。グレムリンと最初に戦うビリーのお母さんの奮闘ぶりは、「わらの犬(1971)」のダスティン・ホフマンを思い出しましたな。
(そういえば、ビリーのお母さんが台所でクリスマスの料理を作っている横の、小さなTVで流れていたのは、先頃観た「素晴らしき哉、人生!」だった。この映画はスピルバーグも大好きなんだそうだ。)
グレムリンは、ある方法で大量増殖し、街に繰り出してやりたい放題に暴れ回る。車も運転すれば、拳銃も撃つ。雪景色で浮かれ気分だった住民たちには、恐怖のクリスマスがやってくるのだが・・・。
グレムリンは何かの象徴のような気がするんだが、何なんでしょうな。
最初は、“科学技術”とか“人間の欲望”のようでもあるし、最後は単純に“子供”のようでもある。子供の育て方を間違うと、とんでもないモノになりますよと・・・。
しかし、あんなわけも分からない動物を買ってくるオヤジもオヤジなら、普通に受け取る息子も変なヤツだ。一応、息子の方は学校の先生に、調べてもらおうとはしますがね。
想像上の生き物グレムリンは、ジョーズのブルースと同じく人形のようですな。ラストシーンの街を俯瞰で撮ったシーンはCGのようでした。
小学校高学年以上が対象でしょうが、お母さんがグレムリンをやっつけるシーンは結構残虐です。息子は、まあまあ面白かったと言ってました。続編「グレムリン2/新・種・誕・生(1990)」は、コメディ色が強いらしいです。
ビリーの彼女役をやってたフィービー・ケイツ。あんなに可愛かった彼女も今年42歳。89年に結婚した16年上のケヴィン・クラインとの間には二人の子供がいるらしい。
夏休み中の息子が暇を持て余しているので、レンタル店に誘い出し、新しいジャンルに挑戦させようと借りてきた。この夏休みに見せたのは、「シャーク・テイル」と「カンフー・ハッスル」に次いで3本目だ。
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20年前のスピルバーグ製作のSF。
監督は前年の「トワイライトゾーン」でもスピルバーグと組んだジョー・ダンテ。狼人間を扱った「ハウリング(1981)」で話題になった人らしく、「トワイライト・・・」でもホラー色が強い(と私は思う)第3話を作った。超能力を持った怖い子供が主役の話だった。
「グレムリン」も、元は可愛いのに変身すると怖いという想像上の生き物が主役の話。
田舎町の発明家がチャイナタウンの骨董屋で可愛い生き物を見つけ、地元の銀行に勤める息子へのクリスマスプレゼントにと買い求める。骨董屋の中国人店主は売り物ではないと断ったのだが、孫らしき子供がお金欲しさに売ってくれたのだ。
店主は、『この生き物(モグワイ)を飼うのは容易ではない。光に弱く、特に太陽の光を浴びると死んでしまう。又、絶対に水を与えてはいけない。口からでもダメだし、身体に触れさせてもダメだ。そしてコレが一番大事な事で、いくらお腹がすいたと泣いても真夜中過ぎには食べ物を与えてはいけない。この3項目を守らなければいけないからだ。』と教えてくれていた。
発明家の息子ビリーは心優しい青年で、新製品という意味のギズモと名付けられたモグワイを可愛がるが、遊びに来た近所の少年がうっかりギズモに花瓶の水をかけてしまい、水のかかったギズモの背中からは数個の毛玉が飛び出て、アッという間に新しいギズモになった。クローンギズモは、本体とは少し雰囲気が違っていて悪戯が過ぎる様だった。
夜中になっても食べ物を欲しがるクローンギズモに、時計が12時を回っていないことを確かめてお菓子を与えたビリーだったが、次の日、クローン達は不気味な“さなぎ”になっていた。
