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フランシスコの花束

 詩・韻文(短歌、俳句)

みどり Ⅲとまどい

2013-12-09 23:53:15 | インポート

  みどり

 Ⅲ とまどい

ぼくたちは互いに伴侶にならなかったけれど
それでもぼくたちはともに生きている
きみは夜ごとぼくの夢に入りこみ
「ねえ ねえ 愛して」
「好きよ 好きよ 今も」と
ぼくの唇にすがりつく

ぼくたちは添い寝をするわけじゃないけれど
それでもぼくたちは寄り添い合う
きみは明け方にはぼくの枕辺に
「わたし 生きているわ」
「あなたのために 生きてるわ」と
そっと頭を抱きとめる

ぼくたち遠い時間の隔たりの向こうから
いつでも互いの存在を感じ合い
悲しいにつけ うれしいにつけ
「ねっ、ねっ 聞いて 聞いて」
「わたしの心の鼓動」と
そっとその胸を寄せてくる


梅雨の情景  ――神なき里の――

2013-06-01 14:16:40 | インポート

   梅雨の情景
     ――神なき里の――

 薄曇りに 日は籠もり
 鳥さえ鳴き声を ひそませる
 この多湿さは 魂にじっとりと
 汗を這わせる
 ぬるめられた悲しみ
 本質を外した苦しみ
 だらしなく生きるには 程よく
 厳しく我を律するためには
 手ほどきのない練習帳を
 むやみになぞるほかなく
 それゆえ何事のかなうはずもなく
 膨潤を重ねてしまった肉体
 悩みさえも気の抜けた苦虫
 町から聞こえる救急車の音
 アナウンスはくぐもり
 近づき遠ざかる
 それは人の苦しみではなく
 この町の病苦に倒れた不実
 幾つもの医者を
 たらい回しにされたあげく
 死地に赴く非情のサイレン
 そよともせぬ木立の上に
 そら 梅雨の濁りが
 覆い始めている


風に祈る

2013-05-30 10:31:11 | インポート

   風に祈る

 風に音があるわけではない
 風に色があるわけではない
 風は無色透明 無味無臭
 風はただ 運ぶだけ
 春を 春ごと運ぶだけ
 そこには においも光も乗せて
 遠い 遠い道のりを
 ゆったりと運ぶだけ
 ぼくらがまだかまだかと
 しびれを切らしていても
 風は風のペースでやってくる

 風にタイプがあるように
 春の嵐 春のそよ風
 おだやかに顔を撫でていく風
 そのやさしさに 心も眠る
 夏の風 燃え立つような風
 海からのシーブリーズ
 秋の風 去って行く人の
 思い出と一緒に過ぎていく風
 さびしさつのり ふるさと思う風
 野分の激しさは
 時に苦しく 時に爽快

 心静かに瞑想していると
 それら自然の風 季節の風に
 そっとまじっている恩寵の風
 聖霊が吹かせる風に 
 はたと気づくことがあるだろう
 無念無想の心に静まりかえって
 空(くう)の祈りを心に覚えたとき
 空(くう)にはやがてひたひたと
 潮のようにあげくるものがあると
 粛々と満ちてくるものがあると
 気づくだろう

 天空を舞っていた風が そのとき
 主の命に素直に従って
 ぼくの顔をいつくしみ包むだろう
 ぼくの目を主の愛に開くだろう
 そう そのとき この耳に
 風の歌が聞こえる
 主に愛された風の
 幸福の歌が聞こえるのだ
 風は 風は 与えられた使命を
 心地よく果たそうと
 いっそうのやさしさを込めて
 ぼくを宥恕する 心から宥恕する


恋する心にはエゴがあり、愛する心には無にされた自我がある

2013-04-09 15:33:43 | インポート

   恋する心にはエゴがあり
   愛する心には無にされた自我がある

 恋は猛威をふるう感情の嵐
 その声が横顔が微笑みが
 ぼくの脳髄の周囲を駆け巡り
 幾条もの 竜巻を噴き上げる
 一頭の龍でさえ ぼくの心を翻弄する
 かろうじて拮抗する理性も
 恋の龍には勝ち目はない
 この身をねじり ねじり上げ
 恋の龍はぎりぎりと
 ぼくの心を破裂へと導いていく
 だって だってね ぼくはもう
 もう死んでもいいのだもの
 この恋のためなら
 人生がむなしくなっても
 全然平気!

 神さま 嵐に揉まれて
 きりきり揉まれて
 ぼくの恋の自我を
 絞り上げてください
 厳しく 厳しく絞り上げてください
 この無性にエゴな恋心
 このエゴにではなく
 愛に生きる者でありますように
 幾筋もの伸び上がる竜の尾に
 ぼくのこの世の物質が
 粉々に砕かれて
 ちりぢりに吹きとばされて
 あなたの愛の甘美に
 あなたの愛のからだに
 たどり着きますように!


聖アルバヌスのためのミサ曲

2012-11-15 17:49:18 | インポート

 ロバート・フェアファックス(1464~1521)作曲の聖アルバヌスのためのミサ曲。
 聖アルバヌスは紀元後4世紀のイギリスの人(司祭)。イギリス初めての殉教者とされている聖人で、イギリスではよく知られている。
 作曲者のフェアファックスはヘンリー7世と8世の時代にイギリスで最も著名な作曲家だったという。心静かに聞きたいので、長いが、ここに引用してみた。