よきおとずれの声を聞こう
耳に聞こう。
心に刻もう。
懐かしい言葉たち。それは、
「わたしはよきおとずれである。
わたしはしあわせのおとずれである。
わたしは希望、明日の希望。
だれもが願う喜びの未来である。」
われらの神なる方の声。
そのようにわれらに呼びかけながら、
天を駆けめぐる神の使い。
そのように叫びながら、
ときに、歌いながら、
天の白い雲の流れるあたりを、
走り回っている神の声の運び手たち。
その熱い心を、青い空の太陽に隠しながら。
ああ、けれどもよきおとずれは、
天から降り来るものではないだろう。
本当のしあわせのおとずれは、
神のうちにはあるのではないだろう。
本当の喜びの明日は、そこにはない。
無数の光にはねるガラスの粉のような、
あり合わせの希望のかけら、
それらしく飾り立てた未来の窓が、
きっとそこに見えるだけ。
神の使いはきっと、希望のための馬丁ではない。
ただ「よく聞け、子らよ」と、その透明ないくつもの声は
よく響く声で呼ばわるだけ。
希望はだれからもどこからも、
やっては来はしない。
ただ、 あなたの心、
ただ、あなたの胸の中から生まれるもの。
しあわせの明日は、あなの眼(まなこ)の底に輝くもの。
喜びのおとずれは、今生きているあなたの、
その美し額の上にある。
だから、 耳澄まそう。
だから、 心澄まそう。
だから、目を澄まそう。
よく聞くために、よく見るために。
それから、それから、静かに、一人静かに、
愛の声を、聞くのだよ。
あなたの心の中に波紋を描く、
一つの愛を見つけ出すのだよ。
[POEM-『わが信仰と希望』から]