クローンギズモの“さなぎ”は、79年の「エイリアン」を彷彿とさせて気味が悪い。変態後の姿(=グレムリン)をいっぺんに見せないところは「ジョーズ(1975)」のようだった。グレムリンと最初に戦うビリーのお母さんの奮闘ぶりは、「わらの犬(1971)」のダスティン・ホフマンを思い出しましたな。
(そういえば、ビリーのお母さんが台所でクリスマスの料理を作っている横の、小さなTVで流れていたのは、先頃観た「素晴らしき哉、人生!」だった。この映画はスピルバーグも大好きなんだそうだ。)
グレムリンは、ある方法で大量増殖し、街に繰り出してやりたい放題に暴れ回る。車も運転すれば、拳銃も撃つ。雪景色で浮かれ気分だった住民たちには、恐怖のクリスマスがやってくるのだが・・・。
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グレムリンは何かの象徴のような気がするんだが、何なんでしょうな。
最初は、“科学技術”とか“人間の欲望”のようでもあるし、最後は単純に“子供”のようでもある。子供の育て方を間違うと、とんでもないモノになりますよと・・・。
しかし、あんなわけも分からない動物を買ってくるオヤジもオヤジなら、普通に受け取る息子も変なヤツだ。一応、息子の方は学校の先生に、調べてもらおうとはしますがね。
想像上の生き物グレムリンは、ジョーズのブルースと同じく人形のようですな。ラストシーンの街を俯瞰で撮ったシーンはCGのようでした。
小学校高学年以上が対象でしょうが、お母さんがグレムリンをやっつけるシーンは結構残虐です。息子は、まあまあ面白かったと言ってました。続編「グレムリン2/新・種・誕・生(1990)」は、コメディ色が強いらしいです。
ビリーの彼女役をやってたフィービー・ケイツ。あんなに可愛かった彼女も今年42歳。89年に結婚した16年上のケヴィン・クラインとの間には二人の子供がいるらしい。
・お薦め度【★★★=一度は見ましょう】
(1946/フランク・キャプラ監督・製作・共同脚本/ジェームズ・スチュワート、ドナ・リード、ライオネル・バリモア、ヘンリー・トラヴァース、トーマス・ミッチェル、ウォード・ボンド、ボーラ・ボンディ、フランク・フェイレン、グロリア・グレアム)
<郵政解散>などと政治が混乱していて、政治家の人生も大変だなぁとアレコレ考えてしまった先日の夜、翌日には少し時間が出来そうなので、ヒューマンなものが観たくなった。『こんな時にはキャプラだ。』と、最初は「スミス都へ行く(1939)」が浮かんだが、政治の話はまずいかなぁと、結局コチラにした。
久々に泣いてしまった。のどの奥がキューンと痛くなり、次から次と溢れてくる涙。2時間を超える作品で、所々丁寧すぎると思ったシーンもあったが、ラストの数十分は、時々曇る画面に我が眼を拭いながら観ることになってしまった。
46年作というから60年前の作品なのに、オープニングからビックリする。
アメリカのとある田舎町の話。雪の降るクリスマス・イブの夜、一人の男が生死の境を彷徨っている。年老いた母親や妻、子供たち、そして友人達が彼の身を案じて神様に祈りを捧げている。
と、画面は一転、宇宙に飛ぶ。瞬く星の中で、二人の神様(?)の会話が始まる。生死の境を彷徨っている男、ジョージ(スチュワート)を助けようという相談だ。彼は人生に絶望して自殺しようとしたらしい。で、彼を救うのに選ばれたのが、2級天使のクラレンス(トラヴァース)。元時計屋の彼は、信仰は厚いが知能が低いので200年以上天国にいるのに未だに翼がない天使だ。ジョージを救うことが出来たら、今度こそ翼がもらえるらしい。
クラレンスにジョージの一生を説明するという形式で、まずはジョージの少年時代の話から始まる。父親は、住宅ローンを扱っている会社の社長だが、低金利で貸しているので資金繰りは悪い。大株主のホッパー(バリモア)は、時にジョージの父親の経営に口出しをする金の亡者だ。ジョージ少年は、父親の会社の近くのドラッグストアで小僧をしながら、学資を貯めている。
