友情出演のパピリオ君と一緒に
記事タイトルにメーカー、製品名を挙げるのはためらわれたのです。
というのは、工程管理が充分でなく、検品その他、ものづくりの姿勢がなってないと、折角企画開発した商品の魅力が半減してしまうという一例であったからです。
この双眼鏡、広角マニアにはよく知られたSW-525という機種の後継機です。SW-525や、SW-735という機種は、接眼部の高コスト故、超広角双眼鏡として支持を受けながら、早々に市場から消えてしまった、その後釜なので、期待される方もいらっしゃったようです。
実際、発表されていたスペックでは、SW-525の不十分な点を改良するようなものになっていましたから、期待もそれなりにありました。
もともと、5×25の双眼鏡、しかも、ダハにしては大きく重いのは分かっていました。プリズム、接眼部に余裕のある光学構造を強いられる超広角機ですから、仕方がないのです。
憧れの6×24のように、精緻な光学設計、レンズ加工が可能な機種でもありません。
ただ、想像以上に大きいです。
鏡筒の太さは、8×42ダハと同等です。
上記の写真でもお気づきかと思いますが、カバーレンズの奥、フォーカシングで前後する対物鏡筒の中が銀色です。
また接眼レンズは極めて大径ですが、
見事な偽瞳を射出しています。
この偽瞳はご覧のように明るく鋭いので、暗い部屋から明るい屋外などを見るとき、偽瞳からの眼球への光がうざったいのです。ちょっとアイポイントがずれたり傾いたりすると、接眼と眼球の間で、フレアが溢れます。左右とも、外側上にでるので、双眼鏡を逆さに持った方が、見やすい印象です。まあ、前機種のSW-525、735にもこの偽瞳は見られたと言うことですから、メーカーHPでは”新設計”となってますが、この弱点に関わる部分は、新設計の範囲外だったのでしょう。
覗いてみると、前機種のSW-525は最短合焦が1.5mとのことでしたが、このSW-550は優に3m以上です。代わりに、無限遠側にはかなり余裕があります。ピントは低倍の割にはシビアです。勝間光学さんのIF機のように数十m以上はパンフォーカスというワケではありません。また、低倍にしては、色収差もあり、折角の良好な解像度を損なっています。
周辺視野の歪みはそれなりで、ビル群などの方形を見れば気になります、また少なくとも5割以上は良像(合焦)範囲です。
夜に星を見るとよく分かるのですが、中心でピントを合わせて、周辺の星を見た場合、周辺部に行くにつれ星像が滲み出しますが、ピントリングを少し遠目に回してやると、その滲んだ星も、視野円の9割くらいの位置までは、ピントが合い、中心部とさほど変わりない星像になります。実際、オリオンの左右の肩、ベテルギウスとベラトリックスを上端に捉えながら、腰(横三つ星)の下の小剣(縦の小三つ星)まで視界に入るのですが、その上下端を割と良像で観る事が可能です。レンズの焦点距離と直径の関係から、中心部と辺縁の合焦位置がずれるのは、非球面レンズ(中心と辺縁で焦点距離が変化する)などの特殊な光学系で補償しないかぎり仕方のないことなのですが、素直にそれを良しとして、変に星像が間延びしたりしていないところは、好印象です。超広角機としての魅力は充分と云えるでしょう。
最初に厳しいことを書いたのは、偽瞳や、銀色の鏡筒内面の事ではありません。
思い直して、詳らかには致しませんが、光学機器製造、組立の上での、ごく基本的な部分がなおざりになっているとしか思えない瑕疵と、あり得ない工程上の欠損、そしておそらくは輸入した後、そのパッケージのまま、販売業者に渡すまで、検品等がまともに行われているかどうか怪しまざるを得ないという理由なのです。
MIZAR SW-550
最近のミザールは品質管理に難ありのようですが、こっちはどうなんだろう。
ちなみに私は先日、ナシカクオリティに泣かされました(笑)。
品質さえよければ、私的には理想的お散歩双眼鏡になったのですが…。
惜しい双眼鏡です。
いろんなところで、MIZARさん扱いの、某国メーカー製双眼鏡の良くない噂を耳にしますが、
実際、私の手もとに来た個体についても、汚れや、対物側から見えるゴミなどを
敢えて問題にしない姿勢でも、上のような為体です。
品質管理、検品等の問題もありますが、実際、このようなものを作る、組み立てる工場って何なの?
とすら思える有様のものもありました。
後ほど、入手したSW-525についても、提供して頂いた方によると、光軸のガタつきがあるらしく、
一応は規格内の誤差だということですが、
昨今は規格どころか、常識的にダメだろうと思える商品でも
そのまま出荷、流通させているようです。
ブログ記事でも何度か書きましたが、恐らくは、もっとひどい、
想像以上の状態になっているような感触もあり、
MIZARさんも少なからず被害者であるような気もします。