日本国憲法公布75年の3日、国会正門前で「平和といのちと人権を!」などを掲げて憲法大行動が取り組まれました。2000人(主催者発表)の参加・視聴者とともに、日本共産党の田村智子副委員長をはじめ立憲民主党、社民党の代表が訴え。総選挙結果を受けて「改憲を許さないためにも、さらに大きな市民と野党の共闘を」とアピールしました。
総がかり行動実行委員会共同代表の高田健さんが主催者あいさつ。総選挙では多くの小選挙区で野党統一候補が勝利する一方で、改憲勢力に3分の2を許すなど課題もあったと指摘。「今の政治を変えるために、これからも力をあわせていく。市民と野党の共闘をさらに強化していきたい」と述べました。
憲法学者の志田陽子さんは、改憲問題について「安全保障をめぐる問題などで実質的な改憲が進められている」と強調。憲法無視の政治を変えるために、一人ひとりが声をあげ続けていこうと話しました。
東京大学教授の本田由紀さんは、コロナ禍で格差と貧困を拡大した安倍・菅政治は岸田政権で変わらないとのべ、「共闘野党をもっと強く、幅広い支持を得られる勢力にしていこう」と訴えました。
市民連合から、広渡清吾さん(東京大学名誉教授)が訴え。総選挙では政権交代を実現する土台をつくることができたが、より広い市民に届けきることができなかったと振り返り、「来夏には参院選がある。政権交代をめざして運動を続けます」と語りました。
田村副委員長は「市民と野党の共闘は戦争を起こしてはいけないとの思いで始まった。憲法が花開く時代を切り開くため、さらなる共闘を前にすすめていく」と述べました。
国会前には「ともに時代を切り拓(ひら)こう!」などのプラカードが掲げられ、さいたま市の女性(76)は「絶対に改憲は許しません。今の政治を変えていこうと地域から訴えていきたい」と話しました。
主催は、総がかり行動実行委員会と「9条改憲NO!全国市民アクション」です。
首相先頭に 改憲大合唱
総裁任期中の発議狙う
先の総選挙で、憲法改悪を推進する自民・公明両党と日本維新の会が改憲発議に必要な3分の2の議席を得たことをうけ、改憲勢力の動きが活発化しています。岸田文雄首相をはじめ、改憲に前のめりな発言が総選挙直後から止まりません。
岸田首相は10日の記者会見で、「党是である憲法改正を進めるため、党内の体制を強化するとともに、国民的議論のさらなる喚起と国会における精力的な議論を進めるよう指示した」と表明しました。「国会での発議のために国会の議論を進めていく」とも述べ、改憲への強い執念を示しました。
先の衆院選では自民、公明両党と、日本維新の会などの改憲勢力が合わせて定数の3分の2を超えました。岸田首相は、今回の衆院選の結果もふまえ、改憲に向けた党内体制の強化などについて、「党内の憲法改正に従来から熱心に取り組んできたメンバーと話し合っている」などと述べました。記者から維新などとの協力について問われ、「政党の枠組みでどうこうというのではなくて、結果を得るためにどうするべきなのか、しっかり検討し、努力をしていきたい」などと答え、総裁任期中の憲法発議を目指す考えをあらためて強調しました。
細田衆院議長 職権逸脱
茂木幹事長、憲法審開催求める
細田博之衆院議長は10日、国会内での就任記者会見で、衆院で改憲勢力が3分の2超の議席を占めたことについて、「率直な意見交換をし、議論が前向きに進むことが必要だ」と述べました。公正・中立であるべき議長が“改憲議論を前向きに進めてほしい”と呼びかけたことは、議長の職権を逸脱するものです。
岸田首相は「党是である憲法改正を進めるため、国会における精力的な議論を進める」とくり返し表明しており、細田氏の発言はこれに呼応するものです。細田氏は安倍政権のもとで自民党の憲法改正推進本部長を務め、「9条への自衛隊の明記」「緊急事態条項創設」などの自民党改憲案をまとめた中心人物で、この間は衆院の憲法審査会長を務めていました。
同日、自民党の茂木敏充幹事長は改憲について「党内議論から国会での審議に移っていく。衆参の憲法審査会で具体的な議論に入ることが必要だ」と述べ、憲法審査会の開催を求める姿勢を示しました。
総選挙後、加速する憲法改悪推進の動き
1日 岸田文雄首相「憲法改正を積極的に進めたい」
2日 維新の会・松井一郎代表が来年の参院選と同日で改憲の国民投票を実施すべきとの考えを示す
4日 自民・茂木敏充幹事長「維新も含めさまざまな政党と(改憲の)議論を進めたい」
7日 維新・吉村洋文副代表と国民民主党の玉木雄一郎代表がフジテレビ番組で憲法審査会の開催をそろって主張
9日 自民・茂木、維新・馬場伸幸の両幹事長が会談。馬場氏が憲法審査会の定例日開催を求め、茂木氏が臨時国会で前に進めると応じる維新と国民が幹事長・国対委員長会談を開き、憲法議論の活性化へ連携していくことで一致
10日 岸田首相「憲法改正を進めるため、党内の体制を強化するとともに、国民的議論のさらなる喚起と国会における精力的な議論を進めるよう指示した」「国会での発議のために国会の議論を進めていかなければならない」
細田博之衆院議長「国民世論もかなりの方が議論を望んでいる」「率直な意見交換をして前向きに進むことが必要」
茂木幹事長「党内議論から、主戦場が国会での審議に移っていく」「(衆参の憲法審査会で)具体的な議論に入ることが必要」
11日 安倍晋三元首相「憲法改正は立党以来の党是。この議論の先頭に、清和会は立とう」(清和会会長就任あいさつで)
国民民主党 危険な道に進みつつある
志位委員長が指摘
日本共産党の志位和夫委員長は11日、国会内での記者会見で、前日の党国会議員団総会で述べた政党の政治的立場にかかわって、国民民主党はどの位置にあるかと問われて、「国民民主党は、昨日述べた3分類(『与党勢力』『与党の補完勢力』『共闘勢力』)のどこにも分類できない。だから言及しなかった」と述べました。
そのうえで、日本維新の会と国民民主党との間で、憲法改定の具体化の推進で合意したことについて、「非常に重視している。たいへん危険な道に進みつつあるとみている」と述べるとともに、日本共産党は、憲法改定の動きに反対を貫くと表明しました。
— しんぶん赤旗より —