川に氷の張った1919年のある冬の日、ジョージは弟のハリーや近所の友達とスコップ滑りをして遊んでいる。張り切ったハリーが滑りすぎて薄い氷を割ってしまい川に落ちる。弟を助けたジョージは、その時引いた風邪の熱が原因で片方の聴覚を失う(この事は将来、ジョージが徴兵されない理由になる)。
又、息子を亡くしたショックで薬の調合を間違えた店主を救ったことで、ジョージはその後この店の主人との間に深い信頼関係を築く。
それから9年後。大学入学の資金が貯まったジョージが、いよいよ田舎町を出ていこうとする日、父親が病気で倒れ亡くなってしまう。大株主のホッパーは、会社の解体を提案するが、他の株主の意見を聞いた後、ジョージが後を継ぐのを条件に、会社存続を約束する。かくして、大学で建築を学び世界へ旅立とうというジョージの夢は破れていく。
同じ年に高校を卒業したハリーに大学の資金を譲ったジョージには、4年後にハリーに戻ってきてもらい会社を引き継いでもらうという希望があったのだが・・・。
▼(ネタバレ注意)
大学を卒業したハリーは故郷に帰ってくるが、都会で知り合った女性と既に結婚していて、彼女の父親の会社に入ることも決めているようだった。またも、将来計画の狂ったジョージは、ハリーの卒業祝いのパーティ-から抜けだし、一人街に出る。
4年前に少しだけ交流のあった幼なじみのメアリー(リード)と再会、二人はお互いが惹かれ合っていることを確認し、あっという間に結婚することになる。
このメアリーとジョージが結びつくシーンは、ジョージが立ち寄ったメアリーの家に二人の共通の知人から電話がかかってきて、ひとつの受話器を共用した為に二人の顔が急接近したことから始まる。紗のかかった煌めくような画面のワン・ショットで、スチュワートとドナ・リードの気持ちの盛り上がりがコチラに迫ってくる、美しくも艶めかしいシーンでした。
ジョージの自殺の原因は、会計監査員がやって来た日に銀行残高としてあるべき8000ドルもの大金が無くなってしまうことから始まる。元々は叔父(ミッチェル)のウッカリが原因だが、社長であるジョージが粉飾帳簿で刑務所に入らねばならなくなるかも知れない。気が動転したジョージは、クリスマスの準備に楽しそうなメアリーや子供たちにまでも八つ当たりをしてしまう。
一人街に出て酒に酔ったジョージは、酒場でもケンカをしてしまい、ついには町外れの橋から凍るような川に飛び込んで死のうとするのだ。
この時現れるのが、冒頭に出てきた2級天使のクラレンスだ。冒頭のシーンでは声しか聞けなかったが、人の良さそうなおじいちゃん天使である。ジョージの優しさを知っているクラレンスは、ジョージが飛び込む前に自ら川に落ちる。驚いたジョージは、とっさにクラレンスを助けてしまう。
オープニングの状況は、川に飛び込んだ直後の話だろうから、ココからは既に運命が変わっていることになる。川のそばの小屋で服を乾かす二人。自分が助けたはずのクラレンスに、あなたを助けるために飛び込んだと言われ訳が分からないジョージ。
『自分なんか生まれてこなければよかった。』とまで言うジョージの言葉にヒントを得たクラレンスは、ジョージに“もしも彼がこの世に生まれていなかったら”という世界を見せることにする。
ココからが、私の涙を誘った数々のシーンに入っていく・・・。このネタの流れは書かなくても分かりますな。
60年前にこういう話を映像にしたのが凄い。でも、同じように神様(or天使)が登場する「天国からきたチャンピオン(1978)」の元ネタ「幽霊紐育を歩く」も41年の映画だから、凄いと思う方がオカシイのかもしれない。
ひとつだけ言わせてもらうと、“もしも世界”のメアリーが、メガネをかけた典型的なオールドミスの図書館司書っていうのは、分かり易いけど他の設定もあったのではと思いましたな。
自分が居なかったらという世界を見せられたジョージは、自らの存在意義を見出し、自分を何者か知らないと言って相手にしてくれない“知人”を目の前にして、彼等がいかに自分にとって大切な存在であったかをも知ることになる。
生きていくから元に戻してくれ、と神様に懇願するジョージに再び現実の世界が戻ってくる。喜びに打ち震えながら家族の元へ帰っていくジョージ。会計監査員が刑事を連れて家までやって来ていたが、更には思いもよらぬ人々も訪れてきて、クラレンスの苦労が実を結ぶことになる。めでたし、めでたし。
▲(解除)
私が観たキャプラ映画は「或る夜の出来事(1934)」「オペラハット(1936)」に続いて3本目。前2作ともアカデミー監督賞受賞作で、この作品もノミネートされている。そして、3本とも大好きな作品であります。もう一つの監督賞受賞作「我が家の楽園(1938)」はレンタルで見つけてないので、次は「スミス都へ行く」に決定ですな。
このレンタルしたDVDは、「淀川長治 世界クラシック名画100選集」のひとつで、淀川さんの解説とキャプラ、J・スチェワート、D・リードの経歴紹介も入っていた。
キャプラがイタリア、シチリア島出身というのは初めて知った。
ジェームズ・スチュワートは子供の頃からTVでお馴染みの俳優。背は高いけどそんなに強い感じはしなくて、外見はノーマン・ロックウェルの絵から飛び出た様なイメージ。久々に演技を見て、こんなに感情豊かな人だったんだと認識を新たにした。西部劇より、「甦る熱球(1949)」や「グレン・ミラー物語(1954)」の伝記物の印象が強い(どちらもジューン・アリソンが奥さん役)が、経歴を見るとそれら以前の活躍の方が輝いている人だった。「我が家の楽園」「桃色(ピンク)の店(1940)」「フィラデルフィア物語(1940)」。見るべき作品がたくさんあった。 57年の「翼よ!あれが巴里の灯だ」は大好きな作品だ。
50年代のアメリカテレビドラマ「うちのママは世界一(1958~)」で人気者だったドナ・リード。この手のドラマだと「パパは何でも知っている」の方が私には馴染みがあるが、ドナの美しさは当時から認識しておりました。前半でチラッと脚線美も見れましたな。「地上(ここ)より永遠に(1953)」で、アカデミー助演女優賞をとっている。
その他の出演者では、フォード映画でお馴染みのウォード・ボンドがジョージの友人の警官役で、グロリア・グレアムが派手好みの女性役で出ている。
尚、この作品は、第二次世界大戦から帰還したキャプラが、ウィリアム・ワイラーと設立した会社で撮ったものだが、この会社はコレを作っただけで身売りしたらしい。キャプラ、ワイラーという私の最も好きな監督が連携したことがあるなんて、ちょっぴり嬉しい情報でした。
この映画はお薦めです。出来ればもう少し若い時に観ておきたかった作品です。『自分は、他の人の人生にどれほどの良い影響を与えているだろうか?』と自問したくなる映画でした。
ビヴァ!人生。
<郵政解散>などと政治が混乱していて、政治家の人生も大変だなぁとアレコレ考えてしまった先日の夜、翌日には少し時間が出来そうなので、ヒューマンなものが観たくなった。『こんな時にはキャプラだ。』と、最初は「スミス都へ行く(1939)」が浮かんだが、政治の話はまずいかなぁと、結局コチラにした。
久々に泣いてしまった。のどの奥がキューンと痛くなり、次から次と溢れてくる涙。2時間を超える作品で、所々丁寧すぎると思ったシーンもあったが、ラストの数十分は、時々曇る画面に我が眼を拭いながら観ることになってしまった。
46年作というから60年前の作品なのに、オープニングからビックリする。
アメリカのとある田舎町の話。雪の降るクリスマス・イブの夜、一人の男が生死の境を彷徨っている。年老いた母親や妻、子供たち、そして友人達が彼の身を案じて神様に祈りを捧げている。
と、画面は一転、宇宙に飛ぶ。瞬く星の中で、二人の神様(?)の会話が始まる。生死の境を彷徨っている男、ジョージ(スチュワート)を助けようという相談だ。彼は人生に絶望して自殺しようとしたらしい。で、彼を救うのに選ばれたのが、2級天使のクラレンス(トラヴァース)。元時計屋の彼は、信仰は厚いが知能が低いので200年以上天国にいるのに未だに翼がない天使だ。ジョージを救うことが出来たら、今度こそ翼がもらえるらしい。
クラレンスにジョージの一生を説明するという形式で、まずはジョージの少年時代の話から始まる。父親は、住宅ローンを扱っている会社の社長だが、低金利で貸しているので資金繰りは悪い。大株主のホッパー(バリモア)は、時にジョージの父親の経営に口出しをする金の亡者だ。ジョージ少年は、父親の会社の近くのドラッグストアで小僧をしながら、学資を貯めている。
川に氷の張った1919年のある冬の日、ジョージは弟のハリーや近所の友達とスコップ滑りをして遊んでいる。張り切ったハリーが滑りすぎて薄い氷を割ってしまい川に落ちる。弟を助けたジョージは、その時引いた風邪の熱が原因で片方の聴覚を失う(この事は将来、ジョージが徴兵されない理由になる)。
又、息子を亡くしたショックで薬の調合を間違えた店主を救ったことで、ジョージはその後この店の主人との間に深い信頼関係を築く。
それから9年後。大学入学の資金が貯まったジョージが、いよいよ田舎町を出ていこうとする日、父親が病気で倒れ亡くなってしまう。大株主のホッパーは、会社の解体を提案するが、他の株主の意見を聞いた後、ジョージが後を継ぐのを条件に、会社存続を約束する。かくして、大学で建築を学び世界へ旅立とうというジョージの夢は破れていく。
同じ年に高校を卒業したハリーに大学の資金を譲ったジョージには、4年後にハリーに戻ってきてもらい会社を引き継いでもらうという希望があったのだが・・・。
▼(ネタバレ注意)
大学を卒業したハリーは故郷に帰ってくるが、都会で知り合った女性と既に結婚していて、彼女の父親の会社に入ることも決めているようだった。またも、将来計画の狂ったジョージは、ハリーの卒業祝いのパーティ-から抜けだし、一人街に出る。
4年前に少しだけ交流のあった幼なじみのメアリー(リード)と再会、二人はお互いが惹かれ合っていることを確認し、あっという間に結婚することになる。
このメアリーとジョージが結びつくシーンは、ジョージが立ち寄ったメアリーの家に二人の共通の知人から電話がかかってきて、ひとつの受話器を共用した為に二人の顔が急接近したことから始まる。紗のかかった煌めくような画面のワン・ショットで、スチュワートとドナ・リードの気持ちの盛り上がりがコチラに迫ってくる、美しくも艶めかしいシーンでした。
ジョージの自殺の原因は、会計監査員がやって来た日に銀行残高としてあるべき8000ドルもの大金が無くなってしまうことから始まる。元々は叔父(ミッチェル)のウッカリが原因だが、社長であるジョージが粉飾帳簿で刑務所に入らねばならなくなるかも知れない。気が動転したジョージは、クリスマスの準備に楽しそうなメアリーや子供たちにまでも八つ当たりをしてしまう。
一人街に出て酒に酔ったジョージは、酒場でもケンカをしてしまい、ついには町外れの橋から凍るような川に飛び込んで死のうとするのだ。
この時現れるのが、冒頭に出てきた2級天使のクラレンスだ。冒頭のシーンでは声しか聞けなかったが、人の良さそうなおじいちゃん天使である。ジョージの優しさを知っているクラレンスは、ジョージが飛び込む前に自ら川に落ちる。驚いたジョージは、とっさにクラレンスを助けてしまう。
オープニングの状況は、川に飛び込んだ直後の話だろうから、ココからは既に運命が変わっていることになる。川のそばの小屋で服を乾かす二人。自分が助けたはずのクラレンスに、あなたを助けるために飛び込んだと言われ訳が分からないジョージ。
『自分なんか生まれてこなければよかった。』とまで言うジョージの言葉にヒントを得たクラレンスは、ジョージに“もしも彼がこの世に生まれていなかったら”という世界を見せることにする。
ココからが、私の涙を誘った数々のシーンに入っていく・・・。このネタの流れは書かなくても分かりますな。
60年前にこういう話を映像にしたのが凄い。でも、同じように神様(or天使)が登場する「天国からきたチャンピオン(1978)」の元ネタ「幽霊紐育を歩く」も41年の映画だから、凄いと思う方がオカシイのかもしれない。
ひとつだけ言わせてもらうと、“もしも世界”のメアリーが、メガネをかけた典型的なオールドミスの図書館司書っていうのは、分かり易いけど他の設定もあったのではと思いましたな。
自分が居なかったらという世界を見せられたジョージは、自らの存在意義を見出し、自分を何者か知らないと言って相手にしてくれない“知人”を目の前にして、彼等がいかに自分にとって大切な存在であったかをも知ることになる。
生きていくから元に戻してくれ、と神様に懇願するジョージに再び現実の世界が戻ってくる。喜びに打ち震えながら家族の元へ帰っていくジョージ。会計監査員が刑事を連れて家までやって来ていたが、更には思いもよらぬ人々も訪れてきて、クラレンスの苦労が実を結ぶことになる。めでたし、めでたし。
▲(解除)
私が観たキャプラ映画は「或る夜の出来事(1934)」「オペラハット(1936)」に続いて3本目。前2作ともアカデミー監督賞受賞作で、この作品もノミネートされている。そして、3本とも大好きな作品であります。もう一つの監督賞受賞作「我が家の楽園(1938)」はレンタルで見つけてないので、次は「スミス都へ行く」に決定ですな。
このレンタルしたDVDは、「淀川長治 世界クラシック名画100選集」のひとつで、淀川さんの解説とキャプラ、J・スチェワート、D・リードの経歴紹介も入っていた。
キャプラがイタリア、シチリア島出身というのは初めて知った。
ジェームズ・スチュワートは子供の頃からTVでお馴染みの俳優。背は高いけどそんなに強い感じはしなくて、外見はノーマン・ロックウェルの絵から飛び出た様なイメージ。久々に演技を見て、こんなに感情豊かな人だったんだと認識を新たにした。西部劇より、「甦る熱球(1949)」や「グレン・ミラー物語(1954)」の伝記物の印象が強い(どちらもジューン・アリソンが奥さん役)が、経歴を見るとそれら以前の活躍の方が輝いている人だった。「我が家の楽園」「桃色(ピンク)の店(1940)」「フィラデルフィア物語(1940)」。見るべき作品がたくさんあった。 57年の「翼よ!あれが巴里の灯だ」は大好きな作品だ。
50年代のアメリカテレビドラマ「うちのママは世界一(1958~)」で人気者だったドナ・リード。この手のドラマだと「パパは何でも知っている」の方が私には馴染みがあるが、ドナの美しさは当時から認識しておりました。前半でチラッと脚線美も見れましたな。「地上(ここ)より永遠に(1953)」で、アカデミー助演女優賞をとっている。
その他の出演者では、フォード映画でお馴染みのウォード・ボンドがジョージの友人の警官役で、グロリア・グレアムが派手好みの女性役で出ている。
尚、この作品は、第二次世界大戦から帰還したキャプラが、ウィリアム・ワイラーと設立した会社で撮ったものだが、この会社はコレを作っただけで身売りしたらしい。キャプラ、ワイラーという私の最も好きな監督が連携したことがあるなんて、ちょっぴり嬉しい情報でした。
この映画はお薦めです。出来ればもう少し若い時に観ておきたかった作品です。『自分は、他の人の人生にどれほどの良い影響を与えているだろうか?』と自問したくなる映画でした。
ビヴァ!人生。
・お薦め度【★★★★★=大いに見るべし!】
(2003/ピーター・ジャクソン監督・脚本/イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン、リヴ・タイラー)
年末に見たシリーズの3作目。完結編。2作目は先日TVでやっていたがよく見なかった。しかし、完結編を借りてしまいました。
アカデミー賞でノミネートされた11部門で全てを受賞したという作品。「ベン・ハー」「タイタニック」と並んだわけだが、ウーン、3作全てでの受賞ならしょうがないけど、この「王の帰還」だけで受賞となると?だな。
1作目は確かに面白かったけど、3作目は人間と化け物軍団との戦いシーンが多く少し食傷気味になる。2作目はもっと戦闘シーンが多いらしい。昔から闘牛やボクシングなど“戦い”というものが面白いのはわかるが、現実には血を流すことのない映画で長々と戦闘シーンを流されてもなあ、と思ってしまうのは私だけだろうか。それも刀やヤリを使った戦いだし、以前の「スター・ウォーズ」シリーズのような宇宙船(?)の方がずっと面白い。
そういえば、あの象のお化けのようなものは「スター・ウォーズ」を思い出させたな。
その象に弓矢で挑んで、ヒョイヒョイと敵を倒していくあの白装束のヒーローはかっこよすぎで、ちょっと笑っちゃった。
構成的には、呪われた指輪をフロドが滅びの山に無事に捨てることができるか、又捨てるまでに人間達の内何人助かるかがストーリーの軸になる。結果としてあまり悲劇的にならなかったのもお話の重みが薄れたような気がする。
年末に見たシリーズの3作目。完結編。2作目は先日TVでやっていたがよく見なかった。しかし、完結編を借りてしまいました。
アカデミー賞でノミネートされた11部門で全てを受賞したという作品。「ベン・ハー」「タイタニック」と並んだわけだが、ウーン、3作全てでの受賞ならしょうがないけど、この「王の帰還」だけで受賞となると?だな。
1作目は確かに面白かったけど、3作目は人間と化け物軍団との戦いシーンが多く少し食傷気味になる。2作目はもっと戦闘シーンが多いらしい。昔から闘牛やボクシングなど“戦い”というものが面白いのはわかるが、現実には血を流すことのない映画で長々と戦闘シーンを流されてもなあ、と思ってしまうのは私だけだろうか。それも刀やヤリを使った戦いだし、以前の「スター・ウォーズ」シリーズのような宇宙船(?)の方がずっと面白い。
そういえば、あの象のお化けのようなものは「スター・ウォーズ」を思い出させたな。
その象に弓矢で挑んで、ヒョイヒョイと敵を倒していくあの白装束のヒーローはかっこよすぎで、ちょっと笑っちゃった。
構成的には、呪われた指輪をフロドが滅びの山に無事に捨てることができるか、又捨てるまでに人間達の内何人助かるかがストーリーの軸になる。結果としてあまり悲劇的にならなかったのもお話の重みが薄れたような気がする。
・お薦め度【★★=悪くはないけどネ】
(2001/ピーター・ジャクソン監督/イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リヴ・タイラー、ヴィゴー・モーテンセン、ショーン・アスティン、ケイト・ブランシェット、イアン・ホルム)
大ヒットシリーズ映画の第1作。
178分という大作ですが、面白くて飽きません。場所も架空の名前だし、人間も架空の人種が出てくる。「ウィロー」というロン・ハワード作品に似ているという意見がありますが、原作が古いので、「ウィロー」が真似たんでしょう。
俳優陣もよく見ると豪華で、アメリカ/ニュージーランドの合作になっていますが、英国俳優が多いです。
妖怪、化け物が出てくるのは「ハリー・ポッター」にも通じるが、日本の「犬夜叉」も面白いんですけどね。
観て損なし。
3部作が同時に撮影に入ったというから、他も観なくては。
大ヒットシリーズ映画の第1作。
178分という大作ですが、面白くて飽きません。場所も架空の名前だし、人間も架空の人種が出てくる。「ウィロー」というロン・ハワード作品に似ているという意見がありますが、原作が古いので、「ウィロー」が真似たんでしょう。
俳優陣もよく見ると豪華で、アメリカ/ニュージーランドの合作になっていますが、英国俳優が多いです。
妖怪、化け物が出てくるのは「ハリー・ポッター」にも通じるが、日本の「犬夜叉」も面白いんですけどね。
観て損なし。
3部作が同時に撮影に入ったというから、他も観なくては。
・お薦め度【★★★=一度は見ましょう】
(フランク・ダラボン監督/主演トム・ハンクス)
ちょっと前の作品です。
スティーブン・キングの原作で牢屋ものといえば、傑作「ショーシャンクの空に」がありますが、今回の方が寓話性は強い。
3時間の長さは感じられなかったです。電気椅子の処刑シーン以外はそれほど怖いシーンはありません。
主人公の黒人が殺したとされる女の子達の父親に、「ダイ・ハード2」のテロリストの指揮官役の俳優(名前忘れた)が出ています。
ちょっと前の作品です。
スティーブン・キングの原作で牢屋ものといえば、傑作「ショーシャンクの空に」がありますが、今回の方が寓話性は強い。
3時間の長さは感じられなかったです。電気椅子の処刑シーン以外はそれほど怖いシーンはありません。
主人公の黒人が殺したとされる女の子達の父親に、「ダイ・ハード2」のテロリストの指揮官役の俳優(名前忘れた)が出ています。
・お薦め度【★★★=一度は見ましょう】
■ YouTube Selection (予告編)
■ Information&Addition
※gooさんからの告知です:<「トラックバック機能」について、ご利用者数の減少およびスパム利用が多いことから、送受信ともに2017年11月27日(月)にて機能の提供を終了させていただきます>[2017.11.12]
●2007年10月にブログ名を「SCREEN」から「テアトル十瑠」に変えました。
●2021年8月にブログ名を「テアトル十瑠」から「テアトル十瑠 neo」に変えました。姉妹ブログ「つれづる十瑠」に綴っていた日々の雑感をこちらで継続することにしたからです。
●コメントは大歓迎。但し、記事に関係ないモノ、不適切と判断したモノは予告無しに削除させていただきます。
◆【著作権について】 当ブログにおける私の著作権の範囲はテキスト部分についてのみで、また他サイト等からの引用については原則< >で囲んでおります。
*
●映画の紹介、感想、関連コラム、その他諸々綴っています。
●2007年10月にブログ名を「SCREEN」から「テアトル十瑠」に変えました。
●2021年8月にブログ名を「テアトル十瑠」から「テアトル十瑠 neo」に変えました。姉妹ブログ「つれづる十瑠」に綴っていた日々の雑感をこちらで継続することにしたからです。
●コメントは大歓迎。但し、記事に関係ないモノ、不適切と判断したモノは予告無しに削除させていただきます。
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◆【管理人について】
HNの十瑠(ジュール)は、あるサイトに登録したペンネーム「鈴木十瑠」の名前部分をとったもの。由来は少年時代に沢山の愛読書を提供してくれたフランスの作家「ジュール・ヴェルヌ」を捩ったものです。